僕の青春にはかない希望を
暖かい爽やかな風とともに僕こと無山 透は中学最初の一大イベントの入学式を迎えようとしていた。
「やべっ。遅れる。」
坂道を駆け上がり着いた先には大きな校門がそびえ立っている。喉がゴクリとなった。そして僕は始まりの一歩を踏み出す。
「首席 光学 ひかる」
「はい!」
もう始業式は始まっているようだ。周りを見渡せばみんな校庭にある椅子に着席している。すると先生らしき人がズシズシ近寄ってきた。
「入学式から遅れるとはいい度胸だ。こっちにこい」
「嫌です」
先生の顔が怖すぎで本音が滑り出てしまった。先生の顔に青筋がたっている。なぜ立っているって?それは決まっている。口ごたえしてキレさせてしまったからだよ。
無言で襟をつかまれ校舎内へズルズル引っ張られる。そして一つの窓もない小さい部屋に叩き込まれた。
「そこで待っていろ」
先生は本気で怒っているようだ。首筋を冷たい汗が流れる。まわりを見ると本当に何もなく、壁しかない。
どのくらい時間たったのだろう。
「グゥ〜〜」
俺の12時をつげる腹時計がなった。ちなみに俺の腹時計はなぜか正確だ。12時ということはもうすでに3時間は部屋にいるということになる。
「なんでこんな部屋に3時間以上もいなくちゃいけないんだよ」
「それはお前が学校の決まり時間を破ったからだ。あと敬語で話せ」
背後を向くと先生が扉を開け立っていた。
「さすがに3時間も叩き込んでほっとくのはおかしいだろ、です。先生」
必死に抗議をすると先生は薄く笑った。
「貴様はこの学校のルールを知らんようだな。一つ教えといてやろう。学校のルールを破ったものには罰を与える。その罰は様々な種類がある。今回は貴様にたまたま部屋に少し放置しておくものが当たったのだ」
「あーもう、分かった。とにかく出して帰らせてくれ、です」
「とっとと帰れ」
そう言い残すと先生はドアを開けたままどこかへいった。俺はこの時点ではまだ知る由もなかった。俺の想像してた学校とここは違う場所なのだと。