いまぼくにできること
余命あと、3ヶ月
僕にできること
「お前のことはもう愛せないって言ってるだろ!!」
「何でよ!?私達ずっと、ずっと一緒に居たじゃない!!なのに、何でよ!?」
「ずっと鬱陶しんだよそうやっていっつもいっつも!!」
「!!…うぅ…うあああああああああ…うぅ…う…」
病室のカーテンがわずかに揺れている
少し開けた窓からクーラーの聞いた病室に真夏の暖かさが流れ込んできた。
無音
僕は、1か月前に余命3ヶ月を突き付けられた。
理由は簡単、癌である。
肝臓癌
殆どの場合肝臓癌は転移性のものであるが僕にかかったのは原発性のガンだ。
肝臓は俗に言う「沈黙の臓器」で僕が体に違和感を覚えたのも余命が宣告される1カ月前だった。
肝臓ガンがどういったものなのかは余命3カ月という言葉にかき消されてよく覚えていない。
僕がガンにかかっていることを伝えているのは二つ上の姉と五歳年下の弟だけである。
姉は僕に恋人がいたことを知っていたので彼女には伝えたほうがいいと何度も言われたしかし、僕は首を縦には振らなかった。
僕の恋人本名はやめよう、Nとしよう。
Nはすごくすごく優しくてよく使われる言葉かもしれないけど僕にはもったいない人だったそんなNとも二週間前に別れを告げた。
入院を悟られないようにするためだった。
僕は入院するまでの二週間いろんな事、物、人を捨てた。
アパート、会社、恋人、友人多くの縁を切った。
あと二ヶ月僕にできること。
毎日毎日考えてるけどやっぱり残せるものなんてないのかな?
まだ、Nの事もまだ忘れられない。
彼女に看取られるのもいい終わりかもしれないけど、綺麗事かもしれないけど僕は彼女に幸せになって欲しい。
そろそろ点滴を交換しなくちゃ、あれ結構痛いんだよな。
僕が望まなくても勝手に月日は過ぎていんだ。
僕の余命あと一ヶ月最近痛め止めをちょくちょく飲んでる。
身体に激痛が走るようになったからだ食欲も落ちて看護婦さんによく怒られる(笑)たまに意識がなくなる時があって長い時で三日間眠りつずけたんだって。
この頃だるくてベットにいることが多くなってて両親の顔や同僚の顔そしてNの顔だ酷い言葉で突き放してから僕はずっとNに残せるものを考えてるんだけどなかなか見つからない。どうしよう(涙)
遺書も書き始めた。黙っていくことを許して下さいマジで。悲しませようとしたわけじゃないんだよーー。
姉さんがお見舞いによく来てくれる。
そろそろ両親に打ち明けてはどうかと言われた。
うーん言えるかな?
Nにも伝えろと念を押されたw
僕のこと忘れて欲しいんだけどな。
そんなことを姉さんにいったら急に襟首を掴まれた。
姉さんは泣きながらNがまだ僕のことを探していると言っていた。
余命まであと二週間
最近体が思うように動かない。
やばい。
自分でも死期が近ずいてることぐらいわかっちゃうから怖いw。
久しぶりにケータイの電源をつけた。
両親からの電話とNからの電話やメールがたくさん来てた。
まずは両親
余命があと二週間だと知って二人とも泣いていた、こっちまで泣けるから…。
黙っててごめん。本当に。
明日見舞いにくるそうw
次にN
久しぶりに聞くNの声は凄く凄く不安そうでいすぐにも会いたくなった。
僕は病院の名前と明後日きて欲しいとだけ言って電話を切った。
Nは来てくれるだろうか?
二ヶ月も音信不通だった元カレに会いに来る方がおかしい気もする。
ヤバイ、
cvっjこおおっpーk
目が覚めたら三日後だった。
Nは?Nは来てくれたのか?
そう思って真っ白な天井から横に目を向けると、Nが居た。
寝てる、抱きしめたい、謝りたい。
N大好きだ、ごめん、許されなくてもいいごめん。大好き、愛してる。
Nが目覚めた上半身を起こして目を向けている僕を見ると大きな雫を両目に蓄えた。
その日はNといっぱい喋った飽きるくらい。
途中僕の体力を気にしてくれるそぶりもあったがそんなことより謝りたかった、伝えたかった。
Nに自分の病気と余命を告げた
あと11日僕にできること
毎日のようにNがお見舞いに来てくれる。
楽しい。けど同時にあと一週間を切った余命に恐怖を覚えた。
彼が死んで一週間がたった。
彼が唯一病室に持ち込んでいたノートパソコンに日記らしいものがあった。
何ページもの白紙のページをスクロールすると遺書があった。
何故か彼のお姉さんから読んで欲しいと言われ私も読んでみました。
内容ははじめ時は形式的に財産とかを彼に似つかわしい固い言葉で書いてあった。
けれど次第に彼らしい能天気な語調と絵文字で飾られるようになった。
Nへ
最後の最後まで黙ってて本当にごめん。
本当はあんな言葉言ったけどめちゃくちゃ好きだから。N愛してる。
もしも、僕がこれから先生きられたなら、きっとNと結婚して子供産んでどっちかか寿命で死ぬまでNを愛するだろうな。
だからこそ、もっといい相手見つけて僕よりいい恋愛しろよ‼︎
この二ヶ月僕にできることをずっと探してた。これを書いてるいまも考えてる。
ものを残すんは、あれだしなーとかいろいろ考えた。だから一回きりの僕からのメッセージを送りたい。
場所は看護師さんに来てくれ。
これがいま僕にできること
僕ができたこと
私は彼の残したものを探して彼をよく診ていた看護師さんに尋ねた。
彼女は思い出したようにそれを取りに行った。
彼女が持ってきたのは一回しか流せないボイスメッセージだった。
『僕と結婚して下さい。』
流れたのはそれだけだった。
けれど私は彼のプロポーズを聴いた途端泣き崩れた。
遅いよ、バカ。
もっと早く言ってよ。
余命三か月でも結婚したよ。
なんで死んだ後になんか言うの?
『また、会おうN。』
彼の声が聞こえた気がした。
いま私にできること
私ができたこと