風俗
『――――以下は、とある男が友人に送ったメッセージである』
いきなりこんな話をするのもアレなんだがよ、まぁ聞いてくれ。
実はこないだ、初めて「風俗」に行って来たんだ。
俺ら、今年でもう30歳だぜ?
本来なら嫁さんがいて、子供がいてもおかしくない年齢だが……
なのに二人して……この歳で未だ素人童貞……って、それはいいか(笑)
嫁さん所か彼女ができる気配すらもないし、それ以前に未だ女性と付き合った経験すらもない。
女っ気のなさすぎる我らの人生。でも、一丁前に性欲だけはある。
まぁそんなこんなで、色々と溜まるもんがあって……
で、抜け駆けして一人で卒業して来たわけなんだが(笑)
結論から言うと”最高”の二文字だったね。
ほら、こういう店って、初めてだとなめられるとか、露骨に面倒がられるとか言われてるじゃん?
業種的にアッチ関係な人が多いって言うしさ。
そんなネガティブな事ばかり考えていたんだが……そんなの全部、デタラメだったわ。
店員はまるでかつての恩師みたいに親切だったし、嬢もみんなかわいい子ばっかりだった。
ていうか嬢なんて、下手したら写真よりかわいいくらい? いやホントなんだって!
そんくらいのガチな嬢なのよ!
そんな女の子を童貞の俺が、あんな事やこんな事に……いやぁ、最高の一晩だったね(笑)
ただ一個残念なのは、その俺が指名した子、もう辞めちまったみたいでさ。
移り変わりが激しいのかな……俺の初めての人だったのに……
まぁ、風俗嬢にこんな事言っても仕方がないけどよ。
いやごめんな、いきなりこんな下ネタ言って。
この感動をこう、是非誰かに伝えたくてな(笑)
で、ここからが本題なんだが……今度の休み、お前も行ってみねえ? って話よ。
抜け駆けした詫びだ。俺が責任もって連れてってやるよ。
俺がお前を大人にしてやる(笑) いやぁ、良い友人だな俺って。
ちょうどイイタイミングで、近々なんかイベントやるらしいんだよ。
よくわからんけど、かわいい子がコスプレしてメシとか作ってくれるらしい。
なんのコスプレかは知らん。そこまでは聞き出せなかった。
てか、そんなん無くったって元々コスプレ専門店みたいなもんなのにな(笑)
何にせよ、行くなら出来るだけ速めに連絡をくれ。
当日は朝早くに行かないと、いい子はみんな取られちまうからさ。
そうだな、最低でも午前中には到着しておきたいな……
まぁとにかく、覚悟が出来たら連絡をくれ(笑) じゃあな!
――――
「……で、あんたはこのお友達の誘いに乗ったわけだ」
「はい……でも私はその日、結局寝坊して行けなかったんです」
「目覚めたのは夕方でした。ヤバイ! って思って慌てて彼に連絡をしようとしたのですが……」
「寝坊してよかったね。起きてたら今頃アンタ、多分……」
「はい……」
「にしても……風俗ねえ……そりゃ私も興味ないわけじゃないけども」
「そうです……刑事さん、わかるわけないんです」
「だってそうじゃないですか! 私は単純に風俗に行くだけだと、てっきりそう……!」
「まぁまぁ落ち着いて……じゃあ、最後に一個だけ聞きたいんだけどさ」
「おたくは彼と、いつからお友達なの?」
「あ……えと……その……」
「……もしかして、同じ所?」
「はい、そうです……」
「高校時代からの、友人です……」
――――おわり
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