表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺し屋稼業も楽じゃない。  作者: ヒラタカゲロウ
殺し屋稼業についてない。
18/147

ちょっと待ってよ!?

うーっ眠い。


わぁぁ...すげぇ...と遠くから子ども達がこちらを見ているのがわかった。

まさかあの3人がいるんじゃねーだろうな?レイは敬礼をしながら、ヒソヒソ話の声に耳を澄ました。


「せいれーつ、休め!!」

殺し屋達は一斉に同じ動きをした。

そこに小柄で頭の薄い、セノバ人の老人が現れた。


サンストリート、午後7時。日はまだ沈んでいない。


「バリス中央警察署長にー敬礼っ!!」

「なおれ!!」

「せいれーつ、休め!」


足音は散らばることなく、ひとつになって辺りに響く。


あいつだ。

カーツ。

レイは顔を強張らせる。

くっそ。偉くなりやがって。


隣に並ぶユングはレイの表情がスコールのように急降下するのを見届けていた。

ユングには2人の間に何があったのか、わかるからだ。


「相変わらずつまんねーな。あいつ。」

「まぁ、落ち着くにゃん。」

ユングはレイの肩をポンポン叩いた。


何だ?もう「ギャッツ」になったのか?

気づけばユングの様子はいつもとは違っていた。


ここで今回の街頭パトロールの構成を説明しよう。基本に殺し屋こと隊員は2人1組で行動する。

まずは特攻こと1番員。辺りをパトロールする。次に戦闘こと2番員。パトロールをしつつ応援支援も行う。1番忙しいところだ。最後に3番員の防護。住民の保護対応を行う。また別に幹部クラスによる統括がある。

ユングとレイはペアになって戦闘に当たっていた。


久しぶりだな、ユングと組むのは。まー頼りになるし、強いからいーか。


2人は銀色の衣装に身を包みつつ、薄暗い石畳を歩いた。


「毎回思うけどさー。この尻尾、邪魔じゃねーの?」


ユングの銀色の服から、ニョロっとピンク色の尻尾がはみ出ていた。おまけに可愛いピンク色の猫耳までついている。ご丁寧に手にはアイアンクロー、猫爪が着いている。別名ギャッツ。スペイン語でネコ。その名に恥じぬネコオヤジである。


「邪魔とは失礼にゃん!バランスを取るのに重要な役割を果たすにゃ!」

ユングはムキになった。


その語尾のにゃんは何なんだ...レイは長年の疑問を聞けずにいた。

ミモザが使ってもキレるな。レイは思った。けれども身体能力はネコ以上。軽やかに飛び回り、鋭く獲物を仕留める。嗅覚や野生の勘も人間以上である。


「事件の概要をざっとお浚いするにゃーん。」

「はいはい。」

うぐっ。耳が痛いな。レイはにゃんにゃんとうるさいユングの言葉を適当に聞き流した。


「まず最初、朝の8時15分にゃん。バリス市ノーザン町のスーパー銭湯2階男湯で発生。突如疾風が吹き荒れて、その後に爆音がしたにゃん。朝の8時45分、同様の手口で今度は2km先のクアトロ町のサウナで発生だにゃー。」


うぐぐ...あいつ全然ダメだな。時間かかり過ぎだ。レイはため息をついた。


「その後、9時50分にバリス第二消防署にてボヤ発生。その後も酒屋、宝石店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアでボヤと強盗殺人、火炎瓶による爆発。」


「あれじゃね?」

レイはその辺りを適当に聞き流した。

「殺し屋志望だろ。入試前の腕ならしだべ?」

「うーん。」


ユングはどこへ向かっているのだろう。野生の勘は、いつも当たる。そんなユングとレイが向かっていたのは、


バリス市オリオン6丁目8番、タワーバリス市営住宅A棟。



「ここ、俺の家じゃねーかよ!?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ