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子供達が集結… (一部、子供(?)て感じだけどね… by母)

 ラーガンディ一行が帰った日の翌日、昼頃にガラクから友好特使がやって来た。


「カナ~~~ッ!!」


 …出会い頭に叫びながらカナメに抱きついたのにはびっくりだよね。










 ガラクの一の姫、エレニ=アリツェ=コーリカ(外見は十代半ばの美少女、実際は米寿越え)。

 東方諸国がこぞって縁談を申し込み、様々な贈り物を捧げてきた傾国級の美貌を持つ…。


 大和撫子今いずこ…まさか異世界にいるとは…。

 て、思ってたんだけどねぇ…。


「ヤマトナデシコってなんですの?」


 …あぁ、気にしなくていいわ。


「? あっ! 申し訳ありませんわ。賢者様。わたくしはガラク国主ハリス=ユハニ=コーリカの娘、第一内親王エレニ=アリツェ=コーリカと申します」


 あ、これはご丁寧に…。


「弟を養育してくださった心優しくお美しい賢者様とお聞きして、妾はお会いするのを楽しみにしておりました」


 …なんてことを吹き込んでくれたんですかっ、ハリスさん!

 実物見たらガッカリするにきまって…。


「まさにその通りですわ!」


 ………はい?


「穏やかで泰然となさった雰囲気! 空気に満ち満ちた清冽な魔力! 素晴らしいですわ!」


 …ミーハー心のフィルターがかかってるわね。…おいこら、後ろの三人。

 ……今後の特訓、覚悟してなさい。あらあら、嬉しそうに声を上げちゃって…。え、悲鳴? 聞こえないわね~。フフフ…。


「親子仲も良さそうで、カナは幸運ですわね!」


 …天然だな、この姫様。大丈夫か?

 まぁ、魔力半端ないし、なんか術具でも持ってるのかかなり強い結界が周囲に…。

 家紋入りのブレスレットですね。ハリスさんですね。…親バカかっ。


 …人のこと言えないけどさ…。


 というか、エレニ姫…。


「どうかエレニとお呼びくださいませ! 弟にとって母ならば、妾にとっても母も同然でございます!」


 …ドウモアリガトウゴザイマス。エンリョナク…。


 エレニ…。


「はい!」


 いつまでカナメに抱きついてるの?

 ついでに、抱きつきながら話してる間に力こもってったみたいよ…?





「母さん、遅いです。もう落ちてますよ」


 …どうりで静かだと思ったよ。

 まぁ、このまま寝かせときましょうか。起きたらうるさいし。


「…カナメ、可哀そうに」







 …キョウがなんか遠い眼してるけど、ほっとこう。


 てか、エレニ…見た目は清楚系和風儚美人なのに、ミーハーで姉バカか…。

 まぁ、可愛いもんだけど…弟締め落とすのはやめようか…。



















 さらに一週間後。


 やっぱり魔法を行使してきたんだろうねぇ…。

 キラキラしい美貌の少年がにこにこ笑顔で座ってらっしゃいます…。

 ミルドレッド女王の次女の息子…アーネスト=ミルドレッド=ビアトリス殿下(厳密には違うらしい)。


 …眩しい。


「あぁ、今日は天気がいいですからね」


 いや、そうじゃなくってさ…いや、良いです。


 …一つおたずねしてもいいでしょうか?


「はい」


 …武人だったんですね。


「はい。賢者殿の御子息方は武芸に優れていらっしゃるとか。ぜひともお手合わせをっ!」


 楽しそうですね…。


 なんか、熱血系スポ根漫画の主人公を思い出すわ。うろ覚えだけど。


「自分はエーデルパレス西方将軍を拝命しておりますが、まだ若輩ゆえ社会勉強をして来いと陛下に命じられてまいりました。勉強も必要ですが、やはり腕試しもしたいのです!」


 …あ、武者修行とかに勘違いしたわけじゃないのね。若干だけど勉強する気もあるのね。


 というか、ちょっと待て、おいこらクソババァ(ここにいたら一発入れてやるものを…ッ)。


 国家防衛の一端である四大将軍の一人をはずしていいのか。

 特使としては十分な地位ではあるけどもっ!


 あ、エーデルパレスは四方に将軍を配し、その上に大将軍がいるという軍事体制らしい。

 …つまり、軍事の第二位じゃないか。

 見た目十代後半、実際数百歳…。


 先週来た姫様は役職持ちじゃなかったとはいえ、外見詐欺はもういらん。

 こいつらの親や祖母で十分だっての……はっ。


「賢者殿は魔法に優れていらっしゃるとか! 是非とも一度お手合わせをっ!」


 ……気が向いたらね。


「はい! よろしくお願いしますっ!」


 素直な良い子なんだろうけどねぇ…。

 …カノン、あんたの母親の従兄弟だよ。家族だよ。そんなめんどくさい物体を見るような冷めた視線を送るんじゃない。


 …気持ちは分かるけど。






 アーネスト…外見はそれこそ線の細い薄幸の王子様みたいなのに、中身は熱血スポ根勝負好きな武人とは…。


 だれか、外見と一致する中身を持ってる子はいないの?

 …最後の一人に期待しよう。無駄だろうけど…。



















 さらに一ヶ月後。


 …予想外だけど、詐欺じゃない子が来たよ。

 思わず、パールと喜んだよ。


「初めまして。市長殿、賢者殿。ゲオルグ=ジェラルディオンの次男、マティアス=ジェラルディオンと申します。武芸は不得手ですが、勉学は好きです。色々と吸収して帰国したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします」


 …腰から九十度のお辞儀をこんな年の男の子がするとは思ってませんでしたよおばさんは(ノンブレス)。

 ちょっとは見習おうか、リオン。…眼を逸らすな、バカ娘。


 てか、武芸は不得手って、あの国では色々と大変だろうなぁ…。


「そうですね。兄は逆に武芸達者ですから余計に…。…あの、何故そんな瞳を輝かしていらっしゃるんでしょうか、アーネスト殿下」


 うん、まぁ、困惑するよね。

 ほっといて大丈夫よ、マティアス。アーネストは手合わせが趣味なだけだから…。


「それは、兄と話が合いそうですね。平和がなされた時は、ぜひご訪問ください」


 …西と南の国家交流が、女王の孫と代表子息の手合わせって良いの?


「戦士を敬う風習ですから」


 交流試合とか普通にあるの?


「はい」


 なら、平気ね。てか、普通なのね。


「…アーネスト殿下の背景を考えれば、闘技場はきっと無事では済まないような気がしますが。まぁ、それはこちらの問題ですので、お気になさらず」


 …ガチで見習え…って、リオン、どこに行こうとしてるのかな?

 え? パールのところ? フフ、あいつがかくまってくれると思ってるの?

 私が言えば速攻であんたを差し出すわよ、あいつは。

 観念なさい。


 …カノンはカノンで話が合いそうだからってうずうずしない。その手に持ってる本はしまいなさい。初対面の話題としてあり得ないから。

 なにさ、南方の毒性植物大全って…。

 え? 私が仕入れてた? いつのことよ。……八年前? あぁ…なんか、薬作りの範囲を広げた頃ね。あの時かぁ…。

 というか、よく覚えてるわね、キョウ。…私がずぼらだから? へぇ、いい度胸してるわね、この愚息が。 (←キョウを魔法で締めあげてる。床をバンバン叩きながら限界を訴えてるけど無視)


 は? 絶対血のつながりなんてない? …ゲオルグ殿に土下座して来い、バカ娘。

 …まぁ、ここまで共通点なかったら、そう思っても仕方ないけどね。





 マティアス…外見は眼鏡インテリの理系(ちょっと嫌味な)少年で、中身もまんま。ただし、嫌味とは疎遠な気遣いと穏やかさを醸し出してる…。

 人間だから外見通りだしね! 詐欺じゃないっていいね!


























 ギャップが激しくて現実逃避しかけたけど、最後で癒されたよ…。


 というか、これで大陸諸勢力の長の子供達が終結…。いや、一部は子供(?)て感じだけど…。

 今、ゲンデルに手を出そうもんなら、北を除いた大陸の全てが敵になる、と…。


 ………怖いって…。





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