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…いえ、元気そうでなによりです。(by ハリス)

 長寿族(レービヒカイト)は、その長寿ゆえか学問に秀で魔法に特化している。

 種族自体が高い魔力を持っていることも要因だろう。

 人口自体は多くはなく、古くは迫害された歴史がある為、東に国を作ってほぼ鎖国状態で繁栄していた。

 時代が変わり、鎖国したままではいけないと考えた族長であり国主(=ハリス)が中心となって、転送魔法を研究し始めた。

 それが原因で、跡取りとなる息子(=カナメ)が行方不明になるとは考えつかず…。


 まぁ、普通は考えつかない。






「我が国は、魔法障壁によって守られていますのでまさか国外に出ているとは思っていませんでした」


 泣きやんでくれてよかったけど、かなりぐったりしてるなぁ…。

 当然だけど。


 確か、長寿族の国ってガラクって言ったっけ?

 文化的には日本に近かったような…そういえば、ハリスさんが着てるのって平安時代の服装に似てる。


「ヘイアンジダイ?」


 あ、気にしないで下さい。こっちのことですから。


「はぁ…。賢者殿、敬語は結構です。話しやすい方で構いませんから」


 いや、さすがに自分の五倍近く生きてる方にタメ口は…。

 それにハリスさんも敬語ですし。


「貴方は見も知らぬ我が子を救って育ててくださったのです。我ら一族にとっては恩人。私が敬意を示すのは当然です」


 ……あれ?

 どうしてだろう。視界が歪むわ…。

 あぁ、あのバカども(=グランド)に爪のあかを煎じて飲ませてやりたい。


 まぁ、お言葉に甘えましょう。

 それにしても、そんな優しそうな笑顔を向けないでください。眩しいです。


 今まで、お気楽でおバカなカナメを見てただけだから、そうは感じなかったけど、あの子って美形だったんだ…。

 ……やっぱり性格のせいかな?ハリスさんの方が綺麗だ…。


「元気そうで安心いたしました」


 ……元気は元気でもバカだけどね。

 はぁ…。



「…賢者殿」


 はい?


「息子を返して下さい、といったら返して下さいますか?」


 あの子は物ではないので、それに返答することはできない。

 あの子の人生に関わることだから、あの子自身に聞いて。


「…ありがとうございます」


 ……どうしてお礼を言われるのか分からないんですけど…。














 息子達が帰ってくるまで色々と話をしたけど、長寿族って独特な成長をするんだ。


 十代半ばから後半まで人と同じように成長して、それから成長が止まり、二百歳前後で成長が緩やかに始まる。

 そして、長寿であるから繁殖力が低い。

 子供は三人いれば十分多いらしい。ほとんどが一人っ子だそうだけど…人口低下にならないのは何でだ。


 まぁ、動物とかは種が存続する最低数が決まっててそれを下回ることはないって言うから、それと同じことなんだろうけど。


「ただいま~…」


 お、お帰り。

 …見事にぼろぼろだね、カナメ。

 そして、なんかスッキリしてるね、キョウ。無傷ってとこは気にしない方が良いんだろうな…。


「カナメ殿」


 …律儀な人ですね、ハリスさん。

 自分でつけた名前もある(そういえば知らない)のに、今の名前でちゃんと呼んで、少し距離をとってるし…。


 召喚されるなら、こういう人の国が良かった…。

 それ以前に、召喚なんかしないか。


「君は、ここを離れる気はあるかい?」


「ない」


 きっぱりと言いすぎだ、カナメ。

 キョウが青筋浮かせてるよ。


 あ、でも、ハリスさん、今度は泣かなかった。


「賢者殿」


 はい。


「息子をよろしくお願いします」


 はい……って、良いんですか?

 そちらの跡取りでは?


「上に娘が二人いるので、どちらかに婿を取ってもらいます。それに、我が国は世襲にこだわっているわけではないので」


 いざとなれば他家を玉座に据えることができる、とそういうことね…。


「これほど立派に育ててくださったのです。お預けして問題はないでしょう。ただ、お許しいただけるのなら、たびたび様子を見に来てもよろしいでしょうか?妻や娘達も末っ子のことを特に気にしていましたので」


 もちろん。

 いつでもご自由に。


 ……立派と言ってくださるのは嬉しいけど、やっぱり、もうちょっと鍛えるべきだったね。

 頭を。


「…いえ、元気そうでなによりです」









 あぁ、本当に何でこの人の所に召喚されなかったのか…。


 過去を振り返っても変わらないから別に良いんだけど…。


 ひとまず、カナメ。

 あんたには明日から礼儀作法と勉強をみっちりさせるから。

 えぇ~!じゃない!!

 あんたは私の息子だけど、ハリスさんは素晴らしい人だったでしょう?!

 父親である人に恥をかかせないように、しっかりしなさい!

 キョウ、一緒に鍛えるよ!


「はい、もちろんです。母さん」


 いい笑顔!

 …キョウは残念だったもんね。


「出来るなら、カナメと変わってほしいくらいですね」


 全くね。






 翌日。

 うなだれるカナメを無視して組み上げた授業予定だけど、カナメが逃げなかったのが意外だった。

 それ以上の驚きがパールからもたらされたけど。


「ガラクと同盟結んだから。国家交流として一の姫が来ることになってるから。よろしく」


 ……仕事が早いですね、ハリスさん。

 非常にありたいですが。




 感心する以外に他はなく、本気でグランドに見習ってほしいと思ったのは私だけじゃないはずです、まる(作文風に)




…グランドのことを出したら長くなりそうだったので、次に。


月一、と思ってましたけどハリスさんが書きやすかったです。

設定がいち早く決まっていたというのもある。

以下、ガラクの設定を…。


ガラク

極東の小国ですが古くから未開の地だった為、国土は大国、人口は小国。

国土を覆う魔法障壁と国民全員魔導師(しかも高位)。

ゲンデルとは国を二つ挟んでます。そこそこに遠いんですが、完成した転送魔法を駆使してハリスさん来訪。

ちなみに、国を覆う魔法障壁は国主(=ハリスさん)が張ってます。

ガラク一の魔導師は間違いなくハリスさん。

未開の地ながらに土地は豊かで人口が少ないのでほぼ農耕地であり牧草地。

豊かなため、近隣諸国に援助しておりかなり慕われてます。

国民の性格が温和で戦いを厭うというのも原因。

半鎖国状態ですが、東方諸国のまとめ役となっており、はっきり言って小国の域ではありません。でも、ハリスさん以下国民のみなさんは小国と思ってます。

のんびりした国風。きっとカナメに合うことでしょう…。

迫害された歴史はどこへっという感じ。

過去のことだし、今言ったって、という感じで流してしまえる懐の広い種族。

でもキレると手に負えません。迫害された理由はキレ具合にあったと言っても過言ではない。

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