6/7
~ニンギョヒメ~5
4の続きです。
ぼうっと考え事をしていると教室の扉が、音を立てて勢い良く開いた。
「ほら早く席に着けー」
いつもより少し早く、先生が教室に入ってきた。
「センセー、まだ時間ありますよ」
「チャイムなってからじゃ遅いだろう。ほらっ」
「あ……」
ぽんっと軽く、先生はからかうような声を出した水沢さんの頭を叩く。
そして、周りの子たちに対しても『ほら、早く席に戻れよ』と気だるそうな声で席に帰させた。
「ん? どうした」
先生は、神妙な顔をして水沢さんに声をかけた。
「あ、いえ。なんでもない……です」
水沢さんは顔を赤くさせていた。
声は小さく、私の席が前だったことでどうにか聞き取れる程度の小声。
なるほど、そういうことなのか。
もしかすると私は、人魚姫が恋する王子さまを見つけてしまったのかもしれない。
「それじゃあ、授業始めるぞー」
先生が教卓の前に立つと、時間を計ったかのようにチャイムが鳴り、いつも通り授業は始まった。
内容がそれほど難しくなかったのが手伝ってか、授業中私はずっと先生と水沢さんのことばかりを考えてしまっていた。




