~ニンギョヒメ~4
3の続きです
「よっちんさ、朝から雨って何でだろう……」
窓の外は、昨日から変わらず同じような景色だった。
「梅雨の季節だからねー」
私の愚痴に対して、前の席から間延びした女の声が返ってくる。
「よっちんさ、叶わない恋って何だろう……」
「なんだろうねー……、えっ?」
目をぱちくりとさせ、彼女は言葉を失って固まった。私の聞いたことがそんなに以外だったんだろうか。
「まさかみゆきの口からそんな言葉が出るなんて、思わなかった」
彼女は本当に驚いた様子だった。
「私のことどう思ってるの。それよりさ、どう思うの?」
「それは相手に好きな人がいる、とかが一般的じゃないのかな」
「ふーん……」
自分が好きな人にはもう好きな相手がいる。
一方通行の恋。
だから水沢さんは、自分のことを人魚姫だと言ったんだろうか。
すむ世界が違うのに、交わるはずがなかったのに、王子に恋心を抱いてしまった人魚のお姫さま。
私は視線を、教室の前にいる水沢さんへと移した。
「どんな感じなんだろう」
水沢さんは可愛いくて性格も明るい。
このクラスで役員をやっているし、水泳部では部長も勤めていたと思う。
責任感がある上に、頭もいいと来たものだから男女の両方に人気がある。
そんな彼女だったなら、相手がいても奪えるんじゃないだろうか。
「叶わない恋ね……」
「え、なになに? もしかして興味あるの」
「いや。なんでもないよ」
なんにせよ、水沢さんは相手のことが本気で好きなんだろう。
そう思うとなんだか羨ましい、かな。
私じゃきっと、そんな気持ちにはなれないから。




