~ニンギョヒメ~2
1の続きです。
授業の終わりを告げる鐘がなる。
雨が降っている所為か、放課後に私が当番の仕事を片付けた頃には、校舎に人はまばらになっていた。
「まだ降ってるんだ……」
空を覆い隠す雨雲は、午後になっても一向に無くなる気配がなかった。
むしろ雨足は朝よりも強くなっている様子だ。
「さっさと帰ろう」
特に用事もなかった私は、傘を広げると早足で家に向かい歩き出した。
「え」
どきっとして、私は一瞬、自分の目を疑った。
帰ろうと歩き出した矢先に、不思議な光景が視界に入ったのだ。
深い青を魅せる紫陽花の咲く庭から、人の足が覗いている。
うそ。人が倒れてるの?
瞬間的に、頭の中で一度にたくさんの考えが爆発した。
嫌なことは考えたくないけれど、もしかしたら……があるかもしれない。
こんなこと普通じゃないし。
そう考える同時に頭の中が真っ白になって、私の足は庭に向かい走り出していた。
雨に濡れることが嫌だったはずなのに、もうお構いなしで。
「あれ……」
見えた足に近づいたところで、やっと顔が見えた。
女の子だった。
それも私が知っている顔。
たしか同じクラスの水沢さん……だよね。
紫陽花に囲まれる形で、水沢さんは横になっていた。
雨に濡れて首や肩にぴったり貼りついた髪に、濃い藍色のジャージから細い腕を伸ばして。
まるで童話とかの物語に出て来そうな、お姫さまといった感じがする。
だけど、今はそんなことよりも先に。
「あの、大丈夫?」
もう一度、雨にかき消されないように私は声をかけた。




