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2025企画参加よりツナグはなし

さあいこう~ちぇんじまいらいふ結成ばなし~

作者: 山本大介

 ちぇんじまいらいふの結成秘話なんちて。


 ここは柳川、沖端の町にある海苔屋である。

 閉店後、みんなは残って会議をしていた。

「アイドル、やってみようよ!」

 明石環は目を輝かせて言った。

「無理だってアイドルなんて、舐めちゃいけないよ」

 白石静は大きく首を振った。

「まあまあ、そんなに深く考えず、おにぎえ(柳川の秋祭り)の三柱神社で行うイベントだから軽い気持ちで大丈夫だよ」

 観光協会の役員を務める、環の父、俊二は宥める。

「はい。アイドルって何ですか?」

手をあげた流星綺羅々が、そもそもを尋ねる。

「アイドルというのは町おこしに必要な存在なのだ」

 環の兄和志がそう言う。

「違います。アイドルとは人々に夢を届ける崇高な・・・」

 静は自分の思いの丈を伝える。

「素敵で可愛くてカッコイイ人たち!」

 環は能天気に言う。

「はあ。なんとなく分かりました。そのアイドルに私たちがなるという事なんですね」

 綺羅々は得心した。

「そう!やってみよう!」

 環は綺羅々の手を取った。

「たまちゃん、そんなに甘いものじゃないよ。人様に見せるものだし、緊張だってするし、衣装や歌だって・・・」

「はい衣装は私が得意の裁縫で用意するわよ」

 と環母の絵美がウィンクする。

「じゃあ。ボカロPの俺が曲を作るよ」

 碧はおずおずと手をあげ言った。

「わー、二人とも凄いありがとう!」

「ありがとうございます」

 環は喜び、それにつられ綺羅々も礼を言う。

「ちょっと、倉野君、まさかのボカロPだったの」

 静の驚きに、碧は頭を掻きつつ頷いた。

「ね、しずちゃん、やってみようよ」

 全員の視線が彼女へと注がれる。

「・・・分かりました。とりあえず・・・とりあえずね」

「やった!」

 環は飛びあがって、碧とハイタッチをする。

 こうして、環、静、綺羅々のご当地アイドルグループの結成となった。


 

 という訳で、なんやかんでおにぎえ開催まで一週間をきった。

 アイドル結成を決めたものの、試行錯誤の毎日でようやく自分達がそれなりと思えるものが出来はじめた。

 市民会館のレクレーション室を借りての練習の日々、ジャージ姿の3人娘は既存のアイドルの曲でダンスを模倣練習に汗を流していた。

 首にかけたタオルで汗を拭い、床にへたり込む。

「あー疲れた」

 環は床に腰をつけ両足を伸ばし笑顔で言う。

「ですね」

 綺羅々は頷いた。

「・・・・・・」

 静はスポーツドリンクを口に咥え物言いたそうな顔を見せる。

そこへけたたましい足音が響いて碧がやって来た。

「できた!できたぞっ!」

「本当!」

 環は飛びあがって碧へ近づく。

「ああ!聴いてくれ」

 焼いたCDをラジカセに入れ、曲を流す。



「Change My Life(ちぇんじまいらいふ)」 作曲倉野碧 作詞CMLz


 Change My Life  Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ

 Change My Life  Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ


 このままずっといられたら君の夢が奏でだす

 このまま時よ止まってくれ

 ボクの上で止まってくれ

 限りない時間限りある時間どっちがいい

 今なら言える

 限りある時間で夢を紡ごう繋ごうよ

 このままずっといられたら君の夢が奏でだす

 このまま時よ止まってくれ

 ボクの上で止まってくれ

 だから愛おしいだ

 だから切ないんだ

 願っても叶えられぬ願い

 だから変えるんだ変えなくっちゃ

 ボクらの思いをのせて

 さあいこう思った時からはじまりなんだ


 Change My Life  Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ

 Change My Life  Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ



 曲が終わり、碧はラジカセの停止ボタンを押し振りかえる。

「どうだった?皆の境遇、意向や思い代表して歌詞にのせてみたけど・・・」

 不安気に尋ねる彼、

「いいじゃない」

 静はゆっくりと頷いた。

「はい」

 綺羅々はサムアップする。

「ありがとう!アオちゃん・・・グループ名決まったね」

 環は感動をそのままに口にする。

「?」

「ちぇんじまいらいふ・・・人生を変える、これでいこうよ」

 彼女は胸に手を当てて言った。

「うん」

 皆はその言葉に頷いた。


 

 お祭り前日。

 市民会館で最後の汗を流した後、3人娘は亀の井ホテルの大展望温泉へ入った。

 誰もいない貸し切り状態の屋上展望風呂より、夕日に染まる掘割が見える。

 環は真っ白い肌に、年の割に幼くみえるちいさなふくらみを晒し、すっぽんぽんで腰に手をあて眼下の掘割を眺めていた。

「絶景かな、絶景かな」

「何言ってんのよ」

 静は165㎝ある身長にすらりと伸びた手足、胸とお尻はそこそのスレンダーボディを温泉に浸かり言った。

「いよいよ。明日ですね」

 綺羅々は幼くみえる顔の割に、立派なものを持っている。

静の隣でぼそりと呟いた。

「そうだね」

 我に返った静は緊張の面持ちで頷いた。

「なるようになるだよ」

 振り返った環は、シリアスモードの二人に両手で湯をすくい顔にひっかけた。

「ぷはっ」

「ぺへっ」

「ふふふ」

 笑う環に、お返しとばかりに2人は大量のお湯をお見舞いした。


 おにぎえ当日、山車が柳川の町に繰り出し威勢のいい声とともに賑わっている。

 三柱神社高畑公園に特設のステージが作られ、ご当地アイドルユニット、ちぇんじまいらいふの3人はガチガチに緊張してステージの側で待機している。

「えー、大正琴演奏会がもうすぐ終わるぞ、俺たちの出番は次だ。準備はいいか」

 碧は言う。

「倉野君はでないくせに偉そうね」

 静は悪戯っぽく言う。

「・・・・・・」

「あ、でも、アオちゃん、足が震えているよ」

「ですね」

 環の言葉に綺羅々は笑って続く。

「ご当地アイドルさん!そろそろ出番です」

 係のおじさんが皆に声をかける。

「ちぇんじまいらいふだって!」

 碧かそう言うと、環はぽんと肩を叩いた。

「みんな」

 彼女は右手を差し出す。

「うん」

 四人は手を重ねる。

「私たち、運命を変えるのはっ!」

 環の叫びに、

「ちぇんじまいらいふっ!」

 皆で答え、天を指さす。

「さあ、いこう!」

 碧はパンパンと手を叩き送り出す。

 3人の新アイドルは輝くステージへと走りだす。

 ここからちぇんじまいらいふの伝説がはじまるのだった。



 友情、努力、勝利っ!(笑)

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