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ねじれ

作者: 豆苗4

ねじれている物を見ると直したくなるだろうか。それともそっとしておくだろうか。断然そっとしておく派である。ねじれていることはよくあること。むしろすっきりしている方が不思議だ。欠落の過多によりむしろ不安定だろう。


階段よりもバケツを。

椎茸よりもこんにゃくを。

アライグマよりも北風を。

付箋よりも撒菱を。

頑強さよりもなめらかさを。


ひっそりとした崖から線路のレールを放り投げる。

除雪車ははじけたそら豆を宇宙から救出。

調子外れのコントラバスが三限のチャイムを乗っ取る。

ヤスリがけした木の枝はお湯に肩まで浸かっている。

ペンキをぶちまけて凍った湖に土管を設ける。

ワープワープ。火星の核まで。

湿った潮風はドーナツが降る夜の予兆に過ぎない。

ビンは表と裏を間違えて門松にぶつかる。


ついにねじれ伯爵との面会が叶った。

いままでのねじれた功績が認められたらしい。


「そなたに聞こう。ねじれとは何だ。ねじりパン、位置関係のねじれ、ペンキに土管のねじれかそれともドーナツ降雨現象のねじれか。はたまた帽子の中に提灯と地図を見つけたねじれか」

少しの間の後、こう答えた。

「指輪のねじれにございましょうや」

伯爵はしみじみと感じ入ったようにひと言呟いた。

「ほほう。これは一本取られたな」


そうであるならば、これを。

くしゃくしゃになった石像をもらった。

しわの上から書かれている文字を判別する。


押してダメならねじってみよ。

引いてダメならねじってみよ。

開かずの扉に証をかざすだけ。


「ははあ。なるほど」

石像を再びぐちゃぐちゃにして小さくしてからにポッケに入れる。

「さあ、行きたまえ。ねじれ大王が待ち侘びているぞ」


お礼を言って伯爵の元を後にした。

ねじれ道はまだまだ奥が深い。


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