御伽話
次の日、俺達は謎の集団の調査と、昨日行ったドワーフのお店に行く組の二つに分かれた。
調査は俊也とリア、お店には俺とミーシャが行くことになった。
「かず、まだあの店に用があるのか?
武器はもう手に入ったのに」
「ああ、それとはまた別件だ。
じゃあ行ってくる」
それぞれに分かれて行動を開始した。
俺とミーシャはなるべく人混みに紛れながら北区域に向かった。
幸い、今のところは尾行されていない。
これならドワーフのお店にも迷惑はかからないはずだ。
そしてお店にたどり着いた俺達は早速入っていった。
「いらっしゃいませ! おや?昨日のお客様じゃないですか〜今日はどういったご用件で?」
店主が奥の鍛冶場から出てきて対応してくれた。
「昨日譲ってもらった武器がとてもよくて興味しかありません!あれを調べまくっていずれ私の作品にも付与を・・・」
そう言いながら途中で止まってしまった。
「?・・・店主さん?」
店主はミーシャをみていた。
そして衝撃を受けたような顔をしてこう言ってきた。
「あ、あなたほどの美人がいたとは!!
この鍛治しか能のない私にとってはあなたが女神のように見えます!
どうか、私とお付き合いしていただけませんか!?」
「はぁ!?」「えぇ!?」
俺達二人は驚愕した。
「待て待て待て!急に何を言っている!?」
「一目惚れです!こんな可愛くて見惚れてしまう美貌を持つ女性はなかなかいません!だから求婚しているのです!」
興奮気味の店主だったが、ミーシャからの一言で凍りついた。
「えっと、ごめんなさい。
私もう夫がいますので」
「・・・え?」
店主の腑抜けたような声を聞いてミーシャは言った。
「私の夫はこの人です。
お気持ちは嬉しいですが、この人以外は考えてません」
「既婚者だったのか・・・そんなぁ・・・」
店主は膝から崩れ落ちて床に這いつくばってしまった。
まだ結婚はしていないが、ここでそう言えば断りやすいとミーシャは考えたんだろう。
まあ近いうちにミーシャとの結婚はするつもりだからいいんだけどね。
「そ、それより店主さん?実は聞きたいことがあって来たんですが・・・」
「あ、ああ・・・すみません。
あまりの出来事に追いついてなくて。
それで、今日はどういった用件で?」
「店主は天珠石というのをご存知ですか?」
それまで涙と絶望で満ちた顔をしていた店主の顔が真剣な顔に戻っていた。
「・・・ええ、知ってます。
なぜその石をあなたは知ってるんですか?」
「書物で読んだことがあるんです。
これがあればあの錬金ができるらしいと」
「なるほど・・・あなたもあの御伽話を信じると」
「ええ、ところどころ美化はされてますが、最後のあのシーンは恐らくそのままのはず」
「間違いありません。
あれはドワーフの種族でも語り継がれてきた伝説です。
美化されてるのは先代達の悪い所でしょうが・・・」
「なら、それの在処を教えていただきたいです。
俺達にはどうしても必要なんです」
「その前に一つ確認です。
御伽話はどこまで知ってます?」
「天珠石の存在とそれで作れる物のことまでしかわからないですね」
「実は他にも隠された話があるんです。
それを理解しないと入手はできませんよ」
「どういうことですか?」
「あなた方には助けてもらった恩と武器を譲ってくれた恩があります。
お話しましょう」
そう言って店主は閉店の看板をして俺達を部屋の奥に案内してくれた。




