宰相の失脚
どうしても長くなっちゃいます。
宰相カルベルは焦っていた。
トニーやバルマだけでなく、誓約書や薬品まで一緒に送られて王の前に現れたのだ。
もしトニーやバルマが私の関与を暴露したら?
証拠品の中に私に繋がる情報があったら?
そう考えるとカルベルの頭はどう対処すればいいかということしかなかった。
(こいつらはどうなっても知らん。
だが私はここで失敗するわけにはいかんのだ)
宰相は身の保身のため、容疑者の抹殺と証拠品の回収と廃棄を狙っていた。
だが、容疑者の身柄は地下室の牢屋の中だ。
カルベルが先ほどの騒動の後に向かったら怪しまれる可能性もある。
証拠品も王の元に送られたため、今すぐの回収はできない。
結局今は待つしかない・・・時が来ればすぐに動いてやる。
しかしその夕方、カルベルは王に呼び出された。
「カルベルよ・・・なぜ呼ばれたかわかるか?」
「いえ・・・皆目検討もつきません」
「実はな、お主が裏で行ってる人身売買のことを知ることができた。
動かぬ証拠もな」
「な・・・!?」
カルベルは驚愕した。
なぜわかった?どこで漏れた?
いくら考えても答えはでない。
「王よ!なぜ急にその話をされるのですか!
まさか、またあの手紙の差出人の方を信じるのですか!」
「今回の証拠品の中にはお主が行ってきた売買の証拠が入っていた。
このえいぞう?とかいうもので詳細にわかった。
もう言い逃れはできんぞ?」
「な、えいぞう?なんですかそれは!?」
「これだ」
王は手元にある手紙を出した。
その手紙から画面が出てきて、その中でカルベルが人身売買や薬品の受け渡しなどの映像がしっかり映っていた。
「そ、それは・・どういう技術なのですか!?
なんでそこに私が入ってるんですか!?」
「それは私にも分からぬ、だがこの映像は私が放った密偵の調べた情報と全て一致している。
疑う気もないわ」
「そんな・・・全て後始末をしていたのに・・・こんな」
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今回渡した証拠品の中に、王宛の手紙を忍ばせておいたのだ。
それには宰相の現場映像を映せるように細工をしておいた。
王はその映像を食い入るように見て、そして静かに憤怒していた。
「あのカルベルがこんなことを・・・なんということだ」
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「私はお前を信用していた。
その類稀なる頭脳を我が国に発揮してくれることを1番に期待していたのだが・・・こうなってしまうとはな」
「わ、私は・・・ここに立つために努力をしたのに・・・何が間違ってたのだ?」
「そのような悪行に手を染めなくても、私はお前に興味があったのだぞ?」
「えっ・・・?」
「王立学校を主席卒業したという偉業は私の耳にも入っていた。
そういった才能を持った者を腐らせてしまうのは勿体無い。
だからこんなことをしなくても、いずれは私の方から声をかけようとしていたのだ」
「!!」
私は何を焦っていたのだろう。
目の前のチャンスに考えなしに飛びついて、それが結果として王の期待を裏切ったのだ。
全て私が・・・悪いのだ。
「申し訳・・・ありませんでした」
膝から崩れ落ちたカルベルを見て、王は一言だけ放った。
「今回は重罪ゆえ、重い処罰に致す。
だが・・・もし罪を償い、心を入れ替えてこの国に仕えてくれる気持ちがあれば、また私を支えてほしい」
「国王様・・・」
「お主は優秀じゃ、誰よりも私がそう思っておる。
必ず戻ってくると信じておるぞ」
「う、ううう・・・」
カルベルはその場にうずくまってしまった。
私は、この罪を償う、処罰は全て受け入れる。
こんな私でももし、夢が叶うなら、またこの王に仕えたい。
今度は全てを賭けて・・・この国のために身を捧げよう。
そう誓うカルベルであった。
人は過ちを犯す、でもそれから這い上がれるのもまた人




