王の決断
これは別の視点のお話
北の大地に城を構えるグレッシュ王国。
代々1000年以上続いている国の一つで、基本的に人間が住民のほぼ9割を締めている。
その国を治める王族の名はアルブランド家。
王家とは言っても、権力はそこまで大きくはなく、国民に寄り添う気持ちを1番に大切にする王家だ。
「最近一部の貴族が怪しい行動をしている。
もしかしたら何か裏でやっているかもしれん」
この国の国王、アルブランド・ウェンバーグは報告書を見ていた。
「しかし国王様、それだけでは貴族相手に何も対処できません。
証拠も何もないですし、調査も難航しております」
王の部屋で話す男は宰相のカルベルという名前の男だった。
「それはわかっている。
だが、怪しいまま放置すれば、国民の不安は高まる一方だ」
「その通りでございます。
何か対策を考えなくては」
王は今の状況を嘆いていた。
我ら王族が知らぬところで何が起こっているのか・・・徹底的に調べなくては!
「失礼致します。王様宛に手紙を預かりました」
一人の兵士が手紙を届けに来た。
「手紙?だれからだ?」
王は不思議そうにしながら手紙を開封した。
「国王様、お手紙でのご報告になることをお許しください。
今この国では裏で人身売買が行われております。
私達はその証拠となるものを手に入れました。
そして、その関与した貴族も既に拘束しております。
もし私達を信用してくれるのであれば、身柄と証拠をお渡しします。
交渉が決裂すれば、こちらで全て処理してこの国を去ります。
全てを知るか、知らずにいるか、お決めください。
信用される場合は手紙を燃やしてください。
そうでない場合は破り捨ててください。
それでこちらは答えがわかります」
何ともおかしな手紙よ・・・信用に値するのか?
「王よ、どんな内容でした?」
「この国で人身売買が行われているようだ。
しかも既にその証拠と容疑者を捕らえている。
信用するならこちらに引き渡して、そうでなければ秘密裏に処理するらしい」
「そんな誰からもわからない手紙を信用する必要はありません!
もしかしたらその賊が我らを騙すために送ってきた可能性もありますぞ!」
確かに・・・そういう考えもあるか。
しかし、この手紙は無下にしてしまっていいのだろうか?
この差出人は我らが知らぬ人身売買のことを調べ上げておる。
もしも本当だったら?何も知らないまま終わる?
それでは王としての威厳も保てぬ!
「我はこの手紙を信用しようと思う。
もし賊による策略なら返り討ちにしてくれよう」
王は窓を開けると、手紙を火魔法で燃やした。
これでよいのだろうか・・・だが決めたことだ。
後は連絡が来るのを待つのみ。
何があるかは分からぬが、その時に考えれば良い。
決断の先はいかに・・・




