先に手を出してきたのは・・・
難しい・・・
俊也とリアは町外れのスラム街に来ていた。
町にいる時に住民の噂話の中で不審なことを聞いた。
「スラム街で子供達が失踪するという事件が起きてるそうよ」
「やだ物騒な話ね。
でもスラム街の事件なんて誰も気にしないんじゃない?」
「王族が調べているそうよ。
だけどあまり詳しいことはわかってないようね」
ふむ、失踪事件か・・・何か匂うな。
「リア、この事件について調べてみよう。
ちょっと気になることがある」
「わかった。
今すぐ行こう」
俺達は早速スラム街に向かうことにした。
街から少し離れた位置にあるスラム街は思ったより寂れてる感じのしないところだった。
普通スラム街ってボロボロの家やテントとかがあるイメージだったけど・・・。
「なんだかスラムって感じじゃないな。
少なくとも雰囲気は悪くない」
「王族や貴族が支援しているみたい。
とは言っても、貴族はほんの一部だけらしい。
他は放置気味と言ってた」
このスラム街で一体なにが・・・?
近くを歩いていた子供に話を聞いてみることにした。
「すまない、最近ここで起きてる失踪時間について調べてるんだが、何かわからないか?」
「んーっと、わからない!」
「そうか〜邪魔してごめんね」
子供が元気に走っていく姿を目で追いながら
「何か気づいた?」
「目が泳いでた。何かある」
こっそりつけてみるか・・・何かわかるかもしれん。
俺達はすぐにあとを追いかけていた。
先ほどの子供はスラム街の奥にある小屋に入っていった。
少し離れた草むらに隠れた俺はスキル【透視】と【盗聴】を発動した。
これで壁があろうと向こう側は見れるし、会話も聞こえる。
リアにもスキル【感覚共有】を使うことで同じように情報を共有できる。
さて・・・どんなことがわかるかね?
「またあの失踪事件のことを聞いてきた人達がきたよ。
しかし、王族の方々とは雰囲気が違うみたい。
あの人達は信用できると思う?」
「はっきりとしない今は頼りにしない方がいいんじゃない?
他所の方を巻き込むのは申し訳ないし・・・」
「だけどこれは僕達の問題だ。
王族も協力してくれるけど、僕達にもっと力があれば誘拐されることはなかったんだ。
これも僕達のせいだよ・・・」
「そんなに自分を責めないでよ。
でも私達も何もしない訳にはいかないでしょ!
みんなで協力して誘拐されたみんなを探し出すの!」
「「「「うん!」」」」
俺はどうやら思い違いをしていたようだ。
こんな小さな子供が一緒に暮らす仲間を助けようとしているんだ。
何か力になってあげたい・・・そして誘拐した黒幕に対して底知れぬ怒りを感じた。
黒幕はこんな立派な子達に手を出したんだ。
ただで済むと思うなよ?俺がその気になれば・・・
「とし、ダメ」
リアがふと俺の手を握ってくれた。
「いまのとしは危ない。
何をするかわからない。
私だって怒ってる・・・でも冷静になって」
リアの言葉で正気を取り戻すことができた。
「ごめんリア、確かに俺は冷静じゃなかった。
あと少しでとんでもないことになってたかも」
「大丈夫。
あなたが怒るのもわかるから。
でも今はまだ情報不足。
しっかり調べてから行動しよう」
「そうだな。
とりあえず和也とミーシャに合流するか。
ちょうどいい時間だし」
「うん」
俺達は小屋を後にして広場に向かった。
無垢な子供達に手を出したのは奴らだ。
絶対に後悔させてやる。




