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人狩り

「俺の名はサイバだ。

兄ちゃん達はアクバン帝国に行くんだよな?

まずは人狩りについて話してやるよ」


サイバは俺達側の席に座り、話をしてくれた。


「人狩りってのは数ヶ月に行われる国の伝統行事みたいなもんだ。

住民、冒険者、観光客など様々な人を集めて優秀な人材を見つけたら強制的に国の兵士にするんだ。

名前の通り人を狩る…残獄な国だぜ」


「住民ならともかく、観光客や冒険者を狙うのはなぜですか?冒険者なら拒否できそうですが…」


「いや、人狩りの時は帝国の中でも一番の実力を持つ将軍、リュウギン将軍が同行することになってて、その実力は恐らくこの大陸…いや、この世界でも一番の強さを持つ男ってところだ」


なるほど、並の冒険者だと歯が立たないってわけか。


「その将軍に逆らうことは死を選ぶのと同じ事だ。

絶対に手を出すべき相手ではないぞ?」


「わかりました…そういえば帝国の階級社会はすごいと聞きました。

それについて詳しく教えてくれますか?」


「ああ、まず階級についてだが、最上級は皇帝とその周りの大臣達、そして将軍とその配下達、それから兵士となっている。

そこから下は貴族、平民、奴隷となってるが、平民と奴隷はほぼ同じ扱いだ。

平民以下はきつい税金を納めるために日々大変な仕事をしているな」


まさに階級社会だな…帝国という名前が似合う。


「税金を納められらなかった者は強制的な取り立てが行われて、もし取り立てる物がなければ…連行されて行方知れず、なんて当たり前になっている」


酷すぎる……国として最低レベルだ。


「こんな国でも滅びないのは将軍がいるからなんだ。

もしその気になれば他の国に攻めることも出来るだろう。

だが国民からしたら戦争になると今まで以上の徴兵と物資の確保のための徴収も酷くなる。

それを避けるためには戦争が起きないように税金を納めるしかないんだ」


将軍か…一番の脅威はこいつだな。


「貴族もいるが、こいつらはほぼ置物だ。

将軍がいるから好き放題には出来ないし、問題を起こせば粛清される。

ある意味将軍の存在が貴族達への牽制ともなるな。

だから国民達はまだ耐えられる状況なんだ。

以前は貴族も将軍側だったんだが、何かやらかしたみたいで大人しくなったな」


「抑止力にもなってるんですか。

全てが悪って訳では無いのか……」


「とまあこんな感じだ。

ちょうどもうすぐ人狩りの時期だから、行くならタイミングはずらすことをおすすめするぜ」


「ありがとうございます。

有益な情報でした」


「お待たせしました〜アプリルのジュースとシャリタカのフライでーす」


看板娘が料理を持ってきてくれた。


「すみません、この方に1杯ビルムをお願いします。

今回のお礼ってことで」


「お?いいのか?ありがとよ」


「は〜い、今お持ちしますね」


「ということで、今はこの港町でのんびり過ごすのが一番だぜ。

人狩りの期間はバラバラだが、平均して1週間程度だ。

それが過ぎれば多少は安心できるかもな」


「ビルムをお持ちしました〜」


「お?待ってたぜーじゃあいただくよ」


サイバは届いたビルムを持って自分の席に戻った。


何ともタイミングが悪い…俺達は時期をずらしてアクバン帝国に向かうことにした。


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