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桜嫌い嫌い

作者: 雉白書屋

 わたしは桜が嫌い。大嫌いだ。

 何て言うと、みんなどうして? って顔をする。

 単純な話。わたしが梅だからだ。


 似てるからって比較されて、時には偽物呼ばわり

なんだ梅かぁってがっかりされてホントいい迷惑。

 

 梅と桜。見た目は似ているのに響きも字も桜のほうがずっと綺麗。

 梅より後に咲くくせに、先に散る桜。惜しまれるのも愛でられるのも、桜ばっかり。

 だから桜が嫌い。嫌い。

 その枝をへし折ってやるの。いい音がして、ああいい気味だ。




「……あ、おねえちゃん、いらっしゃい。あ! ダメだよそれー」


「なにがよ」


「桜の枝! 折ったんでしょ? ダメなんだよ」


「別にいいでしょ。たくさん伸びてたし、そもそもあんたが見たいって言ったんじゃない」


「そうだけどさぁ……あ、花瓶、なにするのっ」


「なにって、入れ替えるのよ。桜だけで十分でしょ」


「そんなこともないよっー。ほら、梅の花と一緒だから嬉しいのっ。

だってさ、わたしと――」



 ……桜が嫌い、大嫌い。

 ほんのちょっと後に産まれて両親から可愛い名前をつけられた桜が嫌い。

 

 梅も嫌い。お姉ちゃんだから妹の先を歩いてね、守ってあげてねなんて

そんな意味の自分の名前が嫌い。


 桜が嫌い。すぐに散っちゃうから嫌い。

 梅も嫌い。泣くことしかできない自分が嫌い。


 わたしは桜が嫌い。そんな自分が嫌い。

 

 桜きらいぎらい。

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