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はじまり

遂に今日を迎えた。


アメリカ・日本・ドイツの共同会社、VRSが昨年春に発売を発表した【ユートピア】。

VRMMORPGでありテーマは非日常を体験する。


発売発表会見から3ヶ月後、VRSはVRSスタッフによるプレイ動画を配信。


瞬く間に世界中でVRS社製のVRギア(本体)の予約注文は殺到し、日常的にゲームをする人々のみならず、ゲームに興味のない人々までもを巻き込んだ一代ムーブメントを巻き起こし、テレビ報道は加熱の一途を辿り、ネット上は歓喜の嵐だった。


異世界転移を題材にしたマンガ、アニメは数知れず、評価の高いモノもあった。しかしながらVRを使ったゲームもアニメ・マンガ同様に数多く発売されたが、結果として今まで評価が高かったモノは一つもなかった。


今回も、期待値を上回ることはないだろうと世界中が嘆いていたが、あのプレイ動画がその認識を一新させた。

画面に映っていたのは、まさに人でありモンスターであり、リアル体験だった。

またそのプレイ動画の配信と同時に追加情報も発表されたことも拍車をかけたのだろう。


それは年齢、容姿、性別、声などを変更でき、本当になりたい姿になれ、その姿で冒険に。

実際にVRS社の社長が、容姿などを変更した状態で画面に映った画像は、まさにヒトであり全く違和感もなかった。


搭載されているAIの思考も人そのもので、会話、仕草や表情はNPCキャラクターにより千差万別。その世界に住む人々を映していた。


ただ残念なのは、ファンタジー定番のドワーフやエルフ、妖精にキャラクターエディットできない点だったが、アップデートでそれにも可能性を残している。とネット上では真偽を疑う情報も駆け巡っている。


発売発表から1年たった今日、後1時間ほどで、遂に【ユートピア】がプレイできる。


ピローン

スマホに目を落とすと、秘書の小林さんから仕事の報告書が届いた。秘書がいる、

つまり俺は社長です。ドヤぁぁ

いや部下は秘書の小林さんと、受付兼事務の畑中さんの2人だけど。。。。


俺が大学在学中の20歳に企業した会社、てんぷら。

株や投資関連の会社(現在はコンサルと投資が占めている)なので、上がる(揚がる)ほうがいいかなと思って、つけたんだけど、ネーミングセンスはお察しの通り。


センスはさておき、会社の業績は鰻登りであり、年商は2000億弱。この業績規模でこの従業員の少なさは普通ありえないが、仕事内容が仕事内容なので、なんとかなっている。

勤務は月・火・水・木・金の10:00-16:30

うち昼休憩に1時間、残業はほぼなし!

ビバ!ホワイトの鏡!!


会社自慢じゃなくて、小林さんの話だ。小林さんの話だっけ?

超がつくほどのゲーマーの小林さんが、いつもは全くゲームの話をしてこないのに、【ユートピア】に限っては、社長もぜひにと勧めてきた(強要)こと、昼ご飯中にプレゼンを何度も何度もしだして、畑中さんも俺も興味を引かざるをえなくなり、完落ちした。


今となっては会社全員(3人)がモチベーションMAXまで持ち上げられている。やるな小林さん!


最先端のVRギアは、値段が13万と割高、ソフトを含めると15万にもなる。その上、プレイするために月額1000円かかる。

この経費がかかっても予約殺到なんだから、【ユートピア】の布教は凄い。

教祖は小林さんか?信者の俺は社員分までまとめて購入しましたよ。(そのための布教か?)

それに今日の水曜日からゲームが開始されるため、全てのスケジュールを調整し、日曜日まで仕事はしなくても大丈夫だろうという見込みだ。


ちなみにサーバーの過負荷を避けるためにあえて平日の水曜日に開始したのではないかと、うちの名探偵小林さんは言っていた。


とはいえ、社会人の俺達はそんなにゲームできないだろうって?

ノンノンノン!【ユートピア】は現実世界の1時間が、ゲーム内では3時間進むという、時間の概念さえも捻じ曲げた仕様になっているらしい(小林さんプレゼンツ!!)。


また健康管理のため、現実世界の4時間、つまりゲーム内で12時間たつと自動的にシャットダウンされるらしい。(小林さんプレゼン○□)

それに1日のトータルプレイ時間は、現実世界で12時間までと決まっているらしい(小林さ○□△・・・)


連続で4時間、クールタイムに1時間必要なため、休みの日にずーっとプレイできないもどかしさはあるものの、社会人でもある程度は時間確保もできるし、学生など時間を持て余していてもなかなか先に進めない可能性もあるということだ。


やるからにはトコトンやりたい!と思っている。元々多くのゲームをやってきたわけではないが、はまったらトコトンやるタイプの俺は、打倒!教祖小林さんを掲げて、いざゆかん!


いや待て待て。小林さんの報告書だ。ギリギリまで仕事をしてるのは流石小林さんだ!俺も見習おうではないか。

うーん、、この案件は、非常にシビアだな。むしろ上手くいってない部類になる。

まず問題点は、大きく分けて経費面、成長戦略。


ざっと計算しても、このままでは、、、あの会社と組み合わせて、、あーしてーこーして、これはダメだな。。いやあれも含めていくと、3社必要だな。

説明は、うーん、、、、よし。


「もしもし、てんぷらの里中と申します。営業部の米井さんはおられますか?

お願いします。

お疲れ様です。てんぷらの里中です。米井さん、あの案件ですが、、、、、、、」


あの後結局、俺はゲームをすることは叶わず、翌日に始めることになった。

小林さんよ、さては最後まで焦らす作戦ですな〜クゥぅぅー!


くそー!出遅れた。

でもあの案件が進むことで、気持ちよく、より熱中できるってもんだよな。


じゃあ早速プレイしていこうか!


VRギアは、ヘルメット型。システムとか細いことは分からないが、健康被害もないとのことなので、装着して横になり目を閉じてスイッチオン!!


ブゥゥゥゥン。


「チッチッチッ、ユートピア起動。」

「アクセス...承認」

「認証コード...承認」

「セキュリティコード...承認」


「ユートピアへご案内致します。」


チュートリアル始まる予定でしたが、しょーもない話を入れたくて始まりませんでした

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