モンスターに囲まれていた
「結局、俺はなにすればいいの?」
なんでもするとは言ったもののなにをさせられるのかよくわからない。
さっきから奥の方で突っ立てる人間サイズのトカゲがすごい形相でこっちを見ているのがとても気になる。
こっちの世界には人間はいないのか、もしあのトカゲと戦ってもらうとか指示されたらたまらないんだが。
「窓から宮殿の入口を眺めてみよ」
タイヨウが外を眺めると、大きな月明かりのおかげで真夜中ではあるが一面が森であることがわかった。
言われた通り宮殿の入口を見てみるとそこにはファンタジー小説に出てきそうな魔物達がうじゃうじゃと取り囲んでいた。
「うわーやべぇよこれ、このままじゃ俺たち明日には魔物のウ◯コだぜ」
「オロカモノ!主君を食ってウ◯コにする国民がおるか!というかあいつらより余のほうが百万倍強いわ」
アスピルは真っ赤になって否定した。
「奴らは助けを求めに来ただけじゃ、もうすぐ『魔物相談室』の夜の部が始まる時間じゃからな」
「『魔物相談室』?」
「国民である魔物が困っていることを余に相談に来るのじゃ。
まぁ相談のほとんどがくだらないことで起こる種族間の喧嘩じゃな」
「駄目だねぇ、喧嘩しちゃ」
「そこで仲裁役として社交性の高いオヌシを異世界から召喚し、魔物達の仲裁役という大仕事を余の代わりに担ってもらうことにしたのじゃ」
「ようは面倒くさくなったから俺に押し付けようとしとるわけね?」
「………まぁ平たく言うとそういうことになる」
「いいよ!なんか人脈増えそうだしな。魔物の仲裁なんてラクショーよ」
アスピルの顔がぱっと明るくなった。
「こちらの世界の魔物と人間の関係は、お前の世界のソレとは違いあまりよくはないから気をつけてな」
「いや、魔物いねぇし」
「なに?じゃあその自信はどこから来るのだ?」
タイヨウは得意げに答えた。
「俺ダチの多さだけは自信あんのよ、まあすぐにみんなハッピーになるから待ってて。
あ、天井火ぃついてっけどここスプリンクラーないの?」
アスピルが火を噴いたせいで、天井がプスプスと煙を出して燃えていた。
「まずい!水よ、我が意のままに流れよ!」
アスピルの指から天井に向かって水が流れ始めた。
「ふぅ、これで炎は収まった。さて今後の流れについてじゃが……」
アスピルはようやくタイヨウがどこかに行ってしまったのに気付いた。
「まさかアイツ勝手に外に出ていないよな……余がまだ人間がここにいると伝えてもないのに勝手に一人で魔物に会いでもしたら、あいつ八つ裂きにされるぞ」
ネタバレ:タイヨウ曰く「悪そうなやつはだいたい友達」