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お嬢様の機嫌を損ねたら××  作者: 丸晴eM
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05.もう一人

「おかえりなさい2人とも、さぁそろそろよい子は寝る時間よ」


 いや、絶対早い。時計がないけど、外を見たら分かるわ…まだ夕方だよね?


「リルちゃんはどうやって眠るのかしら。木にぶら下がって?土に潜る?」

「庭に連れて行きましょうか」


 やっばいこれ黙ってたら土に埋められちゃう…。

さっとリオの動向を探ってみると、どうやらヤツはお嬢様のベッドの下に潜り込んで眠るらしい。

急いで追いかけて、ベッドの下にお邪魔する。


「わううー」


 あ、コイツいっちょ前に威嚇なんかしてくる…。テリトリーってやつ?

いてっ蹴られた。…追い出された。


「だめでしょ虐めちゃ、め!」

「貧相な体になりましたし、寒いのでは?」

「そうね、毛布をあげて」


 すっぽりとくるまれる大きな毛布を貰えた。

でも、それ以上干渉はない。寝床選びを待たれてるみたい…。

ここで素直に調子に乗ってベッドで寝るわけにはいかないよね、ソファーは許してくれるかな…。


 駄目だったら降ろされるだろうし、試しにソファーによじ登る。


「なるほど、柔らかい場所がいいのね」


 黙認されたので、クッションとの隙間に頭を突っ込んで暗くなるようにする。

こうも明るかったら流石に寝れないもんね。


「さて、お嬢は勉強の時間です」

「はーい。じゃあね2人とも、また後でね」


 バタンと扉が閉まり、カチャリと鍵の音がした。

また明日じゃなくて後でってことは、これは就寝じゃなくてお昼寝みたいな感じなのかな?


 部屋の中には、私とリオだけ。次に扉が開く前には鍵の音がするはずなので、絶好の物色タイムだ。


「リオー?寝た?」


 一応ベッドの下を覗いてみたけど、伏せの体勢で寝てるみたい。

どうせ聞き出せる情報もないし、放置。


 広い部屋の扉近くに、ソファーとテーブルのくつろぎセット。壁沿いの棚を覗くと、中身は大体装飾品。

奥には本棚とベッド。ベッド横の大きな窓からバルコニーに出れるみたいだけど、見た感じ周囲に建物はないみたい。

続き部屋は二つあって、一つは衣裳部屋でもう一つは鍵がかかってて分からなかった。

っていうか、本棚の本の文字が読める驚き。魔物って人と同じ文字なんだ…いや、言葉も通じるもんねそりゃそうか。


 ベッドサイドのテーブルの上にはペンと本。日記かな?

ベッドによじ登って、中を見てみる。


"シェリーは最近羽を動かす素振りをみせる。そろそろ飛べるようになるかな?でもうちには飛び方を教えられる子が居ないから、ちょっと不安。"


"メフィーが任せろというので一任したら、追いかけっこが始まった。恐怖で生存本能を煽り飛べるようにうとかなんとか言って本気で狙った結果、シェリーは逃げきれずに食べられてしまった。

 かわいそうなシェリー。強く育てることができなくてごめんね。やっぱり子育てって難しいわ。"


 シェリーちゃん食われてる…。魔物の教育命懸けすぎない?こわ…


"仕入れた食材の中に、リオが混ざっていた。お腹いっぱいで寝てた。シェイドは食べようとしたけど、間抜けで可愛かったから育てることにした。"


"カラが脱走した。ガラスが割れていたから、外に行ったのかも。庭に黄色い花が咲いていたから、多分お父様のおやつになってるわね。私のものを勝手に食べないでっていつも言ってるのに、お父様のばか。"


"ルークが私のベッドに潜り込んでたみたい。朝起きたらぺちゃんこだった。そろそろ子ども部屋を作ろうかしら?"


"5人にお使いを頼んだのにリオしか帰って来なかった。家出ならいいんだけど、迷子だったらどうしよう。いつか帰ってくるかしら?"


 パタン。

うん、なるほど良く分かった。

この屋敷、あんま安全じゃない…!

でも外もお父様がねー…。お使いが発生するまで何とか生き延びて、その間にリオを手懐ける作戦ぐらいしか思い浮かばないな。

メイドが何かしてきたらお嬢様に泣きつくのがいいかも。


 本棚の本もチェックしときたい所だけど、私もちょっと休んどこうかな。

馬車の中では録に眠れなかったし、流石に疲れた。


 ソファーによじ登って、毛布に包まる。


「おやすみー」


「おやすみ」


 優しい手つきで頭を撫でられて、私はすこーんと眠りについた。 

 

 

 

 


 

 


 …いやいやいやいやいや、待って。


「誰!?」


 ばっと上半身を起こして、飛び起きる。


「はじめまして新入り、僕はシド。早速だけどこのソファーは僕のお気に入りの場所なんだから、移動してくれないかな?」

「えっあ、はい。それは失礼…」


 目の前に、少年が浮かんでる。これは、多分夢だ。

ソファー以外がない、真っ暗な空間。いや、暗くはないね、黒い空間に、ソファーだけがある感じ。


「…今、降りて大丈夫なんですか、これ」

「ちょっと待って、今移動したら僕の中に取り込んじゃう」


 凄いな私、ここにきてメキメキ危機察知能力が上がってる…。


「起きたらすぐどいてよね」


 パチン、とシドが指を鳴らせば、私は今度こそ飛び起きた。

慌てて動き過ぎてソファーから転がり落ちたけど、毛布と絨毯で痛くはない。


「…っはー、心臓に悪い」


 夢の中にも平穏はないらしい。

っていうか、起きてる間に触れられた気がしたんだけど?居るの?見えないけど居るタイプ?


 とりあえずどっと疲れた私は、お嬢様が帰ってきたら物音で起きるだろうと自分の危機感を信じて

お嬢様のベットで寝なおすことにした。




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