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いるてつめぐ巡り #2b  作者: 3色かき氷
第3章
1/5

お昼ご飯、どこ行こう

11時41分、さっきまでいた平乃の滝とは逆の暖かい空気に包まれた東風谷駅の5番線に俺、吉井隼人と彼女、清水結音は降り立った。

車内は冬のように寒くも無く夏のように暑くも無く、快適な温度だった。

客は俺たち2人の他に若い人が2人と年老いた農家風のおじいさんが1人の合計5人だった。

列車は階段のかなり手前で停まったため中ほどにある階段まで歩かなければならなかった。

本当はここから東風谷線に乗り換えてイルカに帰るつもりだったのだが列車の中でそれを告げると昼ごはん食べれないじゃーん、と言ってきたのでここで改札を出てどこかで昼食を食べることにした。

階段を上り終えるとそこはコンコースで今から出張に行く風のサラリーマンやベビーカーを押しながら夫と話す若夫婦、観光に来たらしい外国人などさまざまな人で賑わいを見せていた。

「朝よりだいぶ人多くなったね」

「ね。さっきはちらほらしかいなかったのに」

「やっぱり早く来て良かったね」

俺は駅の改札へと続く広いコンコースを歩きながら結音に言った。

「なんで」

そう不思議そうに俺に聞き返してくる。

「だって、あれ見てよ」

俺はさっき見た20人ほどの外国人の集団がさっき上って来た階段を降りていくのを指差して言った。

「あっ」

「きっとさっきの滝に行く人だよ」

「じゃあやばかったね。1本後だったら出来なかったってことじゃん」

「早起きは三文の徳ってこれか!」

「そうみたいね」

「じゃ改札でよっか」

「うん」

そうして俺たちは横にずらっと6列並んだ自動改札機のうち2列を使って並んで改札の外へ出た。

前は左右に延びる通路になっており左へ行くとさっきコンビニに行くときに使った東風谷口に行くことができる。東風谷高等裁判所や東風谷警察署、東風谷市役所などの公共施設があるが、そこの食堂のあれこれが旨い、等とは聞いたこともない。

そしてさっき読んだるるぶ東風谷版にもそんな記載はどこにも見当らなかった。

なので俺はこっち行こ、と結音に呼びかけ反対側の右に進むことにする。

すぐに東風谷口と同じような階段が現れる。

が、そのスケールは違った。

さっきの東風谷口は階段1つとエスカレーター1組しか無かったのにここは階段2つにエスカレーター2組が挟まれた形になっていた。

まさにさっきの2倍である。

その2つある下りエスカレーターの内左側をチョイスし、俺結音の順で乗る。

エスカレーターを降り前を見ると人が少ない。

降りた先は結構広い広場になっていたのだが20人ほどの人しか見られなかった。

しかし向こうに見えるバスターミナルには多くの乗客がバスを待っていた。

そして目の前には大きな、と言ってもるるモール(大型ショッピングモール)にはかなわないが結構大きな商業施設であるIrusta東風谷がある。

「わあすごい!ここでご飯食べよう」

「そしよ」

「なにがいいかな」

「中華、とかかな」

「中華、私は和食のほうがいいかな」

「じゃあ中入って探してみよっか」

「うん」

後ろを振り返ってみると後ろには駅のすぐそばのファミマに行ったときには分からなかったが、鶴の銅像が駅の屋根に飾られているのに気がついた。

だから。

「結音、あれ見て」

「わあなんかの鳥だね。気付かなかったよ」

「ね。あれは鶴らしいよ。この市の鳥だって」

「どこで知ったの」

「るるぶで。さっき見た」

「な~んだ」

わっやってしまった。

ここはさっきそこに書いてたよ、とでも言ったら良かった、そしたら嘘~とか言われてもう少し距離が縮まると思ったのに、そう思ってももう遅かった。

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