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転生して田舎でスローライフをおくりたい  作者: 錬金王


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ラーちゃんの案内

『転生して田舎でスローライフをおくりたい』のコミック8巻が発売されました。

第三王女、レイラがついにコミックでも登場です。

書き下ろし小説が二つ収録されております。

電子版はズレて発売になるようです。わかり次第アナウンスさせていただきます。


「アル、なにして遊ぶ?」


「屋敷の案内をしてくれると嬉しいな。とても広くてこのままだと迷っちゃいそうだから」


 ミスフィード家の屋敷はかなり広い上に、かなりの部屋数がある。


 このままだと迷ってしまう可能性があるので、そうならないように内部の把握をしたかった。


「いいよ! 私が案内してあげる!」


 俺の願いにラーちゃんは快く頷いてくれた。


 もっとわかりやすい遊びを好むかと思ったが、俺のために案内を引き受けてくれるとはいい子だ。


「んふふー」


 廊下を歩いていると隣を歩くラーちゃんが、こちらをチラチラ見てはにんまり。


「ご機嫌だね」


「えへへ、屋敷にアルがいるのが嬉しくて!」


 なんて可愛いことを言ってくれるのだろう。


 釣られてこちらまで頬が緩む思いだった。


「『サイキック』」


 歩いているとラーちゃんがホールの奥にある大きな二枚扉を魔法で開ける。


 収穫祭の時に教えた時よりも魔法の扱いが上手くなっていることに気付いた。


「おっ! サイキックを使うのがスムーズになってるね」


「やった! アルに褒められた!」


 褒めてあげるとラーちゃんは嬉しそうに飛び跳ねた。


 しかし、嬉しそうな表情はすぐに曇ってしまう。


「でも、使い過ぎるとお母さんに怒られるの。そういうのは私がやることじゃないって」


 あー、フローリアの言うことも一理ある。


 ラーちゃんは俺のような貴族の端くれではなく、建国期から支えてきた高貴な血筋の貴族だ。屋敷にはたくさんの使用人がいるし、ラーちゃん自らが扉を開けるという行為が望ましくないのだろう。


「公的な場では誰かに開けてもらって、今みたいな自由な時はじゃんじゃん魔法を使えばいいよ」


 公爵家の振る舞いとしてフローリアの言葉には一理あるが、それが関係ない時までその通りにする必要はないと思う。


 魔力は貯めてたって意味がないし、使える時は使わないと損だ。


 便利な道具があるのに使わない手はない。


「わかった! そうする!」


 きっぱりと告げると、ラーちゃんはどこかスッキリしたような顔になった。


 せっかくラーちゃんが自主的に魔法を練習して上手くなっているんだ。今はその流れを切ってあげたくないと純粋に思った。


「こっちが大ダイニングルームだよ」


「おお、広いや」


 二枚扉の先にはダイニングルームが広がっていた。


 長いテーブルが設置されており、右側と左側で合わせて三十人分のイスが並んでいる。


 大人数を招いて食事する時の部屋のようだ。


「こっちは小ダイニングルーム」


 左側の扉を開けて進んでみると、こっちには十人ほどが利用する程よいダイニングルームがあった。


 良かった。一般的なダイニングルームがあって。さっきみたいな広い場所だとさすがに落ち着かないからね。


 小ダイニングルームを抜けるとホールへと続く廊下があり、応接室やテラス、事務室なんかがあるらしい。こちらは至って普通の部屋だ。


 西側を見終わると、今度はホールを抜けて反対側へと行ってみる。


 東側の廊下にやってくると、たくさんの使用人が慌ただしく動き回っていた。


「こっちは厨房とか配膳室があって、奥に抜けると使用人の部屋があるよ」


 説明を聞きながら歩いていると、とてもいい匂いがした。


 食材を炒める音や、包丁で食材を切る音、食器がこすれ合う音に混じって、料理人たちの怒声のようなものがひっきりなしに聞こえる。


「夕食前で忙しそうだし、こっちを見るのはやめておこうか」


「わかった!」


 事前に察知したとはいえ、俺たちがやってくると知ったのは今日だ。


 急に来客用の食事を作ることになって、厨房はきっと修羅場に違いない。


 そんな雰囲気の中、呑気に探検する気にはならなかった。


 そんなわけで俺とラーちゃんは引き返す。


「どうする? 二階を見る? それとも三階を見る?」


「三階でお願い」


 二階は贅沢にもスロウレット家に宛がわれている。


 暇な時に適当に一人で散策すればいい。


 そんなわけで二階はすっ飛ばして三階へと上がることに。


 屋敷が大きいだけに階段も長いな。ミスフィード家の屋敷じゃなかったら魔法を使うところだ。


「そういえば、シェルカはいないんだ?」


「お姉ちゃんならまだ学園だよ。もうすぐ帰ってくると思う」


 あの過保護な姉が、いつまでも出てこないことに違和感を抱いていたが、そもそもまだ屋敷に帰ってきていなかったようだ。道理で静かなわけだ。


「前に言っていたお兄さんも学園?」


「うん、ギデオン兄は研究室に籠ってるから、いつ帰ってくるかわかんない」


 こちらはそもそも帰ってくるかも不明のようだ。


 こちらはどんな人物かは知らないけど、今はシューゲルとフローリアだけで精一杯なのでできれば顔を合わせたくないや。


「おっ、ここにも大きな魔道具型シャンデリアだ」


 階段を上がって三階にたどり着くと、ここでも大きな魔道具型シャンデリアがお出迎えだ。


「……アル、あれが気になるの?」


「俺の屋敷にも魔道具はあるけど、これほど大規模なものはないからね」


「じゃあ、見せてあげる! 『サイキック』」


 まじまじと眺めていると、ラーちゃんが魔法を使ってシャンデリアを下ろした。


 突然の行動に驚いたけど、シャンデリアはチェーンで繋がっているし、魔法制御はしっかりとされていたので地面に激突することはないのがわかって安心した。


 シャンデリアが、ゆっくりとカーペットの上まで垂れてくる。


「へー、天井に魔法陣が刻まれてるんだ」


 見上げると、天井には魔法文字が描かれていた。


 腕木には無属性の魔石が埋め込まれており、先端まで魔力が伝って点灯するという仕組みなのだろう。


 こんな大きな魔道具をじっくりと見る機会はなかったので興味深いや。


「アルは魔道具が好きなの?」


「そうだね。魔道具があれば生活がうんと楽で豊かになるから」


 ある程度の不便は魔法で解決できるけど、できるなら労力はかけたくないからね。


 魔道具で楽をできるのであれば楽をしたいじゃないか。


「あはは、理由がアルらしい! 他にも魔道具があるから案内するね!」


「おお、見せて見せて」


 他にも魔道具があるのなら是非見てみたい。


 案内を頼むと、ラーちゃんはホールに置かれている鎧像に近づいた。


「もしかして、これも魔道具なの?」


「そうだよ!」


 ラーちゃんは頷くと、鎧像が手にしている剣の柄を押した。


 カチリという音が鳴ると、ヘルムのバイザー部分が開き、炎が噴き出した。


 ……剣士の癖に火を吐くんかい!?


 射出された炎はホールの階段部分まで届くと虚空へ消えた。


「び、ビックリした」


「あはは! アル、すごく驚いてる!」


 ギョッとした表情をする俺を見て、ラーちゃんが無邪気に笑う。


 どうやら侵入者撃退用の魔道具のようだ。


 屋敷が燃えないように威力と範囲が設定されているとはいえ、とても心臓に悪い。


「こっちの薬指を押すとね、ウインドカッターが飛び出すよ!」


「わかった! わかったから、危ない魔道具を使うのはやめておこうか!」


 面白がってラーちゃんがさらに物騒な仕掛けを発動しようとしたので、俺は慌てて止めた。


 屋敷に傷がつかないように設定されているだろうけど、見ていてとてもハラハラする。


 ミスフィード家の誰かや、使用人が上ってきたらと思うとゾッとする。


 さすがは魔法貴族だけあって、防衛意識も高いんだな。


 というか、この魔道具は部外者である俺に教えてもいいものなのだろうか? その辺りもちょっと不安だ。


「できれば、もっと平和な魔道具が見たいな」


 こういう隠しギミック的な魔道具は嫌いではないが、できればもっと安全な魔道具がいい。


 さっきのシャンデリアみたいな。


「うーん、平和な魔道具?」


 そんな要望を伝えると、ラーちゃんは唸る。


 この屋敷にはそんなに物騒な魔道具が多いのか……。


「あっ! 庭にある噴水も魔道具だよ」


 うんうん、そういう平和なものが見たかった。


「いいね。見てみたい」


「わかった。じゃあ、お外行こ!」






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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
[一言] 面白い。作者の他の作品と比べてもいいと思う。はっきり言えばこの作品と邪神はいいが他の作品はありきたりだと思う。これは買おうと思ったが月1程度の更新。つまりそのうちエタるのではないかなと思うと…
[一言] たくさんの作品書きすぎだよ!w 転スロ話進まなすぎてアル青年になるの永遠に来なそうw 端的に言うと毎日更新してください。
[一言] こらーーー!! はよ続きを更新しろーーーー!!
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