表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生して田舎でスローライフをおくりたい  作者: 錬金王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

518/616

砂漠を移動


 カレーのレシピを教えてもらうために出された交換条件。


 防御魔法を展開するバグダッドに魔法を撃ち込むこと。


 それを承諾するとすぐに行われることになり、俺達はラジェリカの外にある砂漠に移動することになった。


 さすがに街中では行うことはできないからね。誰も近づく人がおらず、壊れる物もない砂漠がもっとも無難だろう。


 サルバは宮殿の近くにある国軍の演習場はどうかと提案されたが、そんなややこしいところに行きたくなかったので却下だ。


 バグダッドも万が一の被害を考えると外が良いと言ってくれたので砂漠に決定した。


「『我は求める 砂の大地よ 我が意を為せ』」


 ラーシャの家を出て西門を出ると、シャナリアが土魔法を使った。


 地面に手を付けると砂が隆起して船を作り出した。


「さあ、乗れ。私がこれを動かして送っていく」


 どうやら前回俺がやった時のようにシャナリアが船を動かしてくれるらしい。


「おお、シャナリアさんもできるんですね!」


「ふん、小僧にできて私にできないはずはない」


「アルがいなくなってから毎日練習していたからな。それなりに動かせるはずだ」


「ちょっ! 余計なことは言わないでくださいサルバ様!」


 自信満々に胸を張っていたがサルバの一言で色々と台無しだった。


 とりあえず、シャナリアが動かしてくれるのであれば文句などない。


 サルバやバグダッドが船に乗り込み、俺も続く形で乗り込む。


「出発させます」


 最後にシャナリアが先頭部分に乗り込むと、土魔法で船体の下にある砂を操作して船を動かした。


 ザザザザザーっと砂が流れる音がして、船が真っすぐに進んで行く。


 おお、こうして人にやってもらうと快適だ。


 砂漠も平面ではないので揺れがないわけではないが、砂の上を勝手に船が進むのは何とも新鮮だ。


 なにより誰かに運んでもらっているというのがいい。やっぱり、自分は働かずに楽をするのが一番いい。


 などと呑気に思いながら風景を眺めていると、船がガクンと揺れた。


 一度ペースを崩したからだろうか、それからも船は不規則な揺れを繰り返す。


 ガクガクと揺れて気持ちが悪い。


「ちょっとー、大丈夫ですか?」


「話しかけるな! 今、持ち直そうと集中している!」


 軽く声をかけると、シャナリアが実に真剣な表情で答える。


 どうやら船体のバランスをとるのに必死なようだ。


 シャナリアに話しかけると怒られそうなので、傍で苦笑しているサルバに話しかける。


「俺がいなくなってから練習を積んだんじゃないの?」


「実は言うと、真っすぐに走らせられるようになったのが最近でな」


 尋ねるとこっそりと教えてくれるサルバ。


 どうやらまだまだ練習中みたいで自由自在にとはいかないようだ。


 他人の力で快適な船旅が味わえると思っていただけに残念だ。


「うわっ!」


 などと思っていると、急に傾斜を下ったせいか船が大きく揺れる。


 そのせいで体勢を崩した俺だが、咄嗟にサルバに抱き留められて事なきを得た。


「大丈夫か?」


「ありがとう、サルバ」


 なんだろう。こういうのは可愛い女の子と起きるような定番イベントのはずなのにな。


 俺が女の子であれば、実に絵になるイベントかもしれなかったが男同士ではそうはならない。


 せめてもの救いは、俺がまだ少年といえる年齢だったことであろう。


 これが前世のような年齢であれば、実にむさ苦しいとしかいえない状況だった。


「シャナリアさん、俺が代わりましょうか?」


「その必要はない。私が送り届けてみせる。お前はこれからバグダッドと魔法勝負をするのだろうが。無駄な魔力は消費させられん」


 おずおずと申し出るがシャナリアは頷くことはない。


 というか、若干ムキになっているような気がする。


 別にこの程度の魔力消費など微々たるものなのだが。


「悪いな。シャナリアの好きにさせてやってくれ」


「わかったよ」


 シャナリアの練習も兼ねているのであれば仕方がない。ここは彼女に任せるとしよう。


「俺もやってみて驚いたのだが船を動かすのはかなり難しいな。よくアルは起伏の激しい砂漠地帯を動かしていたものだ」


「普段から物を動かすのは慣れているし、海で船を操作したこともあるからね」


 それに加えて前世でバイクや車を運転していたことも関係している。


「なるほど、海で船か。その経験は俺たちでは得ることが難しいな」


 世界地図を見たところラズールは完全に砂漠地帯だ。


 遥か先には大陸が終わり、海があるのかもしれないがこの辺りで海を目にするのは不可能だろう。


「地道に砂漠で走らせて練習するしかないね」


「ああ、温かく見守ろう」




 ●




「バグダッド、この辺りでどうだ?」


「……魔物の気配もないですし、この辺りでいいでしょう」


 サルバの問いかけにバグダッドが頷くと、砂漠を走っていた船が止まった。


 割と急に止まったせいで慣性が働くが、全員が何かに掴まっていたので事故が起きることはなかった。


「はぁ、はぁ、どうだ小僧?」


 かなりの魔力を消耗したらしく息を荒くしながら尋ねてくるシャナリア。


 船は揺れるし、何度も座礁していた。正直、乗り心地は最低としか言いようがないが、乗せてもらっているのでそこまでは言えない。


「頑張りましたね。でも、次はゆっくり船を止めてくれると嬉しいです」


「ぐっ! わ、わかった……」


 とりあえず、送ってくれたことに感謝し、改善できるわかりやすい部分だけをアドバイス。


 さすがに色々と失敗しているだけにシャナリアが噛みついてくることはなかった。


 でも、努力家な彼女のことだから慣れれば、きっと上手くなるだろう。


 真面目なシャナリアを微笑ましく思いながらも、俺は砂漠へと降り立つ。


 俺たちが降りた場所は、辺り一面が平地になっている。


 傾斜といったものは存在せず、遠くに岩がポツポツと存在するのみ。


 ラジェリカからもいい具合に遠く、多少派手に魔法をぶっ放そうと問題ないだろう。


 日差しがきつくておっかない魔物が徘徊している砂漠だが、遠慮なく魔法を撃てるという意味では羨ましい場所だった。


 コリアット村の周囲じゃ危ない属性の魔法は少し使いづらい。特に火魔法とか。


「さてと、俺達は安全な場所に移動するか」


「はい」


 体力と魔力が若干回復したらしいシャナリアが魔法で船を動かして遠くへ離れる。


 残ったのは俺とバグダッド。


 魔法勝負をやることが決まってから彼はずっと黙り込んでいる。


 恐らく集中しているだけだと思うが、ピリピリしていて話しかけづらいや。


 だけど、気になる部分がある。


「これさえ終わればレシピは教えてくれるんですよね?」


 つまり、バグダッドが満足するような適当な魔法を撃ち込めばいいのだろう。


 とりあえず、危険がないようなレベルで付き合って満足してもらおう。


「言い忘れていたがレシピを教えるのは、俺の防御を貫いた時だ」


「えっ?」


「適当な魔法を撃って終わりにされたら意味がない」


 どうやら誤魔化す気が満々の俺に気付いていたらしい。


「魔法は一発までですか?」


「いや、魔力が続くのであれば、いくらでも撃ち込んでも構わない」


 その言葉を聞いてホッとした。


 一発という制限であれば、威力の調整が非常に難しかったからだ。


 ラズール一番の魔力量と言われる彼が、生半可な防御魔法は展開しないだろうが、もしそれを貫いてしまったら大怪我を負ってしまう。


 そんな思いまでカレーは欲しくないので、威力調整ができるのは非常に安心だ。


「わかりました。じゃあ、適当な距離まで離れますか」


「ああ」






『異世界ではじめる二拠点生活』

3月30日に書籍1巻が発売です。

よろしくお願いします。


https://ncode.syosetu.com/n0995gk/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
『なるほど海か』で放蕩王子ぶりを発揮して、海を渡ってカグラ行って春や修一と王族同士で話しててポロッと誰かが『アルが……(うんたらかんたら)』と独り言を言って事が大きくなったらおもしろいな。
[良い点] この作品は好きでした [気になる点] 前々からパクリ多目の作品出してるのは知ってましたが、新作とやらで好きだった作品を丸パクリされて読み続ける気がなくなってしまいました。もう無理。
[一言] レシピを教えてもらうには勝つしかないんだけど、勝つと面倒なことになる予感しかしないですね。 にしても、後だしで防御を貫いた時だけとか条件つけるって…めんどくさいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ