二億PV突破記念読者アンケートSS その1 パフェが食べたい
二億アクセス突破記念SSです。
その1は短めですが、今回は二本やりますので。
またすぐに更新します。
「……パフェが食べたいです」
ドール子爵様の歓待を終えた、夏を過ぎた日。
そろそろ半袖でいるには肌寒くなってきた頃合いにもかかわらず、私はパフェを欲していた。
アルフリート様が以前作ってくれたパフェ。
それは大きなグラス容器にクッキー、マフィン、プリン、ミルクジェラート、果物などのたくさんの夢が入ったお菓子である。
私は以前、それを食べた時の感動が忘れられない。
あのフワッとした雪山のようなミルクジェラートや、しっとりしたミルクプリン。口の中でサクッと弾けるクッキーやフワッとしたマフィン。
それらが渾然一体となった時の味はもう、人生で初めてクッキーを食べた時以上の衝撃を受けたものだ。
また、あの幸せを味わいたい。
「ミーナ、ボーっとしてどうしたんです?」
パフェの味を思い出していると、私と同じく窓の拭き掃除を担当しているサーラが尋ねてきた。
「パフェが食べたいなーって思っていました」
「ああ、あれですか。あれはとても美味しかったですね」
率直に心の中で思っていた願望を語ると、サーラも同意するように深く頷いた。
仕事中にお菓子のことを考えて手が止まっていたなどと言ったら、普段は注意してくるサーラであるが、今回に限っては別だ。
サーラも思わず私の意見に同意してしまうくらい、彼女の中でもパフェは特別なものらしかった。
「もう一度食べたいですよねー」
ドール子爵をもてなしたり、ティクルさんをリラックスさせるためにミルクジェラートを食べる機会には恵まれているものの、パフェを食べる機会には未だに恵まれていない。
「そうですね。アルフリート様によると、あれは各々が好きなものを入れることができるらしいです。他の果物と組み合わせて自分だけのバリエーションを探してみたいですね」
「いいですねっ! 自分だけのパフェ!」
自分の大好きなものだけを詰め込んだパフェ! なんて素敵な響きなんでしょう。夢が広がる。
私が自分でパフェを作るならミルクジェラートとプリンを二つにして、クッキーを刺しちゃいます。砕いたクッキーもいいんですけど、ミルクジェラートとクッキーの相性も抜群なんですよね。
他にもリブラを切って入れたり、イチゴを入れたり……
「ああ、考えていると余計に食べたくなってきました! 二人でバルトロさんに頼んで作ってもらいませんか?」
「……非常に魅力的な案ですけどダメです」
「どうしてです!?」
ここまで乗ってきたというのにダメと言われるとは思わなかったので驚く。
あれほど肯定的な意見を述べて同意してくれていたのに。
「ミーナはよくお菓子を作ってもらうように頼みますが、バルトロさんは忙しいんですよ? 皆さまの日々のお食事やエリノラ様の弁当、私たちのまかない。さらにはアルフリート様の開発した料理の再現もありますし、あまり私達のことでお手を煩わせるわけにはいきません」
「……そ、そうですよね」
私もたまにクッキーを作ってもらいますが、バルトロさんはこの屋敷で唯一の料理人。
その忙しさたるや、メイドである私たち以上だ。
サーラが言った業務以外にも食材の調達や管理などもバルトロさんはやっている。
ただでさえ、忙しいのにパフェを作ってくれだなんてとても言えない。
いや、本当は言ってやりたいけど。
サーラから改めてそのことを言われると頭が冷えた気分だった。
私がしょんぼりとしていると、サーラが優しい笑みを浮かべる。
「まあ、屋敷にいる以上はまた食べられる機会がありますよ。今は精一杯働きましょう」
「そうですね。わかりました!」
サーラにそう言われて、私は素直に返事する。
そして、私はふと我に返った。
「あれ? なんだか先輩に宥められたみたいな感じですけど、私の方が先輩ですよね?」
いつの間にかひっくり返った関係性に私は首を傾げるのであった。




