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転生して田舎でスローライフをおくりたい  作者: 錬金王


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サイキックの可能性

スローライフ7巻は4月25日発売。

『邪神の異世界召喚 ~鬼畜魔王はダンジョンにて嗤う~』3巻はHJノベルスより4月23日発売です!

どちらもよろしくです。

 

「決闘って言われても王都でやって俺が勝ちましたよね?」


「あれは無効だ! 第三者であるシェルカ嬢の魔法が飛んできたのだぞ!」


 俺の言葉を強く否定するブラム。どうやら王都での出来事に納得がいっていないようだ。


 しかし、それは手紙を見た上で承知の出来事。返す言葉くらい考えてある。


「それは俺がそうなるように計算して位置どったんですよ。自分の得意なフィールドに誘い込んで勝利しただけです。何か問題でも?」


「確かにそうだが物は言いようだな」


 傍にいるエリックが呆れ半分、感心半分といった声を漏らす。


「ぐっ、確かにそうだが決闘とは一対一でやるもの! 他人の横やりが入った時点で無効だ! そもそもお前は俺との決闘をすっぽかしているだろ!」


「じゃあ、すっぽかした俺の負けでいいですよ。だから、エリノラ姉さんに挑むなりなんなり好きにしてください」


 ブラムを避けて歩き出すと、ブラムは機敏な動きで反応して回り込んでくる。


「待て待て! そんなことで納得するか! 俺はお前を下して、エリノラに再び挑むと決めているのだ!」


「えー」


 それはブラムの事情であって俺とはまったく関係ない。


 勝手に俺を倒したことにして、好きにエリノラ姉さんに挑むなりなんなりしてほしい。


 まあ、王都で見た時の腕前を見るに、返り討ちに遭うだけだろうけど。


「アルー、この人邪魔!」


 ブラムに絡まれて困っていると、隣にいるラーちゃんが実に素直な言葉を発してくれる。


 どうやら散歩を妨害されて怒っているようだ。


 俺もラーちゃんと気持ちは同じだ。こんな面倒な奴とさっさとおさらばして、楽しく散歩でもしたい。


「邪魔とはなんだ。さっきから無礼な娘だ」


 ミーナに続いてブラムが地雷を踏んだ。


「むー! 無礼な娘じゃない! ラーちゃんだもん!」


「ら、ラーちゃん?」


 初対面の人に失礼呼ばわりされて怒るラーちゃんと、首を傾げるブラム。


 二人は同じパーティー会場にはいたが、ロクに挨拶をしていなかったからな。


 ラーちゃんがどこの貴族かわからないのだろう。


「失礼なのはどちらかしら? 招かれておきながらスロウレット家のご当主や他の客人に挨拶もせずに決闘を吹っ掛けようとするなんて」


「あ、アレイシア嬢!? こ、これは失礼いたしました!」


 アレイシアの存在にようやく気付いたのか、ブラムは遅れて挨拶をする。


 さすがに伯爵家であるブラムも、格上の公爵家には弱いようだ。


「ちなみに彼女はミスフィード家のご令嬢よ?」


「うん! ラーナ=ミスフィードだよ!」


 さらにアレイシアが紹介すると、ラーちゃんはえっへんと胸を張る。


 アレイシアからのさらなる追い打ちに、さすがのブラムも顔を青くする。


「ミスフィード家!? これは大変ご失礼をいたしました。私はブラム=バームラルと申します」


「ブラム、無礼!」


「まったくね。私達はこれから気持ちよく散歩に向かおうとしていたのに」


「……申し訳ありません」


 公爵家による伯爵家いじめがすごい。さっきまで強気だったブラムがずっと下手になっている。これが権力というものか。


 貴族社会に関わるのは面倒であるが、降りかかる火の粉を振り払うために家格を上げるのもいいかもしれないな。


 シルヴィオ兄さんが当主になったら、ノルド父さんと共にバンバン活躍するだろうし。


 そして、俺は働かずに権力の恩恵だけを得るのだ。


 もし、仕事などが振られてしまったら、優秀な文官でも雇って丸投げすればいい。


「挨拶も済んだし、私達は行っていいかしら?」


「は、はい。どうぞ」


 アレイシアが強気にそう言うと、ブラムはあっさりと道を開ける。


 邪魔者がいなくなったのでアレイシア、ラーちゃん、エリックに続いて俺も歩き出す。


 すると、すれ違い際にブラムがぼそりと言い放った。


「俺は諦めんからな。決闘は絶対に受けてもらう」


 俺の負けでいいって言ってるのに、何とかならないかなぁ。




 ◆




「先程はありがとうございました、アレイシア様」


「気にしなくていいわ。楽しみにしていた散歩を邪魔されて、私も困っていたところだったから」


 先程の礼を告げると、アレイシアはにっこりと笑みを浮かべる。


 しかし、以前は急にブラムとの仲介を申し出て、決闘を促すように立ち位置にいたのを俺は覚えている。


 いまいちと行動パターンが読み切れない人だ。


 アレイシアにはブラムを追い払い続けてもらいたいのだが、それをするとずっとアレイシアと行動をすることになるし、借りを作ることになりそう。


 あまり頼るようなことはしない方がよさそうだ。


「あっ! 水の流れる音がする!」


「ラーナ様、あまり走りまわっては危ないですよ」


 走り出したラーちゃんを追いかけるメイドさん。そんな光景が微笑ましい。


「アル達も早くー!」


 ラーちゃんに呼ばれて、俺とエリックとアレイシアも足を早める。


「ほお、小さな川だが随分と水が澄んでいるな」


「本当ね。泳いでいる魚まではっきりと見えるわ」


 小川を興味深そうに覗き込むエリックとアレイシア。


 反射している水面には、どことなくアレイシアを気にしているエリックの顔が見えている。


 多分、本人にもバレているだろうから水面越しに見るのはやめた方がいいと思うな……。


 なんてことを思っている一方で、すぐ傍ではラーちゃんが四つん這いになって水面と睨めっこしていた。


 クリッとした瞳が悠々と泳ぐ魚をロックオンしていることから、ラーちゃんは魚を捕まえるつもりなのだろう。


「えいっ!」


 ジーッと見守っていると、ラーちゃんが川の中に手を突っ込んで握り込んだ。


 そして、腕を持ち上げて確認するようにパーをするが、そこには何も乗っていなかった。


「魚さん、とれない」


「よし、俺に任せて」


 しょんぼりとしているラーちゃんの隣にしゃがみ込んで、俺は水面を見つめる。


 ここにいる魚は小さくてとても素早い。罠でも張って追い込まなければ素手で捕まえるのは困難だ。


 しかし、俺は小さな頃からこの小川で観察しているのだ。ここにいる魚がどのような動きをするか見極めることもできる。


 水中にいる魚をジーッと見つめるのではなく、ボーっと全体を俯瞰するように眺める。


 さらに自然に溶け込むように気配を薄めていく。


 魚というものは意外と周囲の気配に敏感だからな。こうやって気配を薄めることで警戒心を下げさせるの

だ。


「……隠形」


「あら、すごい。近くにいたのに一瞬見失ったわ」


「魚を絞めた時の目のようだ」


 なんだか近くから失礼な声が聞こえた気がするが無視だ。


 今ここで怒鳴ったりしては魚が逃げてしまうからな。


 悠々と泳ぐ小魚の進行方向に、俺はゆっくりと手を沈める。


 小魚は俺の気配に気づいていないのか、逃げることもなく手の平の上にやってきた。


 小魚の視界に手を入れないように慎重に腕を動かすと、そこから一気にすくい上げる。


「ほら、とれた」


「うわぁ! アル、すごーい!」


 手の平で驚くように跳ねる小魚を見て、ラーちゃんが嬉しそうな声を上げた。


「手を出して」


「うん」


 素直に両手を出したラーちゃんの手の平に小魚をお引越し。


 ついでに水を少し入れてやると、ラーちゃんは笑みを浮かべながら小魚をツンツンと突いた。


「すごい、私もとってみたい! どーやったら、アルみたいにとれるの? 死んだ魚みたいな目をすればできる?」


 ちょっと待って、ラーちゃん。そのたとえは非常によくないよ。


「いや、死んだ魚みたいな目をしてもできないかな。こればっかりは経験がものを言うかな」


「そっかー」


「でも、魔法を使えばラーちゃんでも簡単にできるよ?」


 俺はそれを示すように、川で泳いでいる小魚がいる範囲の水を使って水球を作成。


 すると、五匹もの小魚を一気につかまえることができた。


「む、無詠唱。アルフリート様は魔法がお上手なのですね」


 俺の魔法を見て、ラーちゃんのメイドさんが感心したような声を上げる。


 これならばどうであろうか? 喜んでくれるかと思ったが、ラーちゃんの表情はむしろ不満げだ。


「……私、水魔法使えない」


 唇を尖らせながらポツリと言うラーちゃん。


 そうだった。ラーちゃんの特性は無属性と風属性だった。そんなラーちゃんからすれば、今の魔法は自慢されているように見えたのかもしれない。


 普通に全属性の魔法が使えるので配慮が足りなかった。


「だったら、無属性のサイキックでとればいいよ」


「サイキックで水を操作するの?」


「違うよ。ちょっとした物を使うんだ」


「物?」


 オウム返しをしながら首を傾げるラーちゃんの前で、俺はポケットからハンカチを取り出す。それを大きく広げると、サイキックをかけて水中に沈めた。


「後は小魚が上にきたところで引き上げるだけ」


「すごい! ハンカチで魚さんがとれたー!」


 ハンカチの上でピチピチと跳ねる小魚を見て、ラーちゃんが驚きの声を上げる。


「まるで網漁だな」


「漁?」


 ラーちゃんは漁を見たことがないのか、不思議そうにしている。


「大きな川や海にいる魚を獲る時は、網に引っ掛けることで魚を獲るのよ」


「へー! アルはそれを真似したの?」


「そうだよ。日常的なことをもっと魔法で楽にできないかなーって思ってね。サイキックだけでも発想を柔軟にすれば、意外と多くのことができるんだよ」


「手で扉を開けるのが面倒くさい時とか、物を取りに行くのが面倒くさい時とか!」


 さすがはラーちゃん。正しい魔法の使い方がすぐに閃いたようだ。


「そうそう! あと面白いのだとサイキックで扉のカギを開ける方法ってのもあるよ」


「なにそれ! どうやるの!?」


「あ、あの、アルフリート様。ラーナ様にあまり変なことを教えるのは……」


 ラーちゃんに魔法を教えただけなのに、なぜかメイドさんに注意された。




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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
教育に悪い(笑) ラーちゃんのお姉ちゃんが怒って来るよ(笑)
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