第三話 師弟?
「ふぁあ、どうしたもんか…」
少ない荷物を更に小さく収納しながら、大あくびと共に言葉が漏れた。
集合時間より何故か一時間も早く準備を終わらせてしまったせいで暇を持て余していたオレは、何気無く見た窓の外に興味を持つ。
ジーフィが既に集合場所にいる。用事があるわけでもなさそうなのに何してるんだろうか。油断ならねえ女だが、話すくらい普通だよな。暇してたんだ、行ってみるか。
「ん?」
折角急いできたのに、窓から見えた場所にジーフィは居なかった。
「おかしいな…」
「何がですか?」
反射的に飛び退き構えをとってしまったが、ジーフィは気に止めていないようだ。
「やっぱり来ましたね。」
「やっぱりってどういうことだ。」
「慎重なのに好奇心で動いたり、隠しているようでバレバレだったり。ねえ、ランダ?」
「何を言ってるんだ!?」
ジーフィは昨日とは全く雰囲気が違っていた。優しい微笑とは裏腹に恐ろしいオー ラ。
「私はね?一時期、用心棒としてあなたを追っていたんですよ。覚えてません?あなたと同じ超能力であなたを追い詰め、鉛弾をプレゼントした者を。」
「……!?」
「大丈夫。あなたのことは言いません、その代わり…」
更にずずいっと詰め寄って……
「私の師匠になってください!!」
――――はあ!?
「あなたも超能力者でしょ。私コントロールは苦手でして、その点ではあなたを尊敬しているのです。断ったら、分かりますよね…?」
「…ああ。オレが盗賊だってバラすんだろ。しゃーねーな。」
「ふふふ、それでは交渉成立ですね。本来の荒っぽい喋り方の方があなたらしいです。猫被ってるのを見てたら鳥肌立ちましたもの。」
「うるせえ。」
話が終わる頃には他の奴らも集まってきたんで、予定より早いが出発した。面倒は避けたかったんだが、別に今は盗みが目的じゃない。このままいこうと思う。
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時は少し遡って。
「ケオ。ほら、起きなさい。」
「あう、おはよう。」
起きたらこんがりのパンが置かれてる、いいにおい。
「お前は相変わらず朝が苦手だなあ。さあ、早く食べなさい。」
「うん。」
パンにかじりつきながら窓を見るとランダとジーフィさんが何か話しているのが見えた。ジーフィさんの雰囲気、昨日みたいだ。
「何してるのかな。」
「そうだね、時間には早すぎると思うけれど。」
「行ってみよう!」
急いで廊下に出たら、アルマやトルミロスと鉢合わせた。
「おはよ。」
「おうケオ。昨日はよくもやってくれたな。」
「そっちが悪いんだろ!」
また喧嘩腰になったとき、止めたのはなんと…
「――うるさい」
アルマ。
初めて凄まれて、オイラたちどころか兄さんまで固まったけど。
ともかくささーっと外に出ていった。
「おはようございます。皆さんお早いですね。」
「ジーフィさん。ランダと何話してたの?」
「その事なんですが、私はこれから彼を師匠とお呼びすることになったんですよ。」
「ええっ!?」
「はあ!?普通に名前で良いよ……」
「いいえ。ダメですから。」
さっき窓から見たときのあれって、ランダにそれを頼み込んでたのかな?あんなに恐ろしげなオーラを纏って詰め寄られたら、流石のランダも断れなかったのかな。
でもジーフィさん美人だし、ランダもまんざらじゃなさそうだし。何よりランダは何か怪しいから自由に行動できなくなってくれた方が、ラッキーな展開、かな。