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サプライズ色々

う、今の何? 現実?

ファビアン…王子とおつきあい?


思わず手を握りしめると、

ん?私、何か持たされてる…


とっても可愛らしい小ぶりのバスケット、ピンクのリボンが持ち手に結ばれている。これまたピンクのナプキンの下を覗いてみると、

ハート型に焼いたフルーツケーキだ。

真っ白なアイシングがかかり、中の洋酒漬けのフルーツから芳醇な香りが立つ。

ケーキの横に二つに折り畳んだメッセージカードをみつけた。


開いてみると、

「私のリアへ

初めてきちんと会うのに夜の一瞬ですまない。

今夜は誰とも踊らずまっすぐ帰ってほしい。

旅の支度はこちらですべて用意するので心配しないように。

信頼できる侍女なら一人連れてきてかまわないよ。

一足先に発ち、リアを待つよ。

ファビアン」


流麗な筆跡で綴られたファビアンのサインを何度も月明かりで確認してしまう。


ファビアン…プラチナブロンドとサファイアブルーの瞳が目に焼き付いてしまった。


力が抜けて、もう一度座ってしまったところに、

カイルお兄様が迎えに来た。


「リア、帰るよ」


「お兄様、留学って…」


「うん、ブルーテ王国は産業の発達している国と聞く。隣ってわけじゃないから国境を縫うようにして国を二つ越えたところだ。5日はかかるかな。

船の方が安全だが、今回は急ぐからね」


「夕方から驚きの連続で、何がなんだか…私だけ何も知らなかったみたい」


なんとなくお兄様を睨んでしまう。


「何度も言うが、ファビアンは魅力ある人物だよ。とにかく早く帰ろう」


お兄様となるべくゲストと目を合わせずにホールを抜け出口に向かう。

背の高い従者にガストン公爵婦人には具合が悪くて帰ったと伝言を頼み、すばやく馬車に乗り込む。


お屋敷に着くとお父様とお母様がそろって待っていた。


「リア、どうだったの?失礼はなかった?」


「お母様、とくにご無礼にあたるようなことはなかったと思いますわ。

それより急ですが、ブルーテ王国へ留学することになりました」


「それは今夜の結果次第で留学することになっていたから大丈夫よ」


なんですと?


「先ほど、畏れ多くもファビアン王子直々に屋敷へ立ち寄られ挨拶して行かれた。」


お父様がめずらしく興奮してる。


「あなたから快諾を得られたから嬉しいとまでおっしゃってたわよ、お父様にはブルーテ王国の珍しいお酒、私にはブルーテ王国のレースのショールをくださったのよ」


「僕は二階級の昇進。ま、留学がなんといっても最大のご褒美だけどね」


外堀工事完璧です。

ファビアン王子。


「リア、あなたには今回の旅支度がご丁寧にトランクに荷造りされて届いているわよ、舞踏会用のドレスはもちろんナイトドレスに散策用のパラソルまで入ってるそうよ」


う、内堀までぇっ?!


「な、なんて、手回しがよくありがたいことでしょう。驚きすぎて疲れました。私、もう休みますわ」


お母様は根掘り葉掘り聞きたいご様子だったが、

早々に自室に下がる。


一人になって頭を整理する。

尋常じゃないレベルのハイスペック物件なのはわかりました。


そしてもちろんお会いしたなら、とんでもなくドキドキします。


でも、それは美しさ故。


本当の意味で心を奪われたわけじゃないですから。


ただ、王子ともあろうお方が真っ直ぐ向かってこられたからには、こちらも色眼鏡で見ずに、ファビアン王子をよく知ってから判断するべきだわ。


とにかく、お試し交際留学はお受けした。

悩んでもしかたがない、

行ってみよう。うん。


あら、やっと自分のなかでこのドタバタが消化できたとたん、お腹すいちゃった。


「ドリー、ごめんなさい、お茶入れてもらえる?特製のフルーツケーキがあるのよ。それから大切な話も。」


着替えもせず、閉じ籠った私を心配していたドリーはすぐにワゴンを押して入ってくる。


「お嬢様、ご心配申し上げましたよ」


「ドリー、着替える前にちょっと頭を整理したかったの。あなたは知らされてるみたいだけど、夜会でファビアン王子にお会いしてきたわ」


ドリーは驚くわけでもなく静かに聞いている。


「平たく言って、王子の留学先へ私もいって短期留学しつつ、結婚前提のおつきあいをさせていただくことになったの」


それでもドリーは驚くことなく聞いている。


「ドリー、あなたはこの屋敷に来て私についてくれて二年だけど、あなたが一流の腕を持っているからだけではなく、あなた自身を信頼しているわ。この留学についてきてくれるかしら?」


ドリーは急に立ち上がり、一礼すると

「リアお嬢様、今まで申し上げられなかった無礼をお許しくださいませ。実は私、ただのメイドのみならず、有事には要人をお守りすることも任務でございます。畏れながら、王室の特務室に所属しておりまして、リアお嬢様にお仕えする前はファビアン様の姉上、オディール王女にお仕えしておりました。ファビアン様がリアお嬢様を見初めて以来、どこからか情報が漏れて何かあってはと、ファビアン様が私を遣わしたのでございます。」


えぇぇーっ!!


驚きはもう沢山なんですけど…まだあったとは…!

もう勘弁してほしい…


「リアお嬢様、そのフルーツケーキは絶品でございます。ドライフルーツの仕込みから焼き上がったケーキの熟成まで含めますと半年かかります。」


ドリー、あなたの重大発表の後だと驚きは半減ですけど、これまた地味にサプライズ!


「ドリー、今夜は一生分くらい驚いたわ」


ドリーは申し訳無さそうに

ティーカップを差し出してくる。


「うーん、なんとも深い味わいだわ、このフルーツケーキ」


「あ、ドリー、ありがたいことに私の旅支度は王子が整えてくださったらしいの。だから、自分の荷造りだけでいいわよ」


「お嬢様、リアお嬢様にお供するからにはとファビアン様がお気遣いくださり、私にも旅支度を整えていただいたのでございます。二年無事にお嬢様をお守りしたご褒美にとおっしゃっって…」


いつもの愛らしいドリーにもどってそんな報告されてもなぁ…


王子、

堀という堀を埋めまくり、

いい仕事してらっしゃる!

























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