初めてなのに放り込まれました
「お嬢様、リアお嬢様」
なんだかんだで眠っちゃったのね私、ドリーにそっと起こされた。
真っ暗だけど今何時ごろかしら。
「まだ真っ暗」
思わず呟くと
「そりゃ闇にまぎれて移動して朝日と共に華麗に登場する筋書きだからだよリア。
ここからは馬に乗って行く。リアとドリーは白馬でアレグラ嬢と私は黒の馬だ。」
石とか馬の色なんてなんだっていいんですけどね。
え、今は馬にも乗れますよ私。
もちろんオディール様の訓練に普通に組み込まれてました。
そっと馬車を降りる。
なんと乗ってきた馬車は一緒に移動して敵地についたら先に走らせるんですって。
涼しい顔でいい囮になるからっておっしゃるけど、
囮になるのと実際戦うのはどっちがいいのかしらね。
それぞれの馬に乗るとオディール様を先頭に次が私、アレグラ様、ドリーの順で森の中を静かに進む。
目をこらせば木々の向こうにぼんやりと小さな灯りがゆれている。
オディール様が手を上げ
全体がそっと止まる。
「いいかリア、あの小さな灯りがシドの陣営だ。
できればユレヒト港で止めたかったがもうエバイラにこんなに食い込んで来た。
奴らの陣営の後ろに川があるがおそらく船を乗り換え川で来たに違いない。
馬車がこちらの合図で奴らに突っ込んだあとは川をふさぐよういってある、馬車が行った一呼吸あとに私とアレグラ嬢は右から、リアとドリーは左から行くんだいいね」
いやぁーっ!
単純にコワイんですけどっっ!
「リア、初陣は皆緊張するものだが気負わなくていい。いいか?
たった一つ相手の動きを封じることだけ考えろ。
相手のどこでもいいから向かってきた奴らに武器を当てろ、殺す必要はない生かしておけば後から使える」
最早無言……
オディール様の合図で馬車が勢いよくスタートして灯りに向かって行きとたんに怒号が飛び交う。
「なんだ?!」
「敵襲か?」
「まさか!いや馬車一台だけだ!」
「行くぞっ!」
オディール様がかけ声とともに私の馬のお尻を叩いた!
ちょっちょっっとぉぉ〰
若葉マークを先頭ってどゆことっ?!
あんなにおとなしかったお馬さんが凄い勢いで駆け出す。
「こんどは女だ!」
「女?捕らえろぉっ!」
見渡すと一面マスクを着けた黒い装束の一群がずらりと!!
その一群が一斉に私めがけて向かってくるっっ!
「手近なところから一人一人当てましょうリアお嬢様」
ドリーが細い剣でまわりを払いながら私の後ろからささやく
頷く間も無く私の視界に入った黒い影から何か繰り出され反射的に避けて……
投げてました!
当たりました!
左手で右肩を押さえ呻く兵士が馬ごと転がってく!
「敵だ!やられたぞ!」
「女二人だ囲め!」
わーん
気がついたら身体が避けてたの
手が動いてたんですぅぅっ!
「ドリーっ!」
思わず叫ぶと
「すぐ後ろにおります。
今のでおわかりかと存じますが身体が勝手に動くはずです。
前方をお願いいたします。
後ろを守りつつ危ない時はサポートいたしますで!
さあ左ですリアお嬢様!」
ひ、左?
いやぁさっきより大きいひげのコワイ人くる〰っ!
「女ぁ!覚悟ぉっ!」
槍!槍だよ!
しかも両手って!
慌てて右手で投げた後
左手でも投げちゃった!
左右の腕に当たりその大男は馬から落ちた。
「次、前です!」
「いやぁ!」
そこからはもう何がなんだか……
無我夢中でドレスの裾がめくりあがるのもかまわず
投げに投げて気がついたらナイフがないっ!
横から二騎来るのが見えてどうしよう!
と例のブローチを握りしめていたら
目の前をオディール様が鮮やかな剣技で二騎まとめてなぎ倒し私の横に並ぶと
「よくやったなリア。
今のがこの軍の最後だ。
シドはまだ船にいるらしいな。この軍が先発で後ろから大軍が進んできている」
「……はぁ、えっと、はじめからご存知で?」
肩で息をしながら、
やっとなんとかまわりを見れば倒れて呻いている
兵士の数は百人に足りてないくらい。
きっとオディール様にとっては軽いウォーミングアップくらいのものよね。
なんか脱力……。
「これがカリキュラムの仕上げで試験のようなものだな。
実戦の緊張感は実戦じゃなければ味わえないだろ?」
ドリーがいつの間にか反対側に並び
「オディール様は脳筋強引野郎に見えますがわりと深いお考えをお持ちでございます。
リアお嬢様これでいつでも戦いに臨めますね」
わりとって何?
いつでもって不気味に微笑まないでよドリー!
「お疲れ様~リアが一番働いてたわよ!」
アレグラ様がゆっくりと木立から馬を進めでてくる。
え、アレグラ様ただ見てたんですか??
「それこそキプロスの先発隊もそろそろこちらに着く頃だろう。私達は馬車で休もうか」
いえ、そのまま帰りたいですっ!




