訓練の終わりと共に
うららかな午後そよそよと柔らかな風が頬をなでる。
オディール様が例によって栗色に近い金髪をなびかせながら凛々しいお顔で重々しくカリキュラムの終了を宣言された。
「この一ヶ月よく頑張ってくれたね。
二ヶ月の特別カリキュラムを君は一ヶ月で終えてしまった。
腕力、体力のハンデはあるが、
持久戦じゃなければかなりの手練れでもいけるだろう。
リアが立つ気なら私とドリーはいつでもついていくぞ、私達は最高のチームになるだろう」
なんですかそれ、自分から攻めいろうとするなんて、そんな気さらさらありません。
「あ、ありがとうございます。
ひとえにオディール様とドリーの指導の賜でございます。
実戦では皆様のお邪魔にならないようオディール様とドリーにひたすらついていきますわ」
ドリーおかしな熱視線を私に送るのはやめてちょうだい!
何考えてるのかわかるけどわかりたくないわね。
思えばあっという間の1ヶ月、毎日目の前の課題をこなすのに精一杯でホントにあっという間だったの。
いつも実戦さながらのシミュレーションが突然はじまって気の休まる時がないったら。
ある日は敵に扮したドリーが私に謝りながら奇襲をかけてきて縄で縛られちゃってそこからいかに縄脱けして応戦するかとか、
またある日はお城の池でボートに乗せられて揺れるボートから的に向かって短刀投げをさせられたり、
またまたある日は城壁を本当に越えさせようとさせられたり……っていうか越えさせられたわ、
とっても役立つんだけど毎日がサバイバルゲームのようだったわぁ…………
お昼の時間だけが唯一のお楽しみね。
ファビアン王子が毎度女子力の高い素敵なランチを用意してくれたからそれを楽しみになんとか頑張ったの。
一緒にランチできたのは数えるほどだったけどね。
ランチの後に
またご指導があってお茶のの時間には終了。
そこからのお茶の時間にはアレグラ様も加わって見た目は優雅な女子会のはじまりはじまり、
王宮の美しい一室で艶やかな黒髪に素晴らしい谷間をお持ちのアレグラ様と豪奢な金髪でムダにイケメンなオディール様に挟まれてどちらからも色気駄々漏れで、
あぁ私に足りないのはお胸だけじゃなくこの色気なんだわと思い知らされる毎日。
そんなんでちょっと違う何かでお腹いっぱいになりながらやっとお部屋に戻れば間髪いれず侍女軍団の皆様によってたかってお手入れされてお着替えさせられ皆様お集まりの晩餐に突入。
国王陛下に王妃殿下をはじめファビアン王子にオディール様、お兄様にリュカにアレグラたまにお父様とお母様。
訓練で疲れてるから皆様との会話も朦朧とした中でたどたどしくなってしまったのも一度や二度ではないわ。
そんなことが頭の中をめぐりながらのお茶の時間、
カリキュラム終了のお祝いなのか今日は砂糖細工の薔薇の花があしらわれたホールケーキがテーブルの中央に鎮座していて切り分けるのがためらわれるほどなの。
今日でカリキュラムが終了なら明日から訓練しなくていいってことよね?
とっても嬉しいわぁ
思わず満面の笑みでケーキを頬張っていると
リュカお兄様が上着も無しで駆け込んで来て叫んだの。
「マシリトのシドが攻めこんできたと早馬で知らせがはいった!!」




