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頑張って訓練、訓練


栗色に近い金髪をなびかせて颯爽と走るオディール様と有無を言わせない表情のドリーに挟まれて、

とんでもなく久々に走りながらぼんやりと前世の私を思いだした。


そういえば私、走るのけっこう速かったよね?

しかも短距離も長距離もまぁまぁいけてたわ。


学校のマラソン大会なんて大っ嫌いなのに一応真面目に走ってる内になんとなく上位に食い込んでたっけ。

途中から歩く人をうらやましく思いながら元々のマジメさが勝って結局つらくてもペースをおとせなかったんだったなぁ。


ん?

そんなこといったら私卒業式の時に中学校の体育の先生に呼び出されたことあるよね。

高校行ったら何か運動部に入れって言われたっけ……


いやいや、大事なのはそこじゃないっ!

今のこの状況!


令嬢暮らしのこの身体には突然のスパルタランニングとか無理だから!


もうかなり限界……ご令嬢らしくあのベンチの辺りででも倒れてみようか?


「リア!走らなくていい!姉上!

リアになんてことさせるんですか!

ドリー!おまえがついていてどうしてこうなるんだ」


ファビアン王子!

いいところに来た!

スゴイ速さで走ってきたのに息一つ乱さなくてさすがです。


「ほら、リア、ここに座って。

はいこれ飲んで、レモン水だよ」


た、助かったファビアン王子の心配そうな顔の向こうに、邪魔された感だだ漏れのオディール様とやる気に満ちたドリーが見えるけど冗談じゃないわ。


よく考えたらいきなり走りこんだって疲れるだけ、

今まで過保護なお貴族様だったのに突然体育会系になろうなんて無理だからー。


うーんレモン水最高。


「ファビアン、おまえは国の重要戦力を潰すつもりか?」


え、オディール様、腕なんか組んで何いっちゃってるんでしょうか?!


「恐れながらファビアン様、

リアお嬢様の短刀投げの技量は私共と同等。

訓練されればおそらく国一番にもなられるかと思 われます」


あれ?ドリーあなた私を守ってくれるんじゃないの?!


「リア本当なの?

短刀投げなんてどこで覚えてたの?

本当に短刀投げが上手くても急に走らなくていいよ!

二人共目の色かえてリアに無理させないでくれ!」


た、正しい、ファビアン王子あなたはとてもまともだわ!

心の中でファビアン王子を絶賛しながらほっと一息つく。


「ファビアン、リアの短刀投げを見ても同じことが言えるかな?」


オディール様その不敵な笑みはなんですか……


「そうでございます。私は久々に感動いたしましたっ」


ドリー、ちょっと前までと別人なんですけど!


「リア、悪い、投げて見せてもらってもいいかな?」



私はしぶしぶ的に向かって短刀を投げた。


またまた真ん中命中!

あー……

なんだかできちゃう自分が嫌だわ……


振り返ったら

二人の時より

驚いてるファビアン王子。


驚きました?

そうだよね私も驚いたもの

なんか、ダーツの要領でできちゃったんですよ。


「リア、凄いよ……」


「な?国の重要な戦力だろ?」


「体力さえつけていただければ完璧かと思われます」


「……リアはなんでも出来すぎるなぁ。

これ以上驚かせないでよ……まぁ安心材料が増えたとでも思っておくよ。

ただし基本的には戦わせないからね。

姉上にドリー、リアに突然走らせるなんて無茶させちゃダメだよ。

そんな脳筋なカリキュラムじゃなくて効率のいい筋トレからはじめるべきだ。

期間は長くても2ヶ月目安で。

1ヶ月でとりあえず仕上がる感じで尚且つリアが疲れすぎない内容じゃないとね」


わぁなんだかファビアン王子が物凄くものすごーく正しい人に見えるよ。


この短期間でもっとカッコいい場面山ほどあったんだけど今めちゃ感動(笑)


「……すまないリア、私としたことが君の素晴らしい短刀投げに興奮しすぎたようだ。

確かに愚弟の言う通りだな」


オディール様が髪を払いながらため息をつくんだけどこの人本当にいちいち様になってるよね。


あら、ドリーも意気消沈してうつむきがちになっちゃってる。


「もうお昼だよ。食べてまた午後から軽く訓練するといいよ。

そこに準備させるからピクニックにしようか」


あーもうお昼なのね。

ファビアン王子のお手製なら期待大っ!



その後芝生の上に敷物がしかれ大少のクッションが置かれ、

いつの間にか熱々の香り高いお茶がでてきてなんとも優雅なピクニックが繰り広げられちゃったわけで。


ファビアン王子お手製のサンドイッチの美味しいこと!



◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


そこから1ヶ月私は毎日オディール様とドリーに挟まれて短刀投げはもちろん、

剣(軽くね、軽く、危ないから)、縄脱け、体術、薬の座学等々かなりみっちり鍛えられました!


覚えが早いとお褒めの言葉をいただきましたがなんか複雑。

私って気楽なご令嬢だったはずたよね?ね?



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