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短剣投げるのってダーツと似てますよね


オディール様から午前10時に普段通りのドレスで騎士団の訓練所にくるように言われた。


ドリーはまだぶつぶつ言ってる。自分でも教えることができたとご不満の様子。


騎士団の訓練所は歩いても行けるが王宮の端の棟になり遠いからと可愛らしい馬車で運ばれてしまった。


本当に広いよね。


騎士団の訓練所の入り口に短髪のイケメンが物憂げに腕組みして立ってると思ったら黒い騎士服を着たファビアン王子だった。

そばには従者役の騎士が二人荷物を持って控えている。


「リア、おはよう。俺は今日からほとんど軍議でリアのそばにいられそうにないんだ。とりあえずこれ作ってきたから」


従者の一人がピンクのリボンがかかった帽子が入るような大きな丸い箱をささげ持ち前にでる。


「訓練がつらくなったらそれ食べて。嫌になったらいつでも止めていいからね」


なんだかかなり過保護ですよファビアン王子。

包みを開けてもらうと色とりどりの薄紙で包んだ

一口大の小菓子達。

クッキー、チョコレート、キャラメル、パートドフリュイ、マカロン、マドレーヌ。

数えきれないほど沢山入ってる。

こんなに色々いつの間に作ったの?


「わぁ、ありがと。すごい!これだけの種類作るの物凄く大変じゃない?ファビアンの作るものはとっても美味しいから嬉しいわ」


「リアって俺に向かっては時々発言が正しく表現されすぎだよね。

俺が作ったから嬉しいとか言えばいいのに。

正直でいいけど。あとこれ、リア用の短剣。軽くて投げやすいからね」


もう一人の従者が差し出すトレーの上には細い短剣がずらっと並んでいる。


「あ、ありがと。頑張ります」


そこへ豪華な巻き毛をなびかせながら真っ白な騎士服のオディール様がいらして、私の後ろに回りこみまるで私を後ろから抱き込むようにして従者のささげ持つ箱から無造作にひとつ取り口に入れる。


「うん、わが愚弟のパティシエとしての腕は確かだ。ほら、リアも食べてごらん?」


いつの間にか口の前に薄紙を剥いた小さなマカロンがあって思わず口に入れる。

うーんさすがファビアン王子オレンジ風味のクリームが入ったマカロン、なんて美味しいの!


「姉上、私の姫にそのような真似は慎んでいただきたい」


ファビアン王子がオディール様を睨むけどオディール様はあきらかに面白がってるわよね。

喉の奥から笑いが漏れてるもの。


「それより軍の心配をしたほうがよいぞ。私が朝の鍛練に模擬戦をしただけでまだ転がって起きられない者がごろごろいたぞ」


「くっ、ぬかった。姉上わざと痛めつけてくれましたね!急ぎ向かうぞ!」


あらーファビアン王子が血相かえて訓練所の奥へ走っていったわ。珍しいわぁ。


「さぁリア、私達はあんなむさ苦しい騎士達のいる訓練所よりこっちの庭で練習しよう」


オディール様が柔らかく手をとってくださり訓練所の入り口の横にある庭園に連れていかれた。

後ろからオディール様の従者がファビアン王子からの小菓子と短剣を持ってついてくる。

ドリーはまだぶつぶつ。


ぐるっと薔薇に囲まれた広い芝生に前世で言うところのアーチェリーやダーツで使うような的が立てられている。


「リア、ドレスできてもらったのは実戦はドレスを着ているからだよ。淑女はいつ襲われるかわからない。ただ確実なのは訓練する為の格好をしているときではないからね。今日はまずあの的まで届くように投げてみよう。まずは私が投げてみるからね」


オディール様の話を聞きながらそういえば短剣投げるのってダーツと似てるなぁと思う。

私前世ではけっこうダーツバーに通ってたのよね。

ちょうどダーツのめちゃくちゃ上手い人と少しお付き合いもしちゃったりして……それこそ手取り足取り教えてもらったっけ……

ダーツは中々上手くなったけどその人にはすぐに興味無くしたんだったなぁ


そんなこと思い出してると

ザクッと音がして短剣がみごとに的の真ん中に刺さっている。

わぁオディール様すごい、すごいけど投げてるフォーム見逃したっ!


「リア、当たらなくて大丈夫だからできるだけ的に近づくよう投げてごらん」


「は、はい」



え、えーと、ダーツの時はダーツの中心を持ってひじを90度に構えて最後は投げた指先が的の狙ったところを指す感じで投げるのがコツだったっけ?

ってことはこの短剣も同じようにやってみようかしら。

ちょっとはしたないけど足を前に出し体重をかけ、もう片方は後ろに流し、的めがけて思いきって短剣を投げてみる。


サクッ。

オディール様の時よりは軽い音だけど真ん中よりはずれてるけど、しっかり的に刺さってる!!


「うん、ダーツと同じだわ。これならいけるかも」


思わず呟いて振り返って見るとオディール様とドリーがびっくりして固まってる!


「リアお嬢様、いったいいつの間に訓練されたのですか?」


「驚いたなリア、君はどこでこれ程の技を身につけたんだ?」


え?あれ?そんなに驚くこと?あら隅にいる従者の方お口があいてますわよ?!


私やりすぎちゃったのかしらー








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