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夜会準備

温室には特別に手をかけて育て上げている薔薇達がある。ちょうど今夜の夜会にぴったりな

淡いピンクに花びらの端が濃いピンクでいろどられた薔薇が見頃だ。


よく吟味してドレスを飾るのにふさわしいものを選ぶ。十分な量を切り終え、温室をでると、

ドリーが水をはったバケツをもってくる。


「ありがとう、ドリー、もう一度水上げするけどすぐに水につけられて助かるわ」

「お嬢様、こんなことは私にお申し付けくださいませ」


ドリーが一つため息をつく。


「私じゃないと駄目なのよ、全部計算してつんでるのよ。どんな蕾と咲いたものが必要か…」

「ですから、私が手となり足となりますから、お手にキズでも作ってらっしゃらないでしょうね??」


こんどはちょっと目を見開いて怖い…。

そんな顔に気がつかないふりをして、薔薇に添える適当なグリーンを見繕う。

「ドリー、このシダを少しと、アイビーの先端の薄いグリーンのところを何本か切ってくれる?」

「そうでございます。そのようにお申し付けくださいませ。」


はぁ疲れる、なんでも人任せっていまだになれないわぁ。


そんなこんなでさっそく今夜の秘策。

フレッシュな薔薇のコサージュ作りにとりかかる。

時々花を胸元に飾っている令嬢を見かけはするものの、そのまま飾りつけているので、夜会が進むにつれ、お花が萎れて見てられない。


前世でフラワーアレンジメントやテーブルコーディネートのお教室にせっせと通ったおかげで、

こちらにくると色々と役立つ。

まぁ当時は働き過ぎで変な方向にベクトルが向いたとか、今さら玉の輿ねらいかとか、痛いとか、

外野はうるさかったけどね。


こちらには、○ルミホイルとかラッ○とか便利なものがないので、湿らせた綿で茎を覆って、柔らかい葉でくるみ、グリーンのリボンで巻いて固定する。

こんな風に処理したお花を、今回は単純なコサージュではなく、ドレスの肩から胸元にかけてまるでそこにつるばらが生えているかのように、

蕾や咲いた花をバランスよく縫いとめてゆく。


「お嬢様、芸術的ですわっ、まるで今夜のリアお嬢様は妖精のようですわね」


一番喜ぶのはドリーだ。


「ねっ、今夜のような若い方が中心のガーデンパーティーの夜バージョン、でもコーディネートのセンスは試される見たいな日にぴったりでしょ?」


「はいぃっ、お嬢様の儚げな美しさをいっそう引き立てますっ!」


「そこじゃないわよ、新しいドレスやジュエリーをオーダーするのをパスできて、おまけにお金にものを言わせて着飾る令嬢と下らないステージに立たなくてよいこの頭脳プレイを褒めてよ」


「恐れながら、リアお嬢様、お嬢様は立派なギーズ公爵のご令嬢、お家の位は王家から数えたほうが早いほどでございます。ドレスのご新調等々につきましてはご心配にはおよびませんが」


心配で見にきたのか、メイド頭のマーサが立っている。


「わかってます、わかってますよぉ。あのね無駄が嫌いなだけなの、それに、やっぱりこの規模の屋敷や領地を管理するのにはそれなりにお金が必要よ」


言ってるそばからマーサの顔色が変わる


「リアお嬢様、そんなことより、ご結婚についてをお考えくださいませっ!」


なんたるやぶ蛇言いすぎたっ


「よろしいですか?お嬢様、本日の夜会は事実上

選ばれた青年貴族の今をときめく若様の集まりでございます。しっかりと今後のお相手を見極める、またとない機会でございます。仮にも公爵家のお嬢様が軽いおしゃべりと気を緩め、殿方にお嬢様のお人柄が誤解されることの無いよう、くれぐれも発言にはお気をつけくださいませ。」


ぐぃぃっーっと方眉を上げマーサが迫ってくる、

だから怖い、こーわーいー


私はぶんぶんと首を縦にふった。


はぁ既に疲れた気がするが、

ぼーっとする間もなく、今度はドリーが嬉々として迫ってくる。


「さぁっお嬢様、上から下まで磨き上げますわよぅ」


かくして入浴にはじまり、色々と調理?され

リアお嬢様、夜会バージョンが出来上がった。

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