お仕事の早いファビエンヌ
一瞬にして色んな事が頭をめぐる。
もしかして女装がばれた?!
ファビエンヌを気に入った従者に連れ去られた?!
一人で乗り込んだ?!
とりあえずっ夜着でぼーっとしてられないっ!
例のガーターを着け、苦労して脱いだ甲冑コルセットを着ようとした、着ようとしたんだけどっっ
コルセットの紐締めらんないわぁ ううっどうしよ……
脱ぐのはなんとか脱げたんだけど、んーっ仕方がないな、コルセットは無しの方向で行こう!
とにかく急がなきゃね。
仰々しいドレスにはうんざりだけどなんとか着てみる。
さぁこれで一応準備できたわっと思ったところへ
「お嬢様?」
え?ファビエンヌ?
あわてて扉を開けるとまるでずっとそこにいたみたいにファビエンヌがお茶の用意をしていた。
え?え?口をぱくぱくさせながら見張りがいる扉と侍女用の部屋を交互に指さすと
「お嬢様?淑女たるものもう少し落ち着いて、身だしなみにもお時間を割かなくてはなりませんよ?もちろん何もされなくともお嬢様はお美しいですが。まぁ私としたことが夜着のご用意もいたしませんで」
艶然と微笑みながら有無を言わせぬ迫力でずんずんと近づいてきて壁まで追い詰められてしまい、またもや耳許で囁かれる。
「リア、君、色々能力高くて感心するけど、普通どこぞの令嬢って一人でお湯をつかったらもっとめんどくさく時間かからない?」
「え?しっ失礼ね!ちゃんと洗ったし。あなたの為にお湯をたらいにとりわけといたし……」
身仕度早いの責められるなんてどういうことよ?!
「うーんそこまで気をまわしてくれてありがとね。リアがわからないうちにパトロール済ませたかっただけなんだけど。リアが出来すぎるからばれちゃったね。見張りはねちょっとだけ眠ってもらったんだ。広い船だね。とりあえずアレグラ嬢の部屋だけは押さえたよ。まだボスの正体もミゲルの正体もわからないから今日はここまで」
そこまで一気に言うと
身体をはなして
「さ、お嬢様、お休み前のハーブティーですよ」
ええぇっ??
どうやってここでたの?
どうやって?どうやってぇ?
疑問符ばかりが浮かぶけどファビエンヌがとってもいい笑顔でハーブティーを進めてくれるので黙って飲む。
ファビエンヌは窓が開くか試していたがどうやら開かないようだ。
「ご馳走様ありがとう。お湯をどうぞ?そちらにもバスがあって?」
「ありがとうございます。たらいをそのまま使わせていただきます。お嬢様はどうぞお休みくださいませ。」
なんだか(おとなしく寝て邪魔するなよ)にしか聞こえないけど……
ドレスを脱いでまた夜着を着て豪華なベッドに滑りこむと気疲れからかあっという間に眠りに引き込まれてしまった。
何かに拘束されてるような違和感から目を開けると……黒い巻き毛の超絶美少女の寝顔が目の前にっ!
抜け出そうともがくも、顔に似合わないしっかりした腕にがっちりホールドされてて、うーん動けない!
「ちょっと、ねぇ?ファ、ファビエンヌ」
小さい声で呼んでみると
フサフサの睫毛で縁取られた瞳がゆっくりと開かれる。
思わずサファイアブルーの瞳にすいこまれそうになってまじまじと覗きこんでしまうと、
ふわっと笑いながら
「おはようリア、君の瞳はほんとに綺麗だね。俺リアを守りたいからちょっと恥ずかしいけど結局一緒にいたんだ。部屋離れてたら出遅れるからね。ついでに理性を総動員して俺からもリアを守った。俺えらい?」
あーはい。
とんでもなく驚いてどこから突っ込んでいいかわかんないですけど。
ありがとうございます。
でもでもとっても心臓に悪いです。そしてもう大丈夫なので離してくださいませ。




