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リュカからの願い

ファビアン王子は黙って立ったままだ。


「そちらも調べていることと存じますが、私共の調べではどうやら敵は全く新しい勢力らしい…その者達にブルーテ王国が援助している。ブルーテ王国がファビアン王子、貴方様の情報を流した模様、キプロス王国と我が軍の二つを揺らし手中におさめたなら後の周辺各国を倒すのは容易い。兵力の少なさやその他諸々を補って且つ効果的な攻撃として、王子貴方様と我が姉に的をしぼったのでしょう。私の部下達はそれぞれ家族や大切な人を亡くしたり傷つけられた者ばかりです。このエバイラの荒れた状態を一刻もはやく平和にしたいと集まっております。この結束は血よりも濃く決して秘密が漏れることは無いとお約束できます。せめてこのアシル号の中ではおくつろぎくださいませ。船の外ではどうぞそのまま従者のふりをお続けください、少しは敵の目を欺けるでしょう。敵は誰でどれくらいの規模で待ち受けているのかわかりません。このことが表沙汰になれば戦争へ持ち込まざるを得ない。負ける気はしないがせっかく進めてきた和平への活動が水泡と化すのは避けたい。ましてや大切な人を標的にされるとは腹立たしいことこの上ない。事を大きくしたくないのはキプロス王国もわがデザルク軍も同じです。その為には今私達はしっかりと手を組むべきだ。

ファビアン王子あなたに指揮をとっていただけないでしょうか?」


リュカは食べている時とはうってかわり野性的な瞳は未だ見ぬ敵への怒りで揺めき彼の後ろには燃え盛る炎が見えるようだ。そしてその瞳でファビアン王子を強く見つめる。


「この変装が騙していると不快にさせていたらすまなかった。今回の奴らとつながっているかまだわからないのだか…物騒な事が続いていて直接調べたい案件もあってやむなくこの姿だ。思えば奴らからは場所だけの指定で時間はおろか敵が誰なのか本当の狙いが何なのか全くわからない。リュカ殿が言うように我々は強固な関係を結ばねばならないようだ。手厚いもてなしと全面的な支援に感謝する。

互いに協力を惜しまぬことを約束しよう」


「ありがたきお言葉。では改めて乾杯を」


いつの間にかそれぞれの前にベリーの濃い色をした赤ワインのグラスが置かれていた。しかもドリーやテオをはじめ給仕のものなど全てにグラスが配られている。部屋のドアが開きディミトリ達が押し出されるように入ってくる。グラスを持って困ったような顔をしている。


「ファビアン王子、あなたの家族と私の家族に一言いただいてよろしいでしょうか?」


リュカが恭しく一例した。


「…ならば甲板に出よう」


ファビアン王子は甲板にでて前髪をかきあげ、サファイアブルーの瞳を煌めかせながらゆっくりとリュカたちを見渡して言った。


「あなた達の賢く美しい主君に私の醜い隠れ蓑は引き剥がされた。我がキプロス国とデザルク軍とは今より互いに信頼を寄せあい兄弟のごとく助けあうことをここに宣言したい。この赤は互いの血と同等互いの血に誓わん今より我々は家族同然…乾杯!!」


ファビアン王子は側に立つリュカに向かってグラスを掲げた。リュカも同じ高さにグラスを合わせる。

それにならってキプロス国とデザルク軍の面々もそれぞれグラスを天高く掲げ合う。

私のグラスにも四方八方からグラスが寄せられる。

私も粗相が無いようできるだけグラスを合わせた。














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