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目的色々

「…っ!」


えぇぇっ!声もでない!

この人何やっちゃってるのぉ!!


「そこまでやる必要あるのか?ファビアン、酷すぎる…」


「カイル、私は何事も完璧を目指すのだ。こんななりをした従者でいれば、それぞれの本音もさぐりやすいぞ」


頭を抱えるカイルお兄様を

尻目に思わず呟いてしまった、


「いいな、うらやましい。誰にも気にかけられず、ひっそりできる…」


あ、ダメ、つい本音がでちゃった!


「でしょう?うらやましいでしょうが、今回は我慢してくださいよ。ゆくゆくはリアにもひっそりさせてあげますから」


な、なんですと?

いま「ひっそり」って言った?言ったよね?


「ファビアン王子、それはいつのことでしょうか?」


思わず手を組み、ファビアン王子を見つめる。


「別のことでそんな風に見つめられたいものですね、リア。私達が周りの望む役割を果たして、キプロス王国が安定したあかつきには念願の「ひっそり」を二人で堪能しよう」


結婚込みでずいぶん先の話をされてるぞ。

喜んで損したわ。


「リア、そんなに気を落とさないでくれないかな?本当にひっそり暮らしたいなら、今のプランが近道なんだ。はやく国の安定を図りたいから、君達を呼んだんだよ。」


ファビアン王子が大袈裟にため息をつく。

お兄様が真面目な顔で後を続ける、


「リア、ファビアン様は遊んでる訳じゃないんだよ。わが国は領土は広いが、いまだあまり活用されていない、めぼしい産業もないのが現状だ。今まではそれでよかったが、今後は単純な領地からの収入に頼る体制を脱却しなければ、わが国の未来は暗いとファビアン様はお考えだ。そこで、いま様々な産業により外貨を稼ぎ国力を伸ばしているブルーテ王国で僕達を学ばせ、何か新しい産業をわがキプロス王国にも起こしたいというわけだ。」


「カイル、「様」はやめてくれ。リア、そういうわけなんだ。それに、こうして異国であれば、会うのが楽だ、俺という人間をよく知ってもらえる」


ねっ!と同意を求めるようにマッシュルームを揺らすファビアン王子。

笑えるっ。


「もう一つ、ブルーテ王国によからぬ動きがあるらしい。平たく言って、ファビアンを狙っている。ファビアンはさらに他国へ行ったことにして油断させ、ブルーテ王国の真意がどこにあるのか探るんだ」


マッシュルームが揺れても微動だにせず。

お兄様が締めくくる。


また襲いくるサプライズの嵐。二重、三重の目的があったのね…なんだかちょっと降参気味。


「一石二鳥、三鳥ですね」


ファビアン王子が破顔して嬉しそうにこちらを見る、


「そうなんだよ。素晴らしいだろ?というわけで、俺は新しい従者のファブだ。皆、よろしく頼む。」


「「「「はい!ファビアン様!」」」」


私以外、みんな良いお返事です。


「リア、疲れたろう?食事は部屋へ持っていかせるよ。明日も早いから」


そうでした、また着替えて晩餐なんて、今日はさすがに勘弁だもの、ファビアン王子、ありがたくお言葉に甘えます。


さっそくお部屋に下がらせてもらいそうそうに寝支度をしてしまう。


「お嬢様、私、厨房へ行きお食事を運んでまいります」


「ありがとう、ドリーもここで食べちゃえば?」


「いえ、主と同席なんて許されません」


そう言って行ってしまった。こんな旅先くらい、いいのにとさびしく思う。


やがてノックがあり、


「リアお嬢様、お食事をお持ちいたしました。入ってもよろしいでしょうか?」


その声は!ファビアン王子!!


「ふ、ファビアン様!とてもファビアン様の前に出られる格好ではございません!」


「ガウンとかあるでしょ?時間ない時はどっちかの部屋で夜におしゃべりすることもでてくるよ?一応言うけど何にもしないよ?いれてくれない?」


うーん仕方ないっ!

ベッドの上のガウンを急いで羽織り、ソファーに座り直す。


「ど、どうぞ」


美味しそうな香りの立ち上るワゴンを押してファビアン様が入ってくる。


「ドリーはどうしたのですか?」


「ドリーにはもう今夜は下がるように言ったんだ。二人分あるんだ、一緒に食べよう。」


くつろげないじゃないか、とファビアン王子を

見ると、いそいそとお給士をはじめている。


「ファビアン様!私がいたします。

おかけくださいませ!」


「いいから、座って、俺そんなになんにもできなくないから。前にも言ったけど、「様」はやめること。二人の時は素でいてほしい。」


「はぁ…」


小さなテーブルにクロスをかけ手早くお皿を並べ、

グラスにシャンパンを注いでくれ、お皿を覆っていたクロッシュをとる。

みごとなうずらのローストから湯気が上がる。


「このへんは、山うずらがよくとれるんだ。

この屋敷には狩りにきた時に泊まることが多い。

明日からは普通に宿をとるから、ブルーテに着くまで二人きりは無理だろな。さ、食べて?」


そういえば、馬車の中で眠りっぱなしでお昼も食べてなかったんだ。


「いただきます。とっても美味しそう!」


お腹が空いてるので目の前のお皿に集中する。


「リアって美味しそうに食べるね」


「美味しいものは大好きです。周りの令嬢に比べてかなり食べる方だと思います。」


これから食事をともにする事が多いなら早めに言っちゃえと思いきる。






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