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お母様とお買い物

昨日はヴァレリーとモニックが帰ってからも忙しかった。

一応、礼を欠いてはイケナイので、親族、他のお友達にお兄様について留学する旨を簡単にお知らせのお手紙をしたためる。

できるだけ簡単にしたわよ、無駄に沢山書かなきゃなんだもの!

夕食もお部屋に運んでもらいました!


私がいなくてもなんの支障もないと思うけど、

やたらとプライドの高い人種の巣窟ですからね。


お訪ねしてうわべの挨拶してまわるよりは、ずっとましだから、心の中で悪態つきつつも頑張ったー


カイルお兄様も帰りが遅かったみたいで、

朝食の席で、お母様から


「さすがに今夜は家族での晩餐にしてもらうわよ」


っと念押しされてました。


「僕だって、挨拶くらいしておきたいんだけどな…」


って何気につぶやいてるの

聞いてしまった!けど、疲れてたので、とりあえず放置。


今日はお庭でのんびりお茶でも飲もうと思って席を立つと、


「リア、あなたこのあと、私とお買い物よ。恥ずかしくない支度を整えなくちゃ」


「お母様、お支度はありがたく整えていただいてますけど?」


「人様に整えてもらいっぱなしではとてもあなたを送りだせませんっ」


はぁぁん、心の中でうんざり顎はずれとります、

逃れられそうにないけど、一応抵抗。


「何も買い足すものがないほど立派なお支度ですわ、それにドレスの類いも全て着られるかわからないほどあるような…どうせ仕立ても間に合いませんし」


「それは私もわかってます。それでも行きます。」


「…。」


無言で頷いておきました。


「すぐに出かけるわよ」


ドリーになるべく楽なドレスを選んでもらいしぶしぶ馬車に乗り込んだ。

キプロス王国の王都はとても栄えていて、物の売買も盛んだ。特にモードとグルメに関しては、近隣の王族がわざわざドレスを仕立てに来たり、流行りのレストランに来るほど発展している。道行く人達もなんとなく華やかだ。


そう言えば、この二年はブティックに直接行く機会はめっきり減っていた。

もしかして、ファビアン王子のせい?


ん?お茶会も舞踏会も晩餐会も家で主宰するものは、以前に比べて限られてたような…?


うーんかなり大規模に巻き込まれてるんだな… はは。


そんなにみんなに不自由な思いをさせてたかと思うと、物凄く、申し訳なくなってきた。


「お母様、知らないとはいえかなり不自由な生活を強いていたのね?」


「そ、おかげで、お出かけもお招きも最小限で、あなたの嫌いな無駄がまったくなかったわ」


嫌みとも愚痴ともつかないことを言いながら、


「だから、今日は少し発散させてもらいます。娘とお買い物にもいけないなんて、ねぇ?

さ、着いたわ」


表のショーケースにうっとりする繊細なレースを沢山ディスプレイしてある仕立て屋だ。


中に入ると、ブティックのマダムが出迎えてくれる。


「お待ち申し上げておりました。奥様、お嬢様。」


小綺麗な小部屋に通されると壁一面に並んでいる、浅い引き出しからつぎつぎとレースがあしらわれたランジェリーの数々がでてくる。


「本当はレースを選んで仕立ててもらうのだけどね、何枚も本格的にオーダーするのは嫁ぐ時期が

決まってからでいいから、今日は好きなの選びなさい」


な、なんか身内の前で大人の階段登るようで

照れるな。それにしても綺麗だ。


「お母様、これはいかがでしょう?」


控えめにレースがついてるのを手に取る。


「地味ね、あなたそんなの何もついてないみたいよ、これくらいたっぷりレースがなくっちゃ、ね?

セイラもドリーもそう思わない?」


お母様付きのセイラはもう

35年お母様といるので、

すぐに同じくらい華やかな一枚を

対抗馬に押してくる。

それを見たドリーは、

シンプルだけどかなり手の込んだレースを

あしらった一枚を押す。


「セイラもドリーもやるわね、私はこれ」


お母様、それリボンもついちゃってますから!


わぁぁん、好きなの選んでいいって言ったの誰?


結局、私が選んだものだけよけて、あとはお買い上げ。


「次よ次」


お母様にせかされ着いたのはなんと

ジュエリーショップ。

恭しく揉み手の主人があらわれて、

奥の個室に通される。

商品を見せる前に、お茶がでてきた。

そんなにゆっくりしないぞ。


「お嬢様の瞳によく映る石でございます。」


そういって取り出されたのは、私の瞳と同じ、

菫がかったようなブルーの石を使ったネックレスにイヤリングにリングのセットだ。


「こちらは、アイオライトという石でございます。

小さなものや、色の薄いものは評価されませんが、この大きさでこれだけ美しいものは

滅多にでませんよ」


お母様が私の首元にネックレスをあてて

映りを見ていると、すかさずドリーがネックレスを持ち直し、お母様とセイラが離れて眺める。


「瞳に合うのと、ホワイトゴールド台っていうのがいいわね、私譲りの銀髪にぴったりよ。」


セイラとドリーも頷く。

私はサファイアやルビーよりずっとお安いのが

何より気に入った。


「これ、いただくわ。

あとお願いしていたパールは?」


「はい、ただいま」


そういってごくシンプルで上品なパールの

ネックレスとイヤリングのセットを取り出す。


「お母様、もう十分ですわ」


「何を言うのリア、今回は最低限の買い物ですよ、パールはとにかく持ってないと、

合わせる物がないとき、格式の高い会、

色々使えて便利よ?

ジュエリーで困ったらパールをつけときなさい。」


お母様はそういいながら

手早く何もついてない私の首に

パールのネックレスをつける。


「これからはジュエリー無しで

外出しちゃだめよ?」


「…。はい、お母様。」


「さ、まだまだ買いたいところだけど、本当に立派なお支度だったから、これでいいわ。

買い足したものの荷造りもあるし、

明日は早いから帰るわよ」


以外に早くすんでよかった。疲れたけど。


その夜はお父様、お母様、お兄様と私で家族水入らずで静かに過ごした。


明日は朝早く、王室から差し向けられた馬車で

出発だ。




































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