夏希
「ミヤマツバサ」
「その声は、、、夏希」
夏希は僕より1、2歳上の御子柴さんのところで一緒に暮らした女性。
「なんで、鬼に」
「研究生としているンだよ。直保さんの傍にいたくてね♪」
この人は御子柴さんが大好きで仕方がないのだ。御子柴さんを狂った様に愛してる。だから、御子柴さんに近付く人間を掃除していると言っていた。僕がある程度育ち、学園にも慣れてきた頃から夏希からの嫉妬を本当の意味で知ることになった。
「御子柴さんは君に怯えていたはず、です」
「そんなことない!あの方は私のことを愛してくれているわ!ほら!聞きなさい!」
レコーダーを出してボタンを押す。
『あいしている』
ほかのボタンを押す。
『仕方のないやつだ。おいで』
『どうした。また泣いているのか?』
再生された声は全て御子柴さんのものだった。ただ、一番最初に再生された言葉『あいしている』は文字をつなげたようなそんな言い方で感情なんてこもってなくて違和感を感じた。
「それ、本当に御子柴さんが?」
「当たり前よ!私以外を心配してどうするの!?」
夏希はひと呼吸おいて続ける。
「、、、ねえ、この鬼遊戯って事故なら死んでも大丈夫なんだって」
歪んだ笑みを浮かべて両手を伸ばしてきた。それを咄嗟によけて逃げる。
伊藤は大丈夫だろうか、夏希に見つかってないだろうか、もし見つかっていたら、、、僕だって夏希に追いつかれたら危ないのにチハのことが心配になった。
「ふふ、見ィつけた♪」
夏希は、、、僕の目の前で待っていた。
「なんで、、、!」
「魔法科学って言ったらわかる?」
にたぁとした笑顔を作って僕を見た。
「魔法科学を使える人間はまだ少ない、はず、です」
「ほらぁ、私ってて、ん、さ、い、だからぁね♪」
「あの方に相応しいのは天才である私なの。わかるでしょ?だからアンタみたいな奴はあの方のそばにいちゃいけないの!」
夏希はどこからか取り出した刃物を僕に向けた。
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翼くんを見失ってしまった。
あの夏希という人と一緒にいるのを見て、一言で言い表せられない感情でいっぱいになっていた数分の間に二人とも居なくなってしまった!
私は警護課に所属する者として恥ずべき行為をしてしまった。翼くんはまだ警護対象ではないけど、私にとって警護対象、より警護すべき人なのだ。それなのに、、、---
私はすぐ動き出す。常備している端末で御子柴さんに連絡を取る。通常、連絡を取るのは顧問の柚原先生なんだけど、今回のようなイベント、行事中の連絡は御子柴さんにする。
「伊藤です。御子柴さん、応答願います」
『伊藤さん、どうしました?』
「イベント中に申し訳ありません。違和感のあることがおきまして」
『話してください』
私は掻い摘んで話した。森へ戻るときに感じた違和感のこと、翼くんが夏希という女に出くわしたこと、音もなく二人が消えたこと、、、。
『---、すぐに森から出てください』
御子柴さんは森から出ろと言うと電話を切った。私はとてつもなく大きな不安を胸にだき、後ろ髪を引かれるように森を出た。
夏希は直保のストーカーかな?




