鬼遊戯(おにごっこ)
僕らがグラウンドに着いたのは集合時間一分前だった。
もう既に学年クラス別に並んでいた。
「遅い」
自分のクラスの列に行くと伊藤が一番後ろに立っていた。
「ごめん」
「並び順は適当。今、点呼とってる」
辺りを見回すと各学級委員が人数を数えているのが見えた。
先生達の姿は、、、見えない。
伊藤は短パンに七分袖のシャツという格好をしている。
「この時期になっても暑いね」
「そうね」
10月になって前よりは幾分涼しくはなったけど、長袖とか暖かい服装より半袖とか七分袖とかがまだ多い。11月にでもなれば長袖とか暖かい格好をする人が大半を占めるだろう。
学級委員たちが点呼をとり終わったのか職員室がある本館に向かう。
それから10分もしないうちに放送がかかった。
『えーと、うん。先ずは試験お疲れ様でした。今日、集まってもらったのは、、、10月31日で思い当たることはないか?』
「「ハロウィン!!」」
初等部から大きな声でそう聞こえる。
『さすが初等部、元気いいな!そうだ。ハロウィンだ。よってこれからハロウィンパーティーを始める。まあ、これは先に言ったと思うが、、、』
『御子柴さん、本題に入りましよう』
学園長代理がしびれを切らせ口を挟む。
『ああ。、、、説明は霧織先生宜しく!』
『え、ちょっと、、、はあ、、、全く。えと、皆さんこんにちは』
「「こんにちはー!」」
『ハロウィンパーティーの説明をします。この後、16時から2時間鬼遊戯をしてもらいます。鬼は先生75人です。鬼である先生方はハロウィンらしく変装をしています。変装をされていない先生は何らかの役割を持って行動しています。
おや、そろそろ開始時刻ですね。では最後に生徒が勝つには2つ、ひとつは2時間後までに誰か一人生き残っていること。もうひとつ、一番〇〇にあるものを持ち写真付きで学園長室まで無事にたどり着くこと』
ブチっと無造作に放送が切れる。
「一番〇〇にあるものって何」
「誰か一人生き残っていればいいのよね」
生徒たちが勝つことについて話し始めた。
『あ、それともうひとつ。寮や各教室は入れない。使えるのは三戸学園の敷地内。校舎に入ることは可能だが廊下までだ。せいぜい頑張ることだな。学園からの支給品で例の写真を撮れよ。開始まで後5分!』
二度目の放送が終わると学級委員が職員室へ向かい支給品が入った段ボールを持って戻ってくる。
時計を見ると残り1分。
一番後ろにいる僕のところに届く頃には開始されるだろう。
『30秒前!カウントダウンを始めよう!28、、、27、、、26、、、25、、、』
「急げ!」「早くよこせ!」
急かす声が同じ後ろの方から聞こえる。
『16、、、15、、、』
「急げぇ!」
『10、、、9、、、』
「伊藤、0になった瞬間走り出せ」
「え、」
「寮の近く、隠れられる場所で待ち合わせよう」
「なんで、逃げなきゃ」
「一番〇〇にあるもの、探そう。チハ」
伊藤は少し戸惑った。
『ほらほら急いでまわさなきゃ!3、、、2、、、』
「分かった」
『1、、、0、、、スタート!』
スタートの合図と共に校舎からグラウンドに変装した先生達が10人程度飛び出す。
グラウンドは3方向を校舎に囲われている。その3方向から飛び出されると逃げる方向はひとつしかない。
僕は支給品を二人分取りにいかないと、と思っていたがこの混乱だと無理だ。
この鬼遊戯、各生徒のステータスの高さで決まる。まず瞬発力。中等部は多少遅れても大丈夫だが、初等部と高等部の生徒は校舎から近い。
「ギャー」「捕まるのはやー!」
高等部からはそういう声。初等部からは泣き声がする。
10人程度の先生にしては生徒を捕まえるのが早い。
ハロウィン関係ねー




