quarter
警護課を出たあと、僕は学園長室に戻った。
「警護課にはたくさん人居ましたね」
「そうだな。学年も様々だったな」
「御子柴さんは把握してなかったです、か」
「ああ、あそこは別枠だから柚原先生に任せてたな。警護課の多くは寮生だぞ」
「え、そうなんです!?」
「、、、だろうな。寮に戻ったら引きこもってるらしいな」
僕は乾いた笑いしか出なかった。
夕飯は御子柴さんと一緒に取ることになった。柚原先生に連絡をしてから学園を出た。
御子柴さんが運転する車を走らせること二十分。僕らは駅の近くのレストラン『quarter』に入った。
『quarter』はグルメ雑誌に頻繁に出ているイタリアンレストランだ。
ちょっと高めの値段だが、その分美味しい。
初め入ることを拒んだが、お祝いと言われたのでそれに甘えることにした。
料理はピッツアの他にパスタや前菜などが出た。
僕はチーズが好きだからピッツアにチーズだけのを見つけたときはとても嬉しかった。パスタは店自慢のミートソースを頼んだ。肉がごろごろしていて美味しかった。
御子柴さんは前菜でマリネや野菜を食べていた。
「本当は酒と一緒だとより美味しいんだけどね」と苦笑いしていた。
『quarter』からの帰りの車内で僕は御子柴さんからある提案を受けた。
国際論文で発表したあの内容そのものを僕名義でゲーム化することだ。
僕は将来憧れのあの人が仕事としていたゲームプロデューサーに近い仕事をしたいと思っていたけどそれがこんなに早く叶うとは思ってもいなかった。
御子柴さんは僕が論文を発表する以前からクリエイターになりたい僕の夢を応援してくれていた。
「本当は高等部に上がってからと考えていた」と言われたが最年少でゲームを作るのをやってみたくて僕はOKをだした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
御子柴さんと別れて寮の部屋に戻ったのが21時30分。戻った時に柚原先生が居なかったから携帯に「ただいま戻りました」と連絡を入れた。
PCを起動させるとAIのツバキが目覚める。
『お帰りなさい、マスター』
「ただいま。ツバキ」
着替えを済ませ、PC前の椅子に座る。
『何か嬉しそうですね、マスター』
「分かる?あの論文をゲーム化しないか?って御子柴さんが言ったんだ」
『あの論文というと国際論文のやつですね。おめでとうございます、マスター』
ツバキは自分の事のように喜んでくれた。
ツバキは友人が作ってくれたAIに僕が新たな情報を加えた。モデルは僕の妹だ。僕の家族はもう居ないけどツバキや御子柴さんをはじめとする皆が居てくれたから悲しみに浸ることは少なかった。
「それでツバキ、君にも手伝ってほしいんだ」
ツバキは断らないけど、悩む素振りを見せた。
『良いですよ、マスター!素敵なゲームにしましょう!』




