閑話休題
泉岳寺はただ唖然としていた。
目の前に突如として現れた人物に。その人物はにやりと笑っているようなマスクをして棒付きキャンディーを舐めていた。少し前に道行く人々が悲鳴を上げていたので近くのビルから落ちてきたのだと理解した。が、落ちてきた割には平然と立っているこの人物は少しずつ泉岳寺から離れていくが手をひらひらさせる。それらの行為から泉岳寺はその人物が『奪う者』だとさせた。
「っ、待てっ!」
少し反応が遅れたが泉岳寺は奪う者を走って追いかけた。
----まだまだ行けるんだぜ。
「おじさんをなめるなよ、小僧」
奪う者は路地を右へ左へと曲がる。泉岳寺もそいつを追って右へ左へと曲がった。
だがしかし、奪う者がビルの壁面を何も使わずに上がっていくのだけは追えない。ビル内のエレベーターや階段を使えばいいのだが……。
「早すぎるだろ……」
それらを待っている間に居なくなる可能性が高いことや上がったとしてビルの屋上から落ちて死なれても困る。
----深追いは危険なんだぜ。
今日も仕方なく泉岳寺は奪う者を追うのを止めた。
「また遊ぼうね、刑事さん」
◆◇◆
「また遊ぼうか、刑事さん」
少し不満気な顔をして言った奪う者はポケットにしまった携帯を取り出し壊す者からのメールを読んだ。
----流石、壊す者。
----後はこれを全プレイヤーのPCに送りつけるだけ。そうしたらきっと……。
これから起こるであろう出来事を予想してにやにやがとまらない奪う者は周囲の人間から冷ややかな目で見られながら帰路についた。
今回はリアルに戻ってみました。
お気に入りの刑事----泉岳寺の前に姿を表して追いかけっこを始める奪う者、捕まえなくてはいけないが心のどこかで追いかけっこを楽しんでいる泉岳寺を書けたのではないかと思います。




