死について
ツバサは妖精族の村で前回ログアウトしたため今回のスタート地点が妖精族の村だ。
「ここから古の島まで1600km、一回につき羽根を使い移動出来るのが5kmまでだから……」
ツバサはシグマに連絡を取り相手の現在地を知ることにした。
「もしもし、シグマ。今どこにいる、です? ……そこだったら……いや、こっちの話。……移動しないで待っててもらえるです、か?……うん、ありがとう、です」
シグマの現在地が南に6km行った所の山岳地帯にいるらしい。ツバサは2km歩いてから飛ぶことにした。
(ここ、こんなだったっけ?)
村からシグマのいる山岳地帯まで地面が盛り上がり山岳地帯から崩れ落ちたと思われる岩石があちらこちらに転がっている。
「シグマ!」
山岳地帯に着くとすぐにシグマを見つけた。
「ツバサ……」
「どうした、です。怪我だらけじゃないですか」
シグマ……『Indra』のメンバー全員身体中に大小の怪我が存在している。中には足を引きずっていたり背負われていたりしている者もいる。
「ナショナルハウンドと仲間のハウンド達が大暴れしてるんだ。いつもは静かに眠っているはずなんだけど」
「……くる……しんで……いた。……ハウンドたちは……」
そう言うと絶命した一番の重症患者はハウンド達と心を通わせることができた
カンジは『Indra』の古株でシグマの祖父であった。
「…………」
「爺ちゃん…………」
シグマ達『Indra』のメンバーはカンジを囲い嘆き悲しんでいる。ツバサはその様子を見て心が痛んだが涙は出なかった。
「……行ってくる」
小さな声でそう言うとツバサは『Indra』が入った洞窟に入って行った。
「ツバサ……?」
◆◇◆
洞窟は人ひとり入れるだけのスペースしかなかった。しかしそこまで暗くなくライトを必要としていない。
進んでいく中でHPがなくなると死亡するNPCとHPがなくなっても第一セカイで蘇生するプレイヤーとの差はリアルにおける『死に対する恐怖』に繋がっていく。ツバサはそれをいつの間にか考え始めていた。
100mも進むと暗くなっていき周りを照らす魔法を使い明るくする。明かりは調節することができるので足元が見えるくらいの明るさにして先に進む。
疲れが現れる頃にモンスターの悲鳴のような叫び声が聞こえた。この洞窟にはハウンドしかいないのでバウンティハウンドかバウンティングハウンドだろう。バウンティはバウンティングの子どもだから声が高い。
「もう少しです、か」
ツバサは今すぐにでも駆け出したいのを抑えて休憩した。この休憩には頭を冷やすことも含まれる。
「急がなければ」




