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オンライン2.5  作者: 玄浪
グランデオンライン2.5
20/26

不穏な空気

それからは何事もなかったように平穏に時が過ごされた。このゲームもベータ版を終了し、多くのゲーマーが買っていった。

ツバサはベータ版時に起こった不思議な出来事が気になっていたが、担当者の時任やその上からの命令もあり正式に売り出された。

翼が気になった出来事は全て「気のせい。 気にしすぎ」で片付けられた。


「…………まだ、気になるのか?」


「当たり前、です。僕と酷似してる奴がいるなんていくらキャラが作れるからといってもこんなに似てるなんて有り得るはずがない、です」


「まあな、翼が言ってることも分からなくもないがな……。 気にしすぎだと思うぞ、俺はな」


直保はソファに座り直した。 直保の目の前にいる翼は俯いて表情が暗く見える。


「ともかくだ。用心するに越したことはないな。翼は戻っていいぞ。その似てるやつに会ったという伊藤を呼んでくれ」


「分かった、です」


翼は学園長室を出た。

直保はその後ろ姿を見てため息を付いた。

(気にするたちだからな、あいつは。どうしたもんか)


千春が来るまでの間、学園を預かるものとしての仕事を片付け始めた。



千春は警護課にいた。柚木先生と今後について話している。


「まさかあの日一緒にお茶した相手が翼くんじゃなかったなんて……」


「深山くん本人から聞いてはいたけどね、そこまで似ているの?」


机に伏せり答える。


「はい……。 言われなきゃ別人だと気付かないくらい似ていて……よく聞くと一人称だとかが違ったなっていうくらいで……」


「一人称は俺とか?」


「そうです。 ……翼くんはコーヒーをブラックで飲みますか?」


「分からないわ。 ただ、あまり好んで飲んでいたという感じではないはずよ」


千春はあの時会った翼が別人だと信じられなかった。でも、本人があの日は結局行けなかったと言ったし、こうして本人と違うことをやったのだから別人なのだと理解する。



「伊藤、いますか?」


警護課の扉が開くと同時に翼は中にいる柚原に聞く。


「……どうしたの」


千春が答えた。翼に申し訳ないという気持ちから俯いてしまう。


「御子柴さんが呼んでる」


翼はそんな気持ちを察したのか千春に質問はしなかった。


千春は学園長室、翼は警護課に留まりお互いに話を始めた。



直保は入ってきた千春を見て最初の一言は、翼の警護を代わってもらうか? だった。


千春はハッとなったが苦虫をかみつぶしたような顔をしながら「そうですね」と言った。


「俺としては引き続きやってもらいたい。 だが俺は伊藤さんの気持ちを尊重したい」


「……私の気持ち……」


直保はやはり椅子に座り直して少しくだけた言い方をした。


「それはそうと、呼んだのは別件だ。 別件とは言い難いが……」


ウ〜ンと唸った直保を見て千春は似ている奴のことだと察したがあえて問いてみた。


「ベータ時のあれですか?」


「そうだ。 翼のそっくりさんの話だ。 何度も悪いがはじめから聞かせてくれ」


「分かりました。 では…………」


千春ははじめから(どこがはじめなのか分からないが)話して聞かせた。直保は時折質問を入れて聞いた。



「…………ふむ。 だいたい分かった」


千春はうまく説明できた気がしなかったが直保の理解度が高いために分かってもらえたことでひと安心した。


直保は少し考える素振りを見せPCを起動させた。


しばらくすると直保が「こいつか……」と呟いた。 首をかしげる素振りを見せた千春に気付いたのか直保はPCを方向転換させ千春に見せた。


「破壊屋MIX?」


「そうだ。 破壊屋と言ってはいるが殺し屋だ。 いや、こう言った方がいいな。 奪う者」


「破壊屋で殺し屋で奪う者??」


直保はPCの一部分、MIXの手口の部分。


『MIXはターゲットの周囲の人間を自分のものとする』


「どういう意味ですか?」


「ターゲットの偽者が現れる。 それがMIXだ。 それから偽者が本物となんら遜色なくなるまで精巧につくり上げ殺す」


学園長室のドアがノックされる。 直保はドアの向こうにいる人物を入れると千春に紹介した。


「泉岳寺 佳人さんだ。 MIXを長年追っている」


おじさんよりオジサマといったほうがしっくりくるような雰囲気の人だ。ワックスで固めた髪。外国人みたいに彫りの深い顔で威圧感が多少あるがそれを安心感に変えるような微笑みを絶やすことがない。それが逆に恐怖を与える。


「国際警察日本支部の泉岳寺です。 MIXの手口とそっくりなことが起こったというのできました。 伊藤さん、話聞かせてください」


千春は直保に話したことと同じことをもう一度話した。 そして泉岳寺もまた直保と同じように時折質問を入れた。


「--------MIXに間違いないようです」


泉岳寺は深くうなってからそう告げた。直保はやはりな、と言ったような表情で泉岳寺を見て千春は先ほど知ったMIXの手口を想像してしまいショックを受ける。


「っ…………」


泉岳寺がそれを見てなにか安心させるような言葉を掛けようとするが声は出なかった。 何も言えないのだ。 何も。 今まで世界をまたにかけて追ってきたのにも関わらず捕まえることすらままならなず、そのせいで何人も亡くなった。


「心配なら一緒にいろ」

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