思いと誓い
「翼くんに助けてもらったから、今度は私が助けるの」
先生方が言ってることは分かるけど、それで翼くんを助けないっていうのは間違ってる。
「伊藤さん、深山くんを助けたとしても私たちが生き残ってるかどうか分からないのよ」
「それで助けなかったらきっと後悔します。私、それは絶対嫌です」
「それに、私は無事に出れました。きっと翼くんも」
「そうね」
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「夏希が何を思ってるのか分からないけどこのやり方は間違ってる!」
「五月蝿い!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ」
「耳ふさいで何も見ないふりして、逃げてるのは夏希のほうです、よ」
「黙れェェェぇぇえ!」
夏希は突進して僕を押し倒し首を絞める。僕はそれでも真っ直ぐ夏希を見て言う。
「目を覚ませ。です、よ」
その時だった。パリンっと鏡が割れるような大きな音がした。
「翼くん!」
遠くからチハの声がする。
「チハ、、、?」
全く、逃げてって言ったのに、、、
「まったく、、、」
息が苦しくなる。しかし突然、首を絞めるその力が緩まった。夏希を見るとその身体が消えていっている。
「なんで、消え、、、」
「結界が解けたから」
「ケホッ、御子柴さん」
御子柴さんは僕を優しくだき寄せ、心配させんなと言った。
「、、、皆見てる、です」
「なんだ、恥ずかしいのか?」
「そういうわけじゃないです、けど」
「、、、そうだな。伊藤さんのところに行ってやれ」
そう言われてチハを見ると少し離れた場所でうずくまっている。
「チハ」
「、、、翼くん」
「怖い思いさせてごめん」
チハは首を横に振る。
「私、警護課所属してるのに翼くんに守ってもらって、、、」
悔しい。と微かに聞こえた。
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結界を壊したのは伊藤さんだ。彼女が提案をして、俺ら教師が実行した。
空気が破裂しても大丈夫なように結界の上に大きな結界を創った。
結界のスペシャリストである烏森先生がいたので俺らはサポートにまわった。
「伊藤さんのおかげで深山は死なずにすんだんだ。自信を持ちなさい」
「でも、御子柴さん。、、、護れなかった」
伊藤さんは警護課に所属する者としての誇りを守れなかった。彼女にとっての警護対象に逆に守られたことが悔しいのだろう。
「今度はちゃんと護ればいい。まだ君らは学生だ。警護対象を完璧に護れなくても死にやしない。それがプロとの違いだ」
「、、、プロとの違い」
「そう。例えば、賢木はプロになろうとしている。でも今はまだ未熟なのを本人も分かっているから春木との連携でそれを補って次に繋げようとしている。それが出来ないようならプロにもなれない」
「次に繋げようと努力するか、それが枷になって動けなくなるか、どっちかだ」
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私は御子柴さんの言葉に目が覚めた。
私は今回のことを次に繋げようとしていなかった。翼くんを護れなくて悔しくてそれがプロの現場だと死に直結すると本能が叫んだ。私はそれまでどうしようもなく彼が好きなのだと同時に感じた。ほかの何を差し置いても彼と一緒にいたいと思えるほどに好きなのだ。だから護れなかった時、彼が死ぬと思ったのだ。
私は自分にまだ大丈夫と言い聞かせる。




