★玲のレッスンその二
放課後になるまで、玲は私の事なんて、
見向きもしなかった。
・・・やっぱり、ただの気まぐれ。
地味な私で、ちょっと遊んでみただけなんだ。
そう思う事にした。
「今日は、部活ミーティングだけだから、
ちょっとだけ、待っててね?今日こそ、パフェ
食べに行こう!それでもって、今書いてる小説の事
また聞かせてね?詩織の話し、私大好き」
そう言って満面の笑みを見せたあかりは、
部室の方に向かっていった。
今日こそは、誰にも邪魔されずに、
小説書こう。
そう思った時だった。
「詩織~!」
情けなくも、大きなあかりの声。
私は驚いて、振り返った。
「ミーティング行ったんじゃなかったの?」
「それどころじゃない!」
「・・・??」
あかりの後ろには、
…玲の姿があった。
…一体何ごと?
「許可は取ったからな?」
「・・・なんの?」
玲の言葉に首を傾げる。
「あかりの許可をもらったから、
お前を連れて行く」
「あ?エ?…ワッ!」
意味不明な私の手を、玲が引っ張った。
「私はこれっぽっちも認めてな~い!
許可なんかやった覚えはなーい!」
そう言ったあかりが、もう片方の手を握りしめ、引っ張った。
「痛い!離して、2人とも」
半泣きの私は懇願する。
いや、マジで、痛いって!
…それを聞いて離してくれたのは、
…あかりだった。
「ゴメン、詩織」
「オレの勝ち」
「「!!」」
あかりが離したことを良い事に、
玲は私を引っ張り、ダッシュした。
マジで、ありえない!
…あかりが見えなくなったところで、
玲は足を止めた。
運動不足の私は、ゼーゼーと肩で息をする。
「何なのよ、一体?!」
声にならない声を発する。
「何って、デートに決まってんだろ?
リアルなデート、夢物語なんかじゃなくて」
そう言ってニコッと笑った玲。
…ドキッ。
その笑顔に、まんまとやられてしまった私は、
顔がポッと赤くなるのが分かった。
「…可愛い、その顔」
「///!!」
さらに赤くなった私の顔を、
満足そうな顔で見た玲は、また歩き出した。
今度はゆっくりと、
私の歩調に合わせて。
・・・これからどんなデートが、
私を待ち受けているのでしょうか?