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★夢物語とリアルの違い
家まで送ってくれた玲は、私に驚く一言を言い放つ。
「夢物語と同じ経験をして、どう思った?」
・・・。夢物語と同じ?
・・・・あ。
私は気づいてしまった。
自分が書いた小説と同じことを、
玲はやったってことを・・・
驚きっぱなしで、あまりドキドキしてない自分。
小説の主人公はその男の子にドキドキして、
魅かれてしまうんだけど・・・
私はちっともそうは感じなかった。
感じたのは、驚きと、嫌だと言う気持ち。
話したこともない玲に、こんな事をされても、
ちっとも嬉しくなかった。
「全然ドキドキもしないし、
嬉しくもなかった」
「・・・だろ?
夢物語も悪くないけど、
やっぱりリアルな恋愛が一番面白いんだよ」
「…恋愛経験なんてないし」
ポロリと、本音を言ってしまった。
「やっぱり、経験ゼロなんだ」
そう言ってニコッと笑った玲。
「・・・」
何も言えない私は黙りこむ。
「明日から、色々教えてやるから、
覚悟しとけよ~」
「・・え、ちょっと?!」
私に背中を向けたまま歩き出した玲は、
手を振りながら去っていく。
・・・何でこんな事になったのか、
訳が分からなくて、
その場から、しばらく動けなかった。