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★放課後の珍客

今日も一日、無事に終わった。


でも、私の一日はまだ終わっていない。


「詩織、部活が終わったら、パフェ食べに行こうね?」

満面の笑みで言われ、私は頷く。


部活が終わったら、パフェを食べに行ったり、

買い物に行ったりするのが、私たちの放課後の決まりになっていた。


帰宅部の私は、あかりの部活が終わるまで、

相変わらずの執筆に励む。

家で書くより、学校で書く方が、

色んな妄想が出来て執筆も進む。


…でも、昨晩、夜更かししたせいか、

私はいつの間にか夢の中にいた。


どれくらい時間が経ったんだろう。

外は薄暗くなってきていた。


時計に目をやると、もうすぐ6時になろうとしていた。

・・・ん?!


私の反対側の席に人気を感じ、私は恐る恐る

そちらに目を向けた。


「・・・何やってんのよ?!」

思わず私は叫んでいた。


だ、だって、私が執筆中のノートを、

勝手に、私の許可なく読んでいたから。


・・・しかも、その相手がまた、

とんでもない相手で、私は逃げ出したい心境だった。


「…夢物語、だな」

そう言ってノートを閉じたのは、

私と同じクラスのイケメン男、その名はれい


私とは住む世界の違う男子。

女子から黄色い声援を浴び、

男子からは一目置かれる存在。


学校に通い始め、今の今まで、

一言も喋ったことのなかった玲が、

私に話しかけている。


いや、これはきっと夢だ。

私はもう一度うつ伏せになって、

寝ようと試みた。


「お前は、バカか?」


「なっ?!」


「お前にしゃべり掛けたのは夢なんかじゃねえぞ?

現実だ、現実!」


この男は、私が考えてる事がわかるらしい。

もしかしてエスパーか?


私は眉間にしわを寄せ、

玲を睨み見た。


「お前が今まで書いてきた小説、


全部読んだ」



私はその言葉に耳を疑った。


「・・・どうやって?」


「お前ネットで小説書いてんだろ?

それを全部読んだんだよ」


「・・・うそ」


「ダチが教えてくれて読んだんだ。

お前ってさ、恋愛経験ないだろ?」


…痛い指摘。


「あ、あるに決まってるじゃない。

なかったらこんな事、書けるわけがない」

どうにか言葉を紡ぎだす。



「ウソつけ」

・・・が、この男には、

こんな子供だましが通用するはずもなく。


「あ、アンタにとやかく言われる筋合いはないわ。

私は趣味で書いてるだけなんだから・・

金輪際、私の小説は読まないで」


そう言い捨てて、私はその場から逃げようとした。


・・・でも、玲は私の腕を掴んだ。


「お前に本当の恋愛ってやつを教えてやる」


「・・・あんた、バカなんじゃない?」

私は驚きのあまり、そんな事を口にした。



「バカはお前だ」


「・・・」


「恋愛したことがない奴が、

こんな物書いてんじゃねえよ」



「・・・」


「恋愛を経験してから書きやがれ」


そう言った玲は、私の腕を掴んだまま、

教室を出た。


もちろん私たちを、好奇の眼差しが見つめていた。


「ちょっと、詩織?!」

部活を終えたあかりが、私を呼んだのに、

そんな事を無視して、玲は学校を出てしまった。


…助けて、あかり!!!


心の中で叫んでも、

あかりに聞こえるはずもなかった。


私はコイツに、何をされるんだろうか?


不安と恐怖が私の心を覆っていた。

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