1、恋を知らない恋愛小説家
2人は見つめ合い、確かめ合うようにキスを交わした。
…終わった。
私は高校生の現役恋愛小説家。
名前は、siori。これは、ペンネーム。
本名は、片瀬詩織。
最近ネットで人気が出て、出版が決まって以来、
その人気もうなぎ上り。
そんな私の書く恋愛小説は、すべて妄想。
そうなのです。
私にはただの一度も、恋愛経験がない。
片思い位ならあるが、それからの発展はおろか、
告白すらしたこともないし、されるなんて事、
天と地がひっくり返ってもない。
私は俗に言う、地味子だから。
メガネをかけ、なぜかおさげ髪。
ひざ丈のスカートに、指定のカバン。
うちの高校は、カバンは自由だし、
スカート丈だって、特に指定はない。
でも私は今風が似合わないと自分で思っているから、
あえてそれに挑戦するほど、チャレンジャーではない。
「詩織、また小説書いてたの?」
私のケータイを覗き込みながらそう言ったのは、
唯一の親友。前田あかり。
あかりは可愛くて、男子からも人気のある、
私とは真逆なモテ女子。
髪も茶髪、短いスカート、可愛いチェックのリュック。
そんなあかりがなぜ、私の親友になったか?
それは私にも謎なんです・・・
でも、高校に入ってすぐのころから、
あかりとだけは仲良くなれた。
私の容姿を笑うでもなく、小説を書いてる事も、
気味悪がらないし・・・
むしろ、面白いと、言ってくれてるし。
そんなあかりが私は大好きで。