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愛していると言わない  作者: あしなが犬
第一部 現在と過去
66/113

登場人物・用語(第一部時点)

第一部のネタバレを多大に含みますので、第一部読後に読まれることをお薦めします。最後に第二部の予告があります。

<あらすじ>


 世界の大半を【不入はいらずの荒れ地】と呼ばれる不毛の大地に覆われおり、人が住めるのは【永久とこしえの揺り籠】と【緑土(りょくど】と呼ばれる場所に限られ、それぞれ前述に【神を信仰する陣営レディール・ファシズ】と後述に【神を信仰しない陣営オルロック・ファシズ】という相対する陣営の人々が暮らしていた。

 両陣営は昔は一つの大きな民族として神の御許【永久の揺り籠】で暮らしていたが、神に反旗を翻した人間たちがその場所を追われ、袂を分かつこととなって以来交わることがなく、戦争にこそ至っていないが互いに牽制しあいつつも、互いの領地が【不入の荒れ地】を挟んで離れていたこともあり、長きに渡り交流もなく時間が流れていた。


 物語の始まりはレディール・ファシズの君主・世界王フィリーと、オルロック・ファシズの女性アイルフィーダの様々な思惑を抱えた政略結婚。

 しかし、実の所は二人は数年前よりの友人でありアイルフィーダは、フィリーに恋心を寄せていた。事情があり離れ離れになった二人は政略結婚という形で再会を果たしたが、様々な理由から互いに感情がすれ違う。


 そんな中、世界王の誕生祭が盛大に執り行われ、そのフィナーレとして舞踏会が開かれるが、<神を天に戴く者>と名乗る集団が突如として襲撃、フィリーが攫われてしまう。

 フィリーを助るために立ち上がったアイルフィーダは、神域と呼ばれる不思議な場所でカルラと呼ばれる不気味な男と対峙。結果としてはカルラを退け、フィリーを助ける事ができたのだが、アイルフィーダの胸中には様々な疑惑が残った。



【登場人物】


<アイルフィーダ・ヴァトル>

 世界王に嫁いだオルロック・ファシズの女性。立場としてはオルロック・ファシズ自治議長の娘とされているが、それは嫁ぐために養女になったにすぎず、その生い立ちなどには謎な部分が残る。オルロック・ファシズでは軍情報部に所属しており、戦闘能力は高い。魔導力を吸収するという特殊体質の持ち主でもある。

 一見すると外見的にも内面的にも地味で目立たないが、基本的にどちらかというと何事もはっきりさせないと気が済まない性格で、そのためには強引な手段や強気な態度を見せる事もしばしば。王妃となってそういった面はなりを潜めていたが、色々とバレたので開き直って素を見せ始めている。


<フィリー・ヴァトル>

 現世界王。オルロック・ファシズで生まれ育ったが、ある目的のためにレディール・ファシズで世界王になった。現在は民を虐げている教会と対立しつつも、その強大な権力の前に明確な反対はできておらず、傀儡の王を装っている。

 容姿や物腰など表向きは男にするのももったいないほど美しく優しげな印象を与えるが、その実は冷酷で非情な部分も強く、目的のためには手段を選ばない性質を持つ。しかし、アイルフィーダに対しては不思議とそういった面を出す事ができず、彼女に振り回されることが多い。


<レグナ・オレ>

 レディール・ファシズ近衛騎士団団長。フィリーに忠誠を誓っているが、彼に対する態度はあまりに馴れ馴れしく、堅苦しい事は大の苦手。

 中年と言っても差し支えない年齢で、中身も外見もオッサン。奥さんと二人の息子がいる。


<オーギュスト・ロダン>

 世界王の筆頭秘書官。フィリーを文官的な立場でサポートする。フィリーがオルロック・ファシズにいた頃からの主従関係。

 世間的には優秀な秘書官を演じているが、親しい人の前では何故だか非常に高いテンションでお姉言葉を捲し立てる変な人。(男性が好きなわけではないらしいが)


<リリナカナイ・デュヒエ>

 現巫女。フィリーと一緒にオルロック・ファシズからレディール・ファシズに亡命し巫女となった。巫女の象徴である銀髪と赤い瞳が印象的な美少女。

 明るく正義感が強い素直な性格。フィリーに好意を寄せている。


<ヤウ・ロスティーナ>

 レディール・ファシズ筆頭魔導師。強大な魔導力を有する。7年前、単身フィリーをレディール・ファシズに誘うためにオルロック・ファシズに現れたり、かと思えば現オルロック・ファシズ議長であるケルヴィンと繋がっていたりと妖しい行動をとる。

 痩身で不健康すぎる姿をしているが、似合わない派手な服装を好む。


<ルッティ・エブリエ>

 アイルフィーダ付きの侍女。商家の娘だがとある目的(詳しくは番外編『王妃付き侍女ルッティの秘密の小部屋』参照)のために城仕えを始めた。

 仕事はできるらしいが基本的にミーハー…というか、ともかく、色々な意味でアイルフィーダに一生懸命仕えている。


<ファイリーン>

 レディール・ファシズの貴族令嬢。アイルフィーダの教育係。

 肉感的な美少女で高飛車だが、ふとした瞬間にデレる。


<ランスロット>

 巫女付きの騎士。役者ばりの美青年。巫女付きという事でアイルフィーダに嫌味を連ねたことろ返り討ちにあい、醜態を晒した。


<ケルヴィン・ヘインズ>

 現オルロック・ファシズ自治議長にして、前世界王。フィリーの実父。

 アイルフィーダを世界王妃にするために養女としたが、その思惑は誰にも分からない。


<カルラ>

 世界王誕生祭の際にフィリーを攫った<神を天に戴く者>の刺客。アイルフィーダに何らかの興味を抱いている。



【用語】


神を信仰する陣営レディール・ファシズ

 【永久の揺り籠】と呼ばれる豊かな大地に存在する国家。魔導力により文明が発展しており、様々なものが魔導力により働いている。中世ヨーロッパ風の建物や服装が一般的。

 神を崇め、その子孫である世界王が代々治めてきたが、世界王自体に権力はなく、そのほとんどは信仰を束ねる教会に委ねられている。その長きにわたる圧政に苦しんだ人々が現在反旗を翻し、反教会勢力の台頭も著しい。数十年前よりそれまでなかった自然災害が立て続けに起こり苦しまされていたが、ここ数年はそれも収まった。


<神>

 教会が進行する唯一神。だが、その実は現在では忘れ去られてしまった文明が造った魔導力の塊。

 世界中に溢れる全ての魔導力という魔導力を集約し、集まった膨大な魔導力を限られた人間と、それが住む場所だけに使った結果、魔導力を吸収されるだけで与えられない大地の多くが荒れ果て、<不入の大地>となり、人間が住まう場所だけが<神の揺り籠>という名の楽園となった。

 その魔導力の大きさは凄まじく異空間に封印され、神域と呼ばれる特殊で限られた者しか入る事ができない場所からしか接触することはできない。


<世界王>

 レディール・ファシズ君主。世襲制で必ず世界王と巫女の間に生まれた第一子でなければならず、その姿は例外なく金髪碧眼の男子。また、左胸には太陽の紋章が刻まれている。初代世界王レインバック・ヴァトルは神と初代巫女との間に生まれた子供とされ、その血筋は神の血筋と同義。

 しかし、実際は<神>という安定しない魔導力を制御するために、当時の文明の粋を集めて造られた人造人間で、唯一<神>を制御する力を持ち、その力を自分の意志で行使しえる存在。


闇の階レデイル・ファウスト

 世界王が神の魔導力を暴走させた結果起こる禍。その真意は隠されているが、今まで2回起こされた禍によりレディール・ファシズは壊滅的な被害を被っている。


<巫女>

 世界王の対を成す存在。こちらは世襲ではなく銀髪で赤い瞳を持つ女子ならば、誰でも巫女になる可能性を有し、世界王が立つたびに、教会によって選定される。

 世界王の妃ではないが、巫女が産む子供が次代の世界王であることは決まっており、代々その存在は世界王の伴侶としての役割を多く果たしてきた。また、<闇の階>を止める力もあると言われている。


<教会>

 神を信仰するレディール・ファシズの中心的存在。宗教団体というよりは国家の中枢を担う存在で、世界王や貴族たちよりその権力は強い。

 教皇を頂点としてその下に数十人の枢機卿を有する。教皇はその任期10年が限度とされ、任期が終わるたびに選挙によって次の教皇を選ぶ。また、権力の入れ替わりが激しい教会内において、教皇は任期途中で変わることも少なくないが、現教皇であるヘリオポリスはその例外的に20年近く教皇であり続けている。


<世界塔>

 王城の中心に聳え立つ高い塔。人知の及ばない魔導により造られた建造物で、誰もその全貌を知らない。何も知らずに歩いていると永遠に塔から出られない迷宮。


<神を天に戴く者>

 反教会派と目されるテロ組織。教会と世界王を敵とし、神を開放し真の自由を手に入れるというのが目的らしいが、その真意は謎。単独でアイルフィーダを襲ったり、舞踏会場を襲撃しフィリーを攫ったり、暴力的な行動が続く。


<名もなき十字軍>

 反教会派のレジスタンス。数年前までは武力による内乱を起こしていたが、ここ数年は過激な動きを見せていない。代わりに私的な軍事組織としての意味合いを強め、教会がしない一般人たちの依頼を有償で請け負っている。教会は目障りなその存在を目の敵にしているが、あまりに巨大になった存在に無視することもできずにいる。


神を信仰しない陣営オルロック・ファシズ

 【緑土】と呼ばれる豊かな大地の上に築き上げられた近代国家。その始まりはレディール・ファシズだが神から離れ、元々は不毛の大地を科学と機械の力で【緑土】へと変えた。

 自治都市と呼ばれるそれぞれ独自の個性を持った都市が集合することにより国となし、その数は現在33にのぼる。それら自治都市をまとめ上げるのが自治議会で、5年に一度の選挙によって選ばれた議員によって構成されている。


<ファミリア・ローズ>

 神から離反した人々を導き、オルロック・ファシズの礎を築いたとされる女性。人知を超えた能力を有したという記録はないが、その素晴らしい人徳と人々に対する献身的な愛情は、彼女が亡くなって数百年という時を経ても未だに伝説として語り継がれている。


<薔薇の会>

 ファミリア・ローズの教えを後世に伝えるための団体。

 どこの町にも必ずと言っていいほど、その集会場などがあり彼らはファミリア・ローズ様の教えを広めるだけでなく、それを実践すべく無償奉仕を行い、恵まれない人のために生活する場所を提供した。宗教団体というよりは道徳的な意味合いを強く持っている。

 しかし、近年その姿は変貌し<聖なる薔薇修道会>と名をかえ、ファミリア・ローズを女神と崇めるオカルト色の強い団体となった。








【第二部 予告】(予定は未定なので内容は変わる可能性もあります)



 <神を天に戴く者>の襲撃以降、表面上は平穏な日々が城の中に戻り、アイルフィーダは色々な意味で本性を表に出すようになり、フィリーだけでなく周囲の人々とも次第に良好な関係を築き、王妃としての仕事もこなすようになっていた。しかし―――


「アイン枢機卿の公開裁判が行われるらしいけど、私も傍聴できるのかしら?」


 <神を天に戴く者>と結託したとして裁かれることになる枢機卿。それに対して何の罪にも問われない、もう一人の首謀者と思しき人物。


「アルスデン伯爵夫人がアイルフィーダ様に面会を求めています」


 次第にきな臭くなっていくアイルフィーダの周辺。

 それと同時に近く行われる次期教皇選挙のために慌ただしくなる教会内の権力闘争。


「やはり、オルロック・ファシズからの援助を取り付けるか」

「陛下はもはや用済みでしょう」

「憎々しい反教会派め!私が教皇になった暁には、全て殲滅してくれるわ」

「愚民相手に笑顔でいるのは疲れるものだ」

「巫女様には早々に次代の世界王を生んでいただかなくては」

「我らが乙女の目覚めが近いようですよ」


 複雑に絡み合う思惑と陰謀。そんな中、城内でおこる幽霊騒動。


「超美人らしいっすよ。その幽霊!!」


 目撃者多数の『超美人らしい』幽霊に興味を持つ、アイルフィーダ…の周辺の人々。


「超美人!!男性でしょうか?女性でしょうか?」

「美人なんだから、女性に決まっているじゃないこと?」

「いえいえ!美しすぎる男性は『美人』と表現されてしかるべきです!私も見たいです!」

「性別はどちらでも構いませんが、幽霊という存在自体に興味はありますわね」

「……二人とも論点ずれてるわよ?」


 そして、この人も幽霊騒動に便乗して


「幽霊が怖かったら、一晩中抱きしめて眠るよ?」

「フィリー、私…」

なんて急接近があるのかないのかはさておき、そんなこんなで色々な事件やら陰謀やらが渦巻く(そんな大したものではありませんが)第二部。近日更新開します。


H24.9.20 訂正しました

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