↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白咲の贖罪譚  作者: Rab
PR
1/1

願いの先へ


月が主役を気取る

華麗なる月夜


ごくごくありふれた日常の中で人々がココロ奪われるそんな一場面


私は一つ罪を犯す


お月やお月、私を育ててくれたこの街を、この楽しくも残酷なこの世界を!滅ぼしてくれー!


私はそんなくだらない願いを声高らかに月に向かって叫ぶ


「はは、なーんて冗談だけどね。」


そう冗談めかして言う私。


これはストレス発散になるな、またやろうかな


なんて私はのんきのことを考えていた。


優しげな月光が私の横顔を淡く照らす。


その光が突然遮られ、私のいる町全体が闇に呑まれた。


何かと思い、私は空の全体ではなく、空の一点を凝視する。


「ん、なんか空が陰って...」


そこに見えるは巨大な岩石が一つ。


「え、ちょっ、これって」


そう私が言葉を発する間などなく

其の岩石は私の街を打ち砕いた。





今日も私は目が覚めた


目が覚めたと同時、先の光景が脳裏にくっきりと鮮明に浮かび上がる


だけれど私はここにいる。


だけれど私は生きている。


だから私はわかる。


あれは夢だ


あれは夢だったのだ!!




「なーんだ!夢だったのかー!」


そう思いベッドから勢いよく起き上がった


「うん、うん、うん!! 大丈夫だ!何も問題ない!」


「しっかり体は動く!体にを感じる、私の心臓の鼓動、私の体内を駆け巡るエネルギー!」


「今はそのすべてを鮮明に感じられる!!」


そうなら気分は一転!


よーかった!なんだ私の願いはお月さまには届かなかったようね。」


「まあおかげで助かったんだけど。」


「んーー あぁーー 」


私は勢いよく伸びをした


生の躍動を感じる、死を感じたからこそ感じるこの高揚感


どうやら外は、晴れ渡っているようだ





じゃあ落ち着いたし、いつも通り外のベンチで景色を餌にお茶でもすすりますかね


そう思い立った私は


下へ降り、キッチンに行き、お茶を片手に取った


その瞬間、身に知らぬ不快感が鼻をなでたように感じた



「?何かしら、今なにか...」


まあいいか、それよりお茶よ。


お茶を取った私はドアへ突っ走る。



外の小さな池にいる鯉たちに餌をあげないとなんて考えながら


私は勢いよく、ドアを開いた


いまだその不快感を抱えたまま...









その時眼に飛び込む光景は、私の体に流れるすべてをかき消すようだった。


私の思考、私の血流、私の呼吸、私の命の鼓動。


そのすべてがその光景と共に時を止めた。


「はぁっはぁっ!!」


「ごほっごほっ」


私は酸素を取り込むことすら疎かに、その光景に唖然としていた。


「はあはあ、あれは夢じゃ...ない?」


私が見たあの夢は。私が見たあの光景はすべて


「現実だったんだ。」


私は理解してしまった、あの日、あの時、私があんなことを願ったのがこんな結末を招いたんだと


だったらなら、今の私は幸福でなきゃおかしいのに、願いがかなったのだから喜んでいるはずなのに!!

私だけでも今喜びにまみれていないと...だめなのに...


だけどなぜだか今は


「気が重い」



私はただの少女だった


友も、師も、親も、何もかもなかったが


私は確かにそこにいた。


私は日色町出身の白咲


私はそう認識している


誰も私を見ていなかったとしても。


誰も私を知っていなくとも。


私は私だ


私は銀行口座にどこからともなく舞い降りるその金を頼りに生きていた。


毎月三十万円、きっちり入金される


私はその気味の悪いお金に生かしてもらっていた。


気味が悪いとはいいつつも


私はそのお金で学費を払い、そのお金で家賃を払い、そのお金で食事を済ました。


このお金を誰が送っているのか?何のために送っているのか?


皆目見当つかずだったが



街がこれではもはや、それも迷宮入りだ


親が送ってくれているのか?なんて疑ったこともあったが、それも今はどうでもいい


街は滅んだんだ、あの息苦しい社会は文字通り、消えてなくなったんだ




私は毎日何があろうと学校へ行った


学校がない日は図書館へ行った。


私は勉強に熱中した、なぜなら頼れるものがないからだ。


知識を蓄え、武器とした、自分を他の者から浸食されないように、蓄えに蓄えた。


知識を蓄えれば一人も怖くない、私はそう信じていた。



だけど私は一度、友を作ろうとした、頼れるものが欲しかったから


私は果敢に話しかけた、となりの子、近所の人、いろんな人に話しかけた


だけれどいつも返ってくるのはけんもほろろな白眼視と軽べつ混じりな言葉だけ。



それでも私は諦め悪く、考えをひねり出した結果。


教師なら私とうわべだけでも仲良くしてくれるんじゃないか?


なんてけなげな考えが湧き出てきた。


次の日すぐに私は担任に話しをした


それでもかえって来るのはのは背骨をエグリとるかのようなおぞましい言葉だけ。


だけれど、私は何を言われようとも学校に通った、私は学ばなければいけなかったから。



私は頼れるもの、私を癒してくれるもの、私に依存させてくれるものが欲しかった、なんでもよかった。


だから猫を飼うことにした。


だけれどペットショップを見てみても、なぜだか猫たちは私を汚らわしいものと言わんばかりに威嚇した


「あら、この猫ちゃんかわ」


「ニャ’’ーーー」


「な、なによ、ちょっとあなたのこと見てただけじゃない」



その日私はベッドの中で孤独にむせび泣いた


私はいつも寂しかったんだ


話す人も、寂しさを埋めるものも、何もない。


私は常に孤独であった


常に虚無感に苛まれていた


そのうち頭も鈍くなり、知識を入れど入れど抜け落ちていくようになってしまった


私はもはやどうでもよくなり始めた


だから歩いた、街の果てまで行きたかった。


この街から逃げたかった。


でもこの街から出ることは叶わない。


だから私は町の果て近く、街を一望できる展望台で一人、目をつぶっていた。


それが日課になりつつあったある日


私はふと空を見た、そこにはぽかりと浮かぶお月が一つ咲き誇っていた。


私を見守っていた。


私はそのお月を数時間眺めていた。


綺麗であった、美しかった。


私の寂しさを埋めてくれるようであった。


私は毎晩そこにあししげく通い月に話しかけた。


彼から帰ってくるのは静寂のみ。


だけれどいつもそこにいる


私は勉強のこと、毎日のこと、イヤなこと、うれしかったこと


なんでも赤裸々に話した。


雨だろうが冬だろうが私は通った


雲でお月が隠れた日でさえ、その雲の向こうのお月さまにはなしかけた


ある満月の夜、私は一つの残酷で屈託のない願いを唱えた。


次の日、街は死んだ。


綺麗な花も、大きな生物も、いつかは腐り果て、落花する


その道筋はなんであれ、いつかは散りゆくのだ。


私はそこまでの道のりを先取りする手助けをしてしまっただけ


そう考えれば少し気が楽なの、かな
















三年ほど前に書いた、ゆっくり実況のストーリにちょっとキャラを入れた感じのストーリ

昔の自分がよく出てて、結構好き。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。