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「役立たず鍛冶師と言われた俺、武器改良したら戦死率が激減した」 〜仲間を死なせない戦場工房〜  作者: 街角のコータロー


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第7話 王国軍来襲

城壁の上で、角笛が鳴り続けていた。


ブオォォォォ――。


低く重い音が、朝の空気を震わせる。


城の中庭では、兵士たちが慌ただしく動いていた。


鎧の擦れる音。


盾のぶつかる音。


馬のいななき。


緊張が空気を張り詰めさせている。


その中を、リアナ隊が歩いていた。


先頭はリアナ。


腰には一本の剣。


タクミが鍛えた剣だ。


その後ろに九人の兵士。


彼らも同じ剣を持っている。


残りの兵士たちは槍や、魔力鋳造の剣を持っていた。


一人が呟く。


「……来たな」


城壁の外。


平原の向こう。


土煙が上がっている。


王国軍だ。


数は多い。


ざっと見ても数百。


鎧の列。


槍の列。


整然と並ぶ軍勢。


青地に白い紋章の旗が揺れていた。


王国軍の旗だ。


リアナが口を開く。


「数は?」


兵士が目を細める。


「五百はいるッスね」


別の兵士が苦笑した。


「こっちは百ちょっとだぞ」


リアナは肩をすくめた。


「よくある話ッス」


小さな笑いが起きる。


緊張を紛らわせるための笑いだった。


古参兵が言う。


「隊長」


「なんだ」


「今日死ぬ確率、ちょっと高くないか」


リアナは平然と言った。


「高いッスね」


兵士たちが笑う。


若い兵士が剣を見る。


タクミの剣。


少し振る。


ヒュン。


「……でも」


彼は言った。


「今日は少し違う気がする」


リアナがニヤッと笑う。


「同感ッス」


その時。


遠くで太鼓が鳴った。


ドン。


ドン。


ドン。


王国軍が進軍を始めた。


槍兵が前列。


盾兵がその後ろ。


きれいに整った陣形。


リアナが舌打ちする。


「ちゃんとしてるッスね」


古参兵が言う。


「訓練されてる」


城壁の上から声が響く。


「前衛、配置!」


「盾兵、前へ!」


兵士たちが動き出す。


盾兵が前へ。


槍兵がその後ろ。


リアナ隊は少し後方に位置した。


やがて。


両軍の距離が縮まる。


王国兵の顔が見える距離。


リアナは剣を抜いた。


キン。


刃が朝日を反射する。


兵士たちも剣を抜く。


十本の刃。


リアナが言う。


「いいッスか」


兵士たちが見る。


「今日は」


剣を軽く振る。


ヒュン。


「折れない剣があるッス」


兵士が笑う。


「頼もしい」


だが次の瞬間。


――激突した。


ガァン!!


盾と盾がぶつかる。


槍が突き出される。


「うおおおお!」


王国兵の叫び声。


戦場が一瞬で混乱に変わる。


その時だった。


ガキン!!


嫌な音が響いた。


「ぐっ!」


城側の兵士がよろめく。


彼の剣が――


折れていた。


真ん中から。


「しまっ……!」


王国兵の剣が突き刺さる。


ザシュ!


兵士が倒れた。


周囲が凍りつく。


誰かが呟いた。


「折れた……」


魔力鋳造の剣。


軽く、作りやすい。


だが――脆い。


リアナが舌打ちする。


「チッ」


戦場ではよくあること。


だが。


死に直結する。


王国兵が笑った。


「その程度か!」


剣を振り上げる。


その時。


リアナが飛び出した。


ヒュン。


剣が振られる。


キン!!


敵の剣とぶつかる。


普通なら。


ここで刃こぼれする。


だが――


ガキン!!


リアナの剣はびくともしない。


王国兵が目を見開く。


「なっ!?」


リアナはそのまま振り抜いた。


ザン!


王国兵が倒れる。


すぐ隣。


若い兵士が戦っていた。


敵兵が剣を叩きつける。


ガン!


剣同士がぶつかる。


若い兵士は歯を食いしばった。


折れる。


そう思った。


だが。


剣は――無事だった。


「……あれ?」


もう一度ぶつかる。


ガキン!


まだ折れない。


その時。


彼は思い出した。


工房で聞いた言葉。


タクミの声。


「武器はな

折れた瞬間、人が死ぬ」


若い兵士は剣を握り直した。


「……本当だった」


振る。


ザシュ!


敵兵が倒れる。


古参兵の方でも戦闘が始まっていた。


王国兵が剣を叩きつける。


ガキン!


衝撃。


だが古参兵の剣は無事。


逆に――


パキン!!


王国兵の剣が折れた。


「は?」


王国兵が固まる。


古参兵は笑った。


「悪いな」


振る。


ザン!


王国兵が倒れる。


リアナが叫ぶ。


「前出るッス!」


十本の剣が前へ出た。


ガン!


ガキン!


金属音が連続する。


だが。


折れるのは――


王国兵の剣だった。


「なんだこいつら!」


「剣が硬すぎる!」


王国兵の中に動揺が広がる。


リアナ隊は止まらない。


一人。


二人。


三人。


敵を倒す。


その時。


若い兵士が気付いた。


「……あれ?」


古参兵が言う。


「どうした」


「まだ……」


若い兵士は周りを見る。


「誰も死んでない」


一瞬、沈黙。


リアナが笑った。


「だから言ったッス」


剣を振る。


ヒュン。


「折れない剣ッス」


その頃。


王国軍の後方。


一人の男が戦場を見ていた。


豪華な鎧。


赤いマント。


王国軍の指揮官だった。


彼は前線を見つめる。


兵士が倒れている。


だが。


ある場所だけ違った。


そこだけ。


王国兵が一方的に倒れている。


男は目を細めた。


「……妙だな」


副官が聞く。


「何か?」


男は前線を指した。


「見ろ」


十人ほどの兵士。


そこだけ戦線が押し返されている。


男は呟いた。


「武器か……?」


そして静かに言った。


「前線にいる十人」


副官を見る。


「……あれを止めろ」


戦場の流れが。


ゆっくりと。


確実に変わり始めていた。




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